今日は、診断士試験再現答案公開シリーズの第2回目です。平成22年度事例Ⅱ「マーケティング事例」です。
何やらつかみどころがない事例Ⅰと比較して、事例Ⅱは身近にイメージできる企業が出題されるため、つい油断してしまいがちです。私も本番で、エアポケットにはまってしまいました。
事例Ⅱ「食品スーパーマーケット」
第1問
B社の現社長は、経営再建策の1つとして、仕入れ先の精査を行ったが、具体的にはどのようなことを実施したと考えられるか。80字以内で答えよ。
【私の再現答案】
今までの人間関係の視点ではなく、顧客視点に立ち、①健康に配慮した商品を取り扱っているか②経営に環境意識をとり入れているか等の基準で仕入れ先の精査を行った。(77字)
第2問
大手スーパーなどへの差別化として、B社の現社長は2つのターゲット・セグメントを設定した。そこでB社が採用した戦略は各々のターゲットにどのような便益を与えようとしたのか。それぞれのセグメントごとに100字以内で答えよ。
【私の再現答案】
高齢者の単身世帯に対して、御用聞きのサービスを展開し、安否確認や不安、不便さの悩みを解決するという便益を与えた。その結果、地元との関係性を強化し、大手スーパーとの差別化を図った。(88字)
家庭で処理できない生ごみで悩んでいる顧客層に対して、地元契約農家と連携し、生ごみを無料で引き取り、リサイクルし、有機野菜を店頭で販売するサイクルを回した。顧客に生ごみ処理と健康野菜購入の便益を与えた。(100字)
第3問
B社の現社長は、従業員の能力を引き出すためにインターネル・マーケティングを展開した。実際にどのようなインターナルマーケティングを行ったのか。50字以内で2つ答えよ。
【私の再現答案】
各売り場責任者に顧客対応の意思決定を権限委譲し、経営者との意思疎通も密にすることでモラールを高めた。(50字)
昇給制度や給与体系の整備・パートに対しての正社員登用制度を作る等して衛生面の充実を図った。(45字)
第4問
B社の現社長は「Bポイントカード」の機能を拡充した。それは顧客にどのような便益を与えようとしたのか。50字以内で2つ答えよ。
【私の再現答案】
グリーンポイントを地元自治体に寄付することによって、行政サービスの充実という利便性の便益を与えた。(49字)
マイバック持参者に対して、ポイントを付加して、割引サービスを行うという便益を与えた。(42字)
第5問
B社の現社長がエコ活動を続けようとしているのは、B社の経営上、どのような効果を狙っているのか。2つの視点から具体的にそれぞれ100字以内で説明せよ。
【私の再現答案】
標準化された顧客対応ではなく、B社だからできる顧客対応を考え、顧客の課題を解決することで顧客との絆づくりを強化した。結果、大手スーパーとの差別化を行い、競争優位性を確保することを狙った。(91字)
「経営の原点は、地元への感謝から」という経営哲学の観点から、環境に配慮し貢献することで地元との関係性強化を狙った。また、環境に優しい企業として広告効果を高め、ストアロイヤルティの向上を狙った。(96字)
以上です。この事例Ⅱについては、冒頭にも書いた通り、試験終了後「やってしまった。」と後悔した答案です。
まず、第2問のターゲット・セグメントの切り分けをミスしました。私は、①高齢者の単身世帯②生ごみで悩んでいる顧客層、で解答したのですが、模範解答や他の受験生は圧倒的に①高齢者の単身世帯②中高年女性、で解答していました。
事例Ⅱは特に、「個性的な解答」ではなく、「みんなが考える素直な解答」が求められます。私の解答は個性的であり、「合格から差別化され、ナイス解答、はい、さよなら。」になってしまうのではないか、と発表まで不安な日々を過ごしました。
次に第5問ですが、「2つの視点から具体的に答えよ。」と問われているのに対して、具体性が乏しいような気がします。
このように事例の中で必ず何点かミスしますが、合格できます。事例Ⅱは、実力のある複数年受験者や実務経験ありの方が、自己の経験に基づき、個性的な答案を作成してしまい、点数伸び悩みの傾向があるようです。解答は事例の中にあり、ということを意識する必要がありそうです。
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