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銀行融資を断られないために知っておきたい6つのポイント

【この記事で分かること】

・ 銀行に融資を断られる会社の特徴

・ 融資を断られることに加え、一括返済を求められるケースとは

・ 融資を断られる前に打っておくべき対策

 

【この記事のポイントは以下の通り】

 

☑ 銀行が新規融資をストップする要因は、「決算赤字」「融資限度額」「粉飾決算」「資金使途違反」「不良情報の入手」「他銀行の動向」の6つである。

☑ 新規融資ストップはもとより、場合によっては既存融資の一括返済を求めらることもあるので、注意が必要である。

☑ 6つの要因に対して、それぞれ以下記事に記載している対策を実施する。経営者は、突然新規融資をストップされ資金繰りが厳しくなり、事業継続が困難になる事態を避けねばならない。

 

それでは詳しく見ていきましょう。

 

銀行に新規融資をストップされる。

会社経営に大きな影響を与えます。

出来れば避けたいその状態。今回はその原因を、6つに絞り考えてみます。

銀行が新規融資をストップするケース

 

決算で赤字が続くと返済できないと思われる

決算で赤字が続くと、新規の銀行融資が受けられなくなります。

2期連続赤字が発生すると、融資姿勢は厳しくなります。

銀行は、常に貸したお金が返ってくるかどうかを心配しています。

赤字だと融資金を返済するお金(返済財源)が不足するからです。

 

【参考記事】2期連続赤字で、銀行の融資態度はどうなるか。

 

融資の限度額に到達したら新規融資はでない

銀行は、融資先ごとに融資限度額を決めています。

融資限度額に達すると、新規融資は難しくなります。

融資限度額は、融資先の返済能力、財務内容、担保力、保証能力、過去の融資のピーク額などにより決定します。

融資を受けるとき銀行員から、「今回は融資できますが、次回の融資は難しいかもしれません」、などと示唆されると、融資限度額が近づいている可能性があり、注意が必要です。

 

【参考記事】「ゼロゼロ融資」借換制度を使って会社を立て直す!

 

 

粉飾決算が発覚したら銀行は態度を硬化させる

粉飾決算が発覚すると、銀行は態度を硬化させます。

裏切られたと感じ、経営者に対して不信感を持つからです。

経営者が粉飾決算に手を出してしまうのは、多くが融資を受けるためです。

銀行ごとに何種類も決算書を作っている会社を、私も銀行員時代に体験しましたが、傷はどんどん大きくなり、最終的には残念な結果になりました。

特に、売上の架空計上や仕入れの過少申告、在庫の水増し、簿外債務(決算書に載せていない借入金や未払金)などは、悪質とみなされます。

粉飾が発覚した場合、新規融資ストップはもちろん、既存の融資の一括返済を求められることもあります。

 

【参考記事】銀行は粉飾決算をどうやって見抜いているか~よくある粉飾のパターンと経営者としての心構え~

 

資金使途を違反したら一括返済を要求される

過去の融資に関して資金使途違反が発覚すると、銀行は態度を硬化させます。

経営者からすると、「約束通り返済すれば問題ないでしょう」、と考えます。

しかし、銀行は融資審査で「資金使途(融資金の使いみち)」を重視しています。

過去の経験から、「資金使途を違反した融資金の債務不履行になる確率が高いこと」を知っているからです。

よくあるのが、設備資金名目の借入を運転資金に流用してしまうことです。

経営者に悪気がない(当面の資金繰りに追われて仕方なく)場合でも、銀行は「仕方ないね」とは言いません。

決算書の固定資産明細をチェックする、現物を写真撮影に来る、領収書の提出を求められる、など銀行が事後確認にきますので、必ず発覚します。

発覚すると今後の新規融資に影響しますし、一括返済を求められることもあります。

 

【参考記事】資金使途の意味と、資金使途違反を見つけたときの銀行の対応

 

税金・社会保険・給与の支払遅延は追加融資を厳しくする

融資先の良くない情報が周辺から入ってきた際にも、融資態度が厳しくなります。

特に地域金融機関(銀行、信用金庫)は、地元に情報ネットワークを持っています。

そのネットワークから、「取引業者への支払いが遅れているようだ」とか、「従業員の給料支払いが滞っている」などの情報が入ることがあります。

また預金口座から、税金の滞納、社会保険料の未納なども確認できます。

上記のような情報について、事前に経営者から報告を受けているとまた違った対応になるかもしれませんが、周りから間接的に情報が入ってくると、銀行は融資の蛇口を絞ります。

 

他の銀行が融資を引き揚げると警戒感を高める

複数銀行で融資先を支えている場合。

そのうちのどこかの銀行が、今まで継続していた融資を見合わせた。もしくは引き揚げた場合。

特に明確なメインバンクを持たず、複数銀行が同じ融資シェアで支えている場合には、影響が大きくなります。

一つの銀行が融資引き揚げたことをきっかけに、その他の銀行も新規融資をストップします。

複数行による平衡(へいこう)支援の場合、銀行は融資ストップ判断も横並びで行います。

自銀行に極端にリスクが偏ることを、嫌がるからです。

 

【参考記事】なぜ銀行員は、他銀行の融資条件を聞いてくるのか

(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)

 

新規融資をストップされないための対策

では、上記6つの要因に対して、経営者はどのような対策とれるのでしょう。

①連続赤字

早急に黒字化すること。または黒字化の見通しを経営改善計画書など書面で説明することです。特に赤字が続いている場合には、銀行からの信用が低下しています。コストカット策、売上増強策、利幅獲得策、組織改革など、具体的な案を提示し、具体的行動で数値として成果を上げていきます。具体策は以下記事を参考にして下さい。

【参考記事】2期連続の営業利益赤字になった。経営者は今すぐ何をすべきか。

 

②融資限度額

融資限度額を把握しておくこと。その金額を知っておけば、融資調達以外の事前準備ができます。把握しておかないと新規融資を止められたとき、慌てることになります。以下の記事に、自社の融資限度額(追加融資可能額)の算出方法を記載しています。参考にして下さい。

【参考記事】銀行借入金返済余力の簡便な計算方法~決算書からみる追加融資金額の出し方~

 

③粉飾決算が発覚

経営者が粉飾決算をしないという、明確な意思をもつことです。そのためのはまず、どのような財務処理が粉飾決算に該当するのか、知っておかねばなりません。粉飾の判断については、以下記事を参考にして下さい。

【参考記事】銀行は中小企業の粉飾決算を警戒している ~意図した粉飾と意図的でない粉飾~

 

④資金使途違反

経営者が資金使途違反をしないという、明確な意思を持つことです。そして例えば、設備資金の融資を受ければ、通常口座とは別の口座で分別管理します。設備資金を運転資金に迂回させない工夫をします。

 

⑤不良情報

法令を順守した経営体制を採ります。顧客だけでなく、従来は力関係が強いと考えられていた仕入先や従業員などステークホルダーに対しても、関係性に配慮した経営を行います。最近はSNSなどでの、悪い情報拡散のリスクが高まっています。

 

⑥融資を引き揚げる銀行が出ること

上記、①~⑤の対策を実施し、地域や顧客の信頼を高める経営を行います。地域での信用を大切にしながら、融資先銀行との意思疎通を密にし、財務諸表など適切な情報開示をします。突然融資を引き揚げられる可能性は少なくなります。

 

以上、銀行が新規融資をストップ(絞る)6つの要因とその対策について、考えてみました。

参考いただき、このようなケースに陥らないよう注意いただけますと幸いです。

 

 

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