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【経営者保証ガイドライン】保証人なし融資の要件とは?銀行の説明義務と会社の対策(2025年版)

「会社の借入に、社長個人の保証(経営者保証)は必須じゃないの?」

「経営者保証ガイドラインって、具体的に何が変わった?」

「経営者保証なしで融資を受けるための要件って何?(保証人 不要 要件)」

「無担保 無保証 融資を実現するにはどうすればいい?」

中小企業の経営者にとって、会社の銀行融資に対する個人保証(経営者保証)は、長年、半ば当然のように提供を求められてきた重い責任でした。しかし、その「常識」は、**「経営者保証に関するガイドライン」**の運用強化により、大きく変わりつつあります。

経営者保証に過度に依存しない融資慣行への転換が国の方針として進められており、経営者保証 なしでの融資や、既存保証の解除も、条件を満たせば十分に可能になってきています。

この記事では、ここ愛媛県をはじめ多くの中小企業をご支援してきたコンサルタントとして、この経営者保証ガイドラインの目的と金融機関に課せられた説明義務、経営者保証が不要となるための具体的な「3つの要件」(「保証人 不要 要件」)、それが「無担保 無保証 融資」にどう繋がるのか、そして経営者として取るべき対策について、分かりやすく解説します。

経営者保証ガイドライン

経営者保証ガイドラインとは?目的と変化点

まず、経営者保証ガイドラインの基本的な考え方と、近年の変化点を確認しましょう。

ガイドラインの目的:事業性評価の促進と円滑な承継

経営者保証ガイドラインは、金融機関が融資を行う際に、経営者個人の資産や信用力に過度に依存するのではなく、「事業そのものの収益力や将来性(=事業性)」を適切に評価し、融資判断を行うことを促すための指針です。

これにより、

・経営者が個人破産のリスクを恐れて、思い切った事業展開や挑戦を躊躇することを防ぐ。
・事業承継の際に、後継者が前経営者の個人保証を引き継ぐ負担を軽減し、円滑なバトンタッチを促進する。

といった効果が期待されています。

銀行への説明義務強化:何が変わったか?

特に近年(※2023年4月以降)、このガイドラインの運用が強化され、金融機関に対して以下の点が求められるようになりました。

1. 経営者保証を求める際の「個別具体的な説明義務」: なぜ、その会社に経営者保証が必要なのか(どの要件が満たされていないのか)、具体的に説明すること。

2. 保証解除・変更の可能性の説明義務: どうすれば(どのような改善を行えば)、経営者保証を解除または変更できる可能性があるのか、具体的に説明すること。

3. 説明内容の記録・監督官庁への報告義務: 上記の説明内容を記録し、その実施状況(件数)を金融庁等に報告すること。

これにより、金融機関は経営者保証を求める際に、より丁寧で具体的な説明責任を負うことになりました。経営者にとっては、保証解除に向けた具体的な道筋について、銀行と対話しやすくなったと言えます。

経営者保証なし(保証人不要)の「3つの要件」とは?

では、経営者保証ガイドラインにおいて、経営者保証を不要とする(「経営者保証 なし」「保証人 不要 要件」)ための具体的な要件とは何でしょうか? 大きく以下の3つが挙げられます。

要件①:法人と個人の明確な区分・分離

・内容: 会社の資産・経理と、経営者個人の資産・経理が、明確に分離・区別されていること。公私混同がない状態です。

・銀行がチェックする点(例):
‣ **役員貸付金や仮払金(代表者勘定)**が多額・長期に滞留していないか?(会社の資金が個人に流用されていないか)
‣ 会社と経営者間の不明瞭な資金移動がないか?
‣ 個人資産(自宅など)が、事業に不可欠なものとして担保提供されていないか?(事業と無関係な個人資産は原則、担保提供しない)

[関連記事:決算書「代表者勘定」に向けられる銀行の厳しい目]

要件②:財務基盤の強化

・内容: 会社の収益力が高く、財務状況が健全であること。返済能力が十分にある状態です。

・銀行がチェックする点(例):
‣ 安定的な利益計上: 継続的に利益(特に営業利益・経常利益)を確保できているか?(連続赤字などはマイナス評価)
‣ 十分な自己資本: 債務超過に陥っておらず、自己資本がある程度の厚みを持っているか?
‣ 過大な借入でないか: 収益力やキャッシュフローに対して、借入金が過大になっていないか?
‣ 有利子負債依存度が低減傾向か?

