前回は、「成功事例は真似しづらい」、「同質化しても異質化しても失敗につながる」「ビジネスとは、いかに異質化しながら成功という例外的な出口を探すか、ということ」という話をした。
今回は、ではどのようにして「異質化しながら成功するのか」についてお話してみたい。
「経営の失敗学」(日本経済新聞出版社)によると、①自分のビジネスの本質を明確化し、②その本質に徹底的にこだわること、がその方法であると、スターバックスの事例を用いて、説明している。
スターバックスのコンセプトは、家庭、職場以外の「第3の場所」。その第3の場所で、「顧客にいかにリラックスしてもらうか」、をビジネスの本質としている。
その為に、あえて利益と逆行する仕組みを導入しているそうだ。
①全面禁煙としている(たばこを吸う人は来店できない⇒顧客減の要因)
②においの強い食べものは提供しない(顧客単価の下落要因)
③近隣に集中出店し、1店舗への顧客の集中を防ぐ(1店舗当たりの売上高の減少)
④顧客の滞在時間を増加させる(個客回転数の悪化→売上の減少)
このように、採算性や効率性からあえて逆行した取り組みを行っている。当社がビジネスの本質(顧客に第3の場所を提供して、くつろいでもらうことで→ファンになってもらい一生涯の関係を結ぶため)を明確化し、その本質に徹底的にこだわっている、ことがよく分かる。
私の場合は、事業を行うにあたり、ビジネスの方針を「顧客と信頼感をベースとした、長く良好な取引関係を築くこと」としている。そのためいかに報酬が良くても、この方針を崩してしまう、「目先の成果が重視される仕事」や、「依頼者との信頼関係が結べそうにない仕事」などの依頼はお断りすることとしている。
ビジネスは成功という例外な出口を模索しなくてはならない。そのために自社のビジネスの本質を明確化し、そこに徹底してこだわらなければならない。例え短期的な利益を放棄したとしても・・・。
次回は、私が見聞してきた、よくある失敗事例についてお話したい。