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銀行が融資を組み替えてくれない、なぜ?~融資を1本化しない銀行の事情~

銀行からの融資本数が増えてきた。

できれば組み替えてまとめて1本化して、なお返済期限も延ばしてもらえれば、資金繰りが楽になる。

経営者は考えます。

別に返済を止めてくれということではないし。

融資担当者に融資組み替えの依頼をしました。

後日、「社長、ご依頼は少し難しいようです」

融資担当者から断りの連絡が入ります。

実は融資を組み替えることは、とても難しいのです。

銀行にはどのような事情があるのでしょうか?

資金使途が違う

まず考えられるのが、それぞれの資金使途が違う、というケースです。

1口は、人件費支払や材料仕入など、運転資金で使った融資。

1口は、製造機械購入など、設備投資で使った融資。

このように、資金使途が違う融資を組み替えて1本化することを、銀行は嫌がります。

なぜなら、銀行員は融資の資金使途をとても重視するからです。

組み替えて1本化すると、当初の資金使途が分からなくなってしまいます。

資金使途が分からなくなると、「返済財源が不明瞭になってしまい、融資管理が難しくなること」を心配しているのです。

融資金の返済財源は、運転資金と設備資金で違うと、銀行は考えています。

 

【参考記事】長期と短期の銀行借入金~長短バランスが崩れる理由~ 和田経営相談事務所オフィシャルホームページ https://wada-keiei.com/archives/7973

 

資金使途が違う融資の組み替えを拒否するのは、こうした理由です。

 

融資形態が違う

融資形態が違う場合にも、組み替えを嫌がります。

融資形態には、手形貸付・当座貸越の様な短期融資(融資期限は1年)と、証書貸付の様な長期融資(融資期限1年以上)があります。

書き替えを繰り返し返済できない短期融資を、長期融資に切り替えることはしてくれるかもしれません。

しかしこれは、融資回収の可能性が高くなるから、やってくれるだけです。

例えば、複数の長期融資を取りまとめて組み替え、短期融資に組みこむなどの、リスクが高くなる組み替えには原則応じてくれません。

 

プロパー融資と保証付融資

融資には、銀行が貸し倒れリスクを取るプロパー融資と、銀行が貸し倒れリスクを取らない保証付融資があります。

保証協会が同意すれば、保証協会同士の組み替えや、プロパー融資も含んだ形で保証協会付融資への組み替えなど、複数融資を組み替え1本化してくれることはあります。

ただ逆に、保証協会付融資を巻き込んだ形で、プロパー融資で組み替えることは難しくなります。

保証付融資がプロパー融資に切り替わることになり、銀行がとる貸し倒れリスク(プロパー融資残高)が増えるからです。

特に業績低下局面で依頼すると、ハードルがかなり高くなります。

折角、銀行が得ているメリット(融資金利をもらいながら貸倒リスクがない保証付融資)を手放すわけがないのです。

 

最終返済期限が違う

最終返済期限が違う融資を組み替えることも嫌がります。

一口は、最終期限が5年後(残高1,000万円)。

一口は、最終期限が10年後(残高2,000万円)。

2口を組み替えて1本化(3,000万円)して、最終期限を10年後に合わせる。

毎月の返済額が減少し、資金繰りが楽になります。

しかしこうした組み替えを、銀行は簡単には認めてくれません。

最終期限5年後の1,000万円が、当初約束した返済方法から変更になるからです。

融資返済を猶予したと判断され、銀行内で返済条件緩和債権に認定されます。

返済条件緩和債権になると、銀行は融資残高に応じて一定の貸倒引当金を計上する必要があります。

つまり、その分だけ赤字になるのです。

企業側からしても、以降の新規融資に対して審査が厳しくなります。

そのため、銀行は組み替えをせず、新規で追加融資を提案してきます。

こうして銀行からの追加融資の提案に乗ることで、融資残高は増え、融資本数も増え、返済額も増え、将来的な資金繰り繁忙の種となるのです。

 

抵当権と保証人

融資に抵当権を付けている場合も、複数融資の組み替えが困難になることがあります。

不動産担保には、抵当権と根抵当権があります。

 

【参考記事】「銀行融資と不動産担保」和田経営相談事務所オフィシャルホームページ https://wada-keiei.com/archives/12781

 

簡単に言えば、抵当権は債務を限定するもので、根抵当権は債務を限定せずすべてのプロパー融資に効果が及ぶものです。

不動産に第1順位根抵当権を設定しておけば、債権回収の順位が変更することはありません。

一方、抵当権の場合は、その融資限りなので、組み替えをすると再度抵当権を設定する必要があります。

第2順位に他銀行の抵当権や根抵当権が設定されていると、融資組み替えにより、抵当権の順位が後順位になり、融資回収の順番が変わるのです。

銀行にとって、とても承諾できることではありません。

保証人についても、同じように組み替えにより、債権回収にマイナスが生じる場合は、応じてくれないことがあります。

例えば組み替えにより、有力な保証人が保証脱退となる場合、などです。

ただ保証人については、最近銀行も少なくする方向で進めているため、以前ほどは厳しくないかもしれません。

 

業績不振時に組み替えることの意味

業績が悪化してくると、銀行は組み替え融資を嫌がります。

複数融資の取りまとめ、組み替え融資だとしても、形式上は新規融資に変わりがないからです。

新規融資を実施時には、その時の支店長や融資担当者が稟議書に印鑑を押さねばなりません。

融資に貸し倒れが生じたとき、業績不振時の融資実行者として名前が出てしまいます。

こうしたリスクを銀行員は極度に嫌がり、現状維持を守ろうとするのです。

 

融資組み替えの方法(奥の手)

複数融資の組み替え。

難しいという話ばかりしてきましたが、方法はないのでしょうか?

奥の手があります。

ただ実行にあたり、企業側が逆に大やけどを負う可能性もあります。メインバンクとの取引の歴史や関係性などをよく思い出して、くれぐれも慎重に検討してください。

その方法は、他の銀行融資を受けて、全部返済することです。

他の銀行に融資を移すことを「融資肩代わり」と言います。

例えば、A銀行融資を、新たに実行したB銀行融資で全額返済すると、A銀行からB銀行に融資残高がそっくり移動します。

銀行にとって融資肩代わりは、やられたA銀行にとっては最大の屈辱、やったB銀行にとっては最大の栄誉です。

(ただしあなたの会社が、B銀行にとって融資肩代わりをしたいぐらい魅力があることが前提です)。

融資肩代わりがB銀行からの提案だとしたら、B銀行は融資組み替えを条件にしてくれる可能性があります。

例えば10本の融資を3本にするなどです。

企業側は何か大きなメリットがなければ、融資をA銀行からB銀行に移す意味がありません。

その動機付けのため、B銀行は組み替えの提案をしてくるのです。

ただ繰り返しますが、以下記事を参考にするなど、くれぐれも運用には注意してください。

【参考記事】

「メインバンク変更のデメリットとリスク」和田経営相談事務所オフィシャルホームページ https://wada-keiei.com/archives/7993

「メインバンク変更を経営者が決断する時」和田経営相談事務所オフィシャルホームページ https://wada-keiei.com/archives/8524

 

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