お問合せ

【金利上昇シミュレーション】自社は何%まで耐えられる?借入金利の影響と返済余力の計算方法

銀行から「次回から融資金利を引き上げたい」と言われたとき、最初に確認すべきなのは、銀行の提示が高いか安いかではありません。

金利が0.25%、0.50%、1.00%と上がった場合、自社の年間利息、利益、返済余力がどこまで変わるのかを把握することが先です。

金利上昇への備えは、予測を当てることではありません。複数の上昇幅をあらかじめ試算し、どの水準までなら利益と資金繰りを維持できるかを確認することです。

この記事では、自社の「金利ストレス耐性」を確認できる無料シミュレーションシートの使い方と、計算結果を銀行交渉や財務改善へつなげる方法を解説します。

無料シートに借入金と決算数値を入力すると、5段階の金利上昇による影響を一覧で確認できます。

無料シートの内容と申込方法を見る

金利上昇は、すでに中小企業の経営課題になっている

日本銀行は2026年7月31日、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移させる方針を決定しました。三菱UFJ銀行と三井住友銀行の短期プライムレートも、2026年8月3日から年2.125%から年2.375%へ引き上げられています。

ただし、政策金利や短プラが上がっても、すべての借入金利が同じ日に同じ幅で上がるわけではありません。固定・変動の別、基準金利、上乗せ幅、見直し日によって影響は異なります。

短プラとTIBORの違いや、融資金利が「基準金利+上乗せ幅」で決まる仕組みは、「短プラ・TIBORと金利上昇|強靭な財務の作り方」で詳しく解説しています。本記事では、金利の仕組みよりも自社への影響計算に焦点を絞ります。

融資金利の引き上げを打診する銀行員と対応を検討する経営者

計算の前に、借入金を一本ずつ整理する

決算書に記載された借入金総額だけでは、金利上昇の影響を正確に計算できません。借入金を金融機関別・契約別に分け、返済予定表や契約書を見ながら次の項目を確認します。

  • ✓金融機関名、借入残高、現在の適用金利
  • ✓固定金利か変動金利か
  • ✓短プラ・TIBORなどの基準金利と上乗せ幅
  • ✓次回の金利見直し日、最終期限、年間元金返済額

固定金利の借入は、原則として固定期間中の市場金利上昇による影響を受けません。シミュレーションでは、まず金利上昇の影響を受ける借入残高を分けることが重要です。実際の取扱いは融資契約ごとに異なるため、分からない項目は銀行へ確認してください。

金利上昇シミュレーションシートの画面イメージ

Excelには入力場所が分かるように色を付けています。例えば、次の見本数値を入力すると、金利上昇後の利益と返済余力が自動的に一覧表示されます。

黄色の欄へ入力する数字

借入一覧シート

借入残高1億円
現在金利2.00%
金利区分・基準金利変動・短プラ
年間元金返済額800万円

決算入力シート

売上高2億円
経常利益1,000万円
税引後利益700万円
減価償却費300万円

金利上昇幅ごとに自動表示される結果

想定ケース 年間増加利息 上昇後経常利益 元金返済後余力
+0.25% 25万円 975万円 175万円
+0.50% 50万円 950万円 150万円
+1.00% 100万円 900万円 100万円
+1.50% 150万円 850万円 50万円
+2.00% 200万円 800万円 0万円

この見本会社では、金利が2.00%上がっても経常利益は800万円残ります。しかし、年間元金返済後の余力は0円です。つまり、損益上は黒字でも、返済余力から見ると+2.00%が注意水準だと分かります。

自社の借入残高と決算数値へ置き換えるだけで、「利息はいくら増えるか」だけでなく、「経常利益はいくら残るか」「元金返済後にいくら余るか」まで同時に確認できます。

目的別に使える6つのシート

① はじめに

入力順序と色分け、利用上の注意点を確認します。

② 借入一覧

最大20本の借入を固定・変動、基準金利別に整理します。

③ 決算入力

利益、減価償却費、支払利息、現預金などを入力します。

④ シミュレーション

5段階の増加利息、利益、返済余力、限界値を表示します。

⑤ AI質問文

入力済みExcelをAI経営参謀で分析する質問例を収録しています。

⑥ 計算根拠・チェック

計算式と入力漏れ、整合性を確認できます。

ダウンロード後に最初に行うことは、「借入一覧」へ返済予定表の数字を一本ずつ入力することです。次に「決算入力」へ直近決算の数値を入れると、「シミュレーション」の結果が自動的に切り替わります。

「耐えられる金利」は一つではありません。
利益が残るか、元金返済を続けられるか、手元資金を維持できるかという複数の視点で判断します。シートの判定は経営判断の出発点であり、融資の可否や安全性を保証するものではありません。

増加利息と金利ストレス耐性の計算方法

年間の増加利息(概算)
= 金利上昇の影響を受ける借入残高 × 想定上昇幅

変動金利借入が1億円の場合、年間の増加利息は次のようになります。

+0.25%
25万円
+0.50%
50万円
+1.00%
100万円
+1.50%
150万円
+2.00%
200万円

実際の利息は、期中の返済による残高減少、金利の見直し日、適用期間などで変わります。そのためシートでは、まず年間影響額を概算し、必要に応じて銀行の返済予定表と照合します。

経常利益がゼロになる上昇幅は「限界値」であって安全値ではない

損益上の金利上昇限界(概算)
= 現在の経常利益 ÷ 金利上昇の影響を受ける借入残高

経常利益1,000万円、影響を受ける借入残高2億円なら、他の条件が変わらないという前提で、経常利益がゼロになる追加上昇幅は概算5.0%です。しかし、これは5.0%まで安全という意味ではありません。

