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銀行に融資を断られた!~銀行の融資態度変化を見逃す経営者~

【この記事で分かること】

 

・融資を断るときの銀行員の態度(前兆の言葉遣い)

 

・メインバンクが警戒すること、サブバンクが警戒すること

 

・経営者が準備しておくべき心の姿勢

 

 

今までは受けられていた銀行融資を、今回は断られた。

経営者は焦ります。

他の銀行を当たるとか、どこかから資金を捻出するとか、他の資金調達方法を探さなければなりません。

資金手当てに経営者の労力・時間はとられ、営業活動に時間が取れなくなります。

銀行に手のひらを返された!経営者は呆然(ぼうぜん)とするかもしれません。

しかし、予兆はあったはず。その予兆を経営者は見逃していたのかもしれません。

 

他の銀行の動向を気にする

あなたの会社が、複数銀行から順番に融資を受けているとします。

A銀行(メイン)⇒B銀行(サブ)⇒C銀行⇒D銀行⇒E銀行

このような順番です。

どこかの銀行が、「今回はちょっと難しいです」と、断ってきたとします。

原因は色々あるでしょうが、危険信号です。

一気に他の銀行も警戒感を強めます。

銀行は、他の銀行の融資動向を非常に気にします。

自分たちの銀行が貸倒損失を被る(ババを引く)のは避けたい、と考えているからです。

常に他銀行の融資シェアの増減をウォッチしています

 

メインバンクとサブバンク

メインバンクは、他の銀行が融資を引き揚げて、自分の銀行に融資が集中することを警戒します。

メインバンクに融資が集中していくことを「メイン寄せ」と言います。

メインバンクとの信頼関係があれば、メインバンクは「メイン寄せ」を受け入れてくれます。

サブバンクは、メインバンクの動向を随時気にしています。

知らないうちにメインバンクが少しづつ融資を引き揚げていて、自銀行が実質メインになっていた、という事態は避けたいからです。

業績下降局面において、サブバンクに融資を申し込むと、「当行では対応しかねますので、メインバンクにお願いしてはいかがですか」と言われます。

銀行員は、「業績が悪くなれば、メインバンクが支えるのが筋」と考えています。

 

融資回収の最大化を考える銀行

業績が下降局面になると、銀行は融資回収の最大化を考えます。

コロナ禍の様な、今の厳しい時期は特にそうです。

その証拠に、コロナ禍で地方銀行が融資量を増やして、中小企業の資金繰りを支えたと言われていますが、自銀行はリスクを取っていません。

業績が厳しくなった融資先に対しては、プロパー融資(銀行がリスクを負う融資形態)をほとんど実施していないはずです。

政府系のコロナ融資に誘導したり、不動産担保を強化したり、保証協会付融資の残高を増やしたり、プロパー融資の残高を減らしたり。

貸倒回避策を取っています。

銀行員が一番嫌なことは、「貸したお金を返してもらえない」ことです。

ちなみに二番目に嫌なことは、「正常先の融資を他銀行に肩代わりされること」です。

だから銀行が望むことは、貸したお金を約束通りの条件(他行からの肩代わりではなく)で返してもらうこと、です。

【参考記事】融資肩代わりに関する銀行の考え方 ~なぜ銀行員は、他銀行の融資を奪いたいのか~

 

断るときに銀行員が使う言葉

銀行員が融資を断るときは、出来る限り、やんわりとした言葉で断ります。

追加融資出来ないことが分かっていても、その場で即答したりはしません。

後日、上司と同行訪問しててきて、このようなことを言います。

「今回は難しいですが、次の決算状況を見て」

「今まで精一杯お手伝いしてきましたが、貴社の融資限度額に達していまして」

「もう少し融資残高が減少したら、その時に再度検討させていただきます」

「今までできる限りのお手伝いをしてきました。そのことはご理解ください」

など、言葉遣いは柔らかいですが、そのまま受け取ってはいけません。

これらは融資の断り文句です。

融資態度が変わった、と判断すべきでしょう。

【参考記事】銀行員が上司と2人で訪問してくることの意味について(融資断りか、前向きか)

 

一度断られるとハードルが上がる

一度融資を断られると、次からのハードルが上がります。

何かしらの改善点がないと、融資を受けることはできません。

☑ 赤字が黒字転換した(連続で黒字になった)

☑ 黒字が出て資金繰りが落ち着いたので、融資返済が進んだ

☑ 資産売却代金を融資返済に充当し、融資残高が減少した

成果が数字として現れないと、銀行に対して説得力がありません。

慌てて対策を立てても、タイムオーバーになる可能性があります。

 

こんな銀行員の言動は融資態度変化の予兆

今まで言われたことがなかったのに、銀行員が言ってきた。

以下の様な銀行員の言動が最近なかったですか?

☑ 追加不動産担保について、それとなく聞いてくる

☑ 売上代金入金口座を他銀行から自銀行へ変更依頼してくる

☑ 逆に他銀行へ売上代金口座変更をすると、「社長、困ります」と言う

☑ 今まで言われなかったレベルの詳細数値の資料を要求される

☑ 売上代金の裏付け資料を求められた(取引先への請求書や売上根拠の契約書など)

☑ 定期預金の解約を渋る

☑ 他銀行の預金口座の入出金データを求められた

☑ 倉庫を見せてくれと言う(デットストックの確認)

☑ 役員個人資産の調査を始めた

今までしてこなかったのに、銀行員がこういう言動を取り始めたら、融資態度が変化している予兆です。

 

経営者は自社の資金調達力を想像する

あなたが予期していない形での融資謝絶(しゃぜつ)は避けたいものです。

ではどうすれば良いか。

自社はいくらぐらい融資を受けられるか。

自社の資金調達力を、常日頃から経営者のあなたが想像しておくことです。

財務数値や現在の借入残高、返済能力から、ある程度予測できます。

経営者がそうした数値を頭に入れておくことで、先手先手を打つことができます。

数字をつかむことで具体的な対策が見えてくるのです。

大切なのは、余力があるうちに備えておくこと、です。

(自社の数字や銀行の態度を知りたい方は、記事の最後のコメント欄から、当事務所までご連絡ください)。

 

あとがき

昨日まで融資していてくれたから、明日も融資してくれる。

「銀行に手のひらを返された」、と嘆く経営者は、こういう思考を持ちがちです。

昨日は融資してくれたけれど、明日は融資してくれないかもしれない。

このように考えて、対策を考え実行しておくこと。

これが危機管理だと私は考えます。

ピンチに陥った時に案外脆い(もろい)のは、今まで優良だった会社です。

それは、今の状態が続くと漠然と考えて、備えをしていないから、です。

 

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