[関連記事:2期連続赤字になると銀行がチェックしてくる決算書3つの項目]
[関連記事:銀行借入金返済余力の簡便な計算方法]

要件③:財務情報の適時適切な開示(経営の透明性)

・内容: 会社の経営状況や財務情報を、正確かつタイムリーに金融機関等へ開示し、経営の透明性が確保されていること。

・銀行がチェックする点(例):
‣ 月次試算表の定期的提出: 遅くとも翌月中には提出できているか?その精度は高いか?
‣ 資金繰り表の作成・提出: 自社のキャッシュフローを把握・管理できているか?
‣ 事業計画等の提出と進捗報告: 計画に基づいた経営が行われ、その状況を適宜報告しているか?
 銀行からの照会に対する誠実な対応: 求められた情報に対して、迅速かつ正確に回答しているか?

[関連記事:【銀行融資】なぜ試算表が必要?銀行提出時のチェックポイントと注意点]
[関連記事:【資金繰り表 作成方法】初心者でも分かる手順と注意点|会社経営の必須ツール(2025年版)]

これら3つの要件をすべて満たすことが、経営者保証を解除・あるいは当初から不要とするための基本的な条件(保証人 不要 要件)となります。

「無担保 無保証 融資」への道筋

経営者保証ガイドラインの3要件を満たし、経営者保証を不要とすることは、会社の信用力が個人の保証に頼らずとも、それ自体で評価されていることを意味します。これは、将来的に**「無担保 無保証 融資」、つまり担保も経営者保証も提供しない形での融資**を受けられる可能性を高める重要なステップとなります。

特に、**事業性評価融資(担保や保証だけでなく、事業の将来性やキャッシュフロー創出力などを重視する融資)**においては、このガイドラインの充足度が重要な判断材料の一つとなります。

経営者はどう備え、何に取り組むべきか?

経営者保証ガイドラインの要件充足は、単に「保証を外すため」だけに行うものではありません。

「他人事」ではない:会社の健全化が目的

ガイドラインが求める3つの要件(①公私分離、②財務強化、③情報開示)は、いずれも「強い会社」「信頼される会社」を作るための基本的な要素です。これらの要件を満たす努力は、経営者保証の問題だけでなく、会社の経営管理レベル向上、財務体質の強化、そして円滑な事業承継にも直結します。

自社の現状分析と課題特定

まずは、自社が3つの要件をどの程度満たしているか、客観的に現状を分析し、課題となっている点を特定することがスタートです。上記の「銀行がチェックする点」などを参考に、自己診断してみましょう。

具体的な改善計画の立案と実行

特定された課題に対して、具体的な改善計画を立て、実行に移します。

・例:代表者勘定の整理計画(役員報酬との相殺など)、収益改善策の立案・実行、月次決算体制の構築、資金繰り表の導入など。
・改善目標とスケジュールを明確にし、計画的に取り組むことが重要です。

銀行との積極的な対話

取引銀行の担当者に、経営者保証ガイドラインについて相談し、自社が保証解除・不要となるために具体的に何を改善すべきか、アドバイスを求めることも有効です。改善への取り組み状況を定期的に報告し、コミュニケーションを図ることで、銀行側の理解と協力を得やすくなります。

まとめ:ガイドライン充足は、会社を強くし、経営者の未来を守る

経営者保証ガイドラインの運用強化は、経営者にとって個人保証の重圧から解放されるチャンスであると同時に、会社の経営管理体制を見直し、強化するための好機でもあります。

・経営者保証が不要となるための**「3つの要件」(①公私分離、②財務強化、③情報開示)**を理解し、充足を目指す(「保証人 不要 要件」)。
・これは、経営者保証 なしや、将来的な無担保 無保証 融資に繋がるだけでなく、会社自身の健全化、事業承継の円滑化にも貢献する。
・課題を認識し、具体的な改善計画を立て、銀行とも積極的に対話しながら実行していくことが重要。

経営者保証の問題から解放され、事業そのもので評価される強い会社を作るために、経営者保証ガイドラインへの対応を前向きに進めていきましょう。

「自社の経営者保証を外したいが、何から手をつければ良いか分からない」「経営者保証ガイドラインの要件充足に向けて、具体的な改善計画を立てたい」経営者様は、ぜひ当事務所にご相談ください。初回無料相談で、貴社の状況に合わせた進め方をご提案します。

この記事が、経営者保証について考える経営者の皆様にとって、具体的な行動を起こすための一助となれば幸いです。

 

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