売上減少、原材料・人件費の上昇、設備投資、運転資金の増加も同時に起こり得ます。実務では0.25%、0.50%、1.00%など現実的な複数ケースを置き、利益と資金繰りの余白がどれだけ残るかを確認します。

無料シミュレーションシートの入手方法

下のフォームへ会社名・氏名・メールアドレスを入力すると、登録したメールアドレスへExcel形式の「金利上昇シミュレーションシート」のダウンロードURLが自動送信されます。複数の借入金を一本ずつ入力し、金利上昇幅ごとの影響を比較できるようにしています。

このシートは、次のような経営者に適しています。

  • ▶銀行から融資金利の引き上げを打診されている
  • ▶変動金利借入が多く、今後の利息負担が気になる
  • ▶銀行交渉の前に、自社の返済余力を数字で整理したい

金利上昇シミュレーションシートを、Excel形式で無料ダウンロードできます。

借入一覧と決算数値を入力すると、現在の金利に加え、+0.25%、+0.50%、+1.00%、+1.50%、+2.00%の各ケースを自動計算します。

  • ✓最大20本の借入金を、固定金利・変動金利に分けて入力できる
  • ✓金利上昇ケースごとの年間増加利息を確認できる
  • ✓金利上昇後の経常利益、簡易キャッシュフロー、元金返済後の余力を確認できる
  • ✓入力済みシートをAI経営参謀へアップロードし、追加分析に使える

会社名・氏名・メールアドレスは必須項目です。送信後、入力したメールアドレスへダウンロードURLをお送りします。

    完成したシートをAI経営参謀で再分析する

    シートへ数字を入力しただけで終わらせず、その結果を自社の財務改善や銀行交渉へつなげることが重要です。当事務所の「AI経営参謀」では、次の2つの方法で追加分析ができます。

    方法1|入力済みのシミュレーションシートをアップロードする

    画面右下の「AI経営参謀に聞く(無料)」を開き、入力済みのシートを添付して、次の質問文を送ってください。

    質問文の例
    添付した金利上昇シミュレーションシートを分析してください。金利が0.25%、0.50%、1.00%、1.50%、2.00%上昇した場合について、①利益への影響、②元金返済後の余力、③注意すべき借入金、④銀行へ確認すべき事項、⑤優先する財務改善策を、中小企業経営者向けに整理してください。不足資料がある場合は、その資料も示してください。

    方法2|直近2期分の決算書をアップロードする

    借入一覧の作成や決算数値の転記に不安がある場合は、直近2期分の貸借対照表、損益計算書、販売費及び一般管理費明細、製造業であれば製造原価報告書などを添付して質問できます。

    決算書を使った質問文の例
    添付した直近2期分の決算書を基に、当社の借入金、支払利息、利益、簡易キャッシュフローを確認してください。そのうえで、変動金利借入の金利が0.25%、0.50%、1.00%上昇した場合の影響を概算し、返済余力、資金繰り上の注意点、銀行交渉で説明すべき強みと課題を整理してください。資料から判断できない項目は推測せず、不足資料として示してください。

    決算書やシートをアップロードする際は、利用画面の注意事項と当事務所のプライバシーポリシーを確認し、分析に不要な個人情報は削除してください。AIの回答だけで重要な融資判断を確定せず、契約内容は金融機関へ、会計・税務上の取扱いは顧問税理士等へ確認することも必要です。

    銀行交渉では、金利だけでなく取引条件全体を見る

    銀行から金利引き上げを打診されたときは、その場で承諾も拒否もせず、「契約内容と年間影響額を確認して回答します」と伝えます。そのうえで、次の事項を確認してください。

    • ①どの基準金利・契約条項に基づく変更なのか
    • ②基準金利だけでなく、上乗せ幅も変更されるのか
    • ③いつから、どの借入金へ適用されるのか
    • ④自社の業績、財務内容、担保・保証をどう評価しているのか
    • ⑤金利、返済期間、融資枠、担保・保証、手数料を含めて調整できるか

    シミュレーション結果により、増加利息を吸収しても利益と返済余力が残ることを示せれば、単なる値下げ要求ではなく、財務データを根拠とした条件協議ができます。一方、余力が乏しい場合は、価格改定、粗利益改善、在庫・売掛金の圧縮、返済条件の見直しなどを早めに検討します。

    まとめ|金利上昇を「自社の数字」で管理する

    重要なのは、次の利上げを予想することではありません。自社の借入金を整理し、複数の金利上昇ケースを試算し、利益と返済余力が残る範囲を把握することです。

    経営者が確認したい5つの質問

    • □固定金利と変動金利の借入残高を分けているか
    • □0.25%から2.00%までの増加利息を試算したか
    • □金利上昇後も経常利益と返済余力が残るか
    • □銀行の提示条件を契約書と数字で確認したか
    • □シミュレーション結果を財務改善と銀行交渉へつなげているか

    参考情報

    情報基準日:2026年8月27日

    自社の財務基盤を盤石にし、本気の事業成長を目指す方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

    代表 和田との 30分無料相談を予約

    「【金利上昇シミュレーション】自社は何%まで耐えられる?借入金利の影響と返済余力の計算方法 」
    ご覧いただきありがとうございました。

    銀行融資審査の考え方

    関連記事

    お問合せ
    セミナーの依頼
     
    注目の記事カテゴリ

    経営者の方へ

    銀行員の方へ

    中小企業診断士の方へ

    ページトップ