前回【前編】は、中小企業デジタル化応援事業でIT専門家の話を聞いてみる、というところまで話しました。今回は、実際使ってみての感想と事業の課題をお話しします。
中小企業デジタル化応援事業とは何か?おさらいします。
【目次】
中小企業デジタル化応援事業とは、デジタル化に課題を抱える中小企業とIT専門家をマッチングする事業です。
IT化について課題を抱えている中小企業が、IT専門家からの助言に関して、補助金を活用すること(コンサルティング料)ができます。
中小企業・IT専門家、ともに事前登録することが、この事業を活用するための要件の一つとなります。
18のカテゴリ、55の支援領域と支援テーマが幅広いことが特徴です。
以下にリンクを貼っておきますので、興味がある方は覗いてみてください。
詳細はこちら→中小企業庁の公式サイト
今回私は、相談企業側として登録しました。相談内容は以下のように、中小企業デジタル化応援事業の専用サイトに登録しました。
専用フォームがあり、そこに入力(以下登録した相談内容)
webサイトを10年間運営しています。ワードプレスでブログ形式で運用しており、記事数は1, 200を超えています。 サイトデザインは制作会社に委託しておりますが、 日々のブログコンテンツ制作、グーグルアナリティクス分析、 サーチコンソール分析は自分でやっています。 オフィシャルホームページの月間アクティブユーザーは8, 000人程度です。10年間で閲覧者は増えたのですが、 実店舗で例えると、ほとんどの顧客が店内に入り、 何も買わずに出ていく状態( 閲覧者数と比較して案件成約が少ない)となっており、 Webサイトの有効活用を模索しております。そこで、 ホームページへの来店客(閲覧者)に対して、 あらゆるデータやタッチポイントの活用強化を図りたいと考えてい ます。結果として、ターゲット層からの問い合わせ増加→ Webでの案件成約につなげること( Web上で案件発掘から成約まで完結)で、 今は愛媛県中心のクライアントを全国に広げていきたいと考えてい ます。また、Webサイトを訪問したユーザー一人一人に対して、 チャットツールやチャットボットを用いて会話したり、 各ユーザーの情報や属性に合った情報を提供したりすることで、 Web経由のターゲット顧客の問い合わせを増加させたいと考えて います。現在SNSは、 FBビジネスページとグーグルマイビジネスを運用しています。 どうぞよろしくお願いいたします。 (ここまで登録した相談内容)
上記の相談登録に対して、1週間余りで10名以上のIT専門家からアプローチがあり、そのうち5名から正式な支援計画の提出がありました(【前編】のときから時間が経過したため、支援計画の提出数が増加しています)。
支援計画とは、私が抱えている問題に対してどのような支援をしてくれるのか、ロードマップを分かりやすく説明するものです。
5名の候補者の中から支援計画の内容を見て、3名から支援を受けることにしました。
10名以上の中から専門家を選んだ基準は以下です。
① 支援計画が提出できるか
支援計画の提出を求めると、半数以上の専門家が脱落しました(明確な支援プランがないためか、支援計画を提出してきませんでした)。そのうちの何名かは、支援計画を提出できない代わりに、Zoomでの無料面談を提案してきましたが、丁重に素早くお断りしました。
② 支援計画の内容
課題に対して明確な改善プランを提示してきているか、支援成果がイメージできるか
③ コミュニケーション能力
正式契約するまで、サイト内で複数回メッセージのやり取りをするので、ある程度は分かってくる
以上のような判断基準で3名の専門家を選定しました。
専門家を選ぶ過程で、熱意とかプロフィールとか過去の実績とか、そういうものはあまり考慮しませんでした。
私が今回最も重視したのは、問題点に対してどのようなアプローチでどのような貢献をしてもらえるのか。その提案内容です。
それから2週間程度かけて、3名のIT専門家の助言を聞きました。
東京2名、大阪1名。すべてオンライン面談。1人当たり2時間~3時間程度。
結果的には、そのうち1名から継続支援を受けることにしました。
他2名の方は、こちらのニーズと違っていたり、私の考えていた予算オーバーしたりで、継続支援につながりませんでした。
3名と面談しプランを比較することで、私がいま求めている支援人材を明確化することができました。
この事業は、事業者の課題が一つでも、専門家の支援アプローチが違っていれば、予算内(30万円)で、一部自己負担は発生しますが、複数の専門家の支援を受けることができます。
この事業の一番のメリットは、リスクを抑えて失敗できることだと思います。
IT専門家に相談しづらい(これは経営コンサルタントにも共通しますが)のは、「何をしてくれるのか」「本当に費用対効果があるのか」見えてこないから、です。
その部分が大きなリスクとなり、経営者は相談への一歩を踏み出せません。
しかしこの事業を使えば、リスクを抑えて失敗することができます。
私の場合で言うと、10人以上からアプローチがあり、1名を選びました。私は9名の専門家とのマッチングに失敗したと言えます。
しかし、事業を使うことで、リスクを最小限に抑えることができました。
今回、事業の枠組みを使うことで安心感が生まれ、長年悩みとなっていた課題解決に向けて一歩踏み出すことができたのです。
このように中小企業デジタル化応援事業を使えば、仮に失敗しても、失うものは少なく済みます。
もしあなたがこの事業にトライしてみたいと思うなら、ポイントは、
① 自社のデジタル化の課題を明確にすること
② 多くのIT専門家とやり取りし、自社に最適な専門家を探すこと
③ 小さな失敗を重ねながら、将来の成功に向けて改善を進めていくこと
です。
経営者が上記①~③について行動することで、自社にとって財産になります。
例えマッチングに失敗しても、事業活用に向け行動していく過程で、自社に足りないことが見えてくるからです。
体験してみて、中小企業デジタル化応援事業は、「使い勝手の良い事業」だと感じました。
デジタル支援テーマの広さ、事業のサイト設計(使い易さ)、事務局の対応、自己負担割合、行政事業という安心感。いずれも高いレベルを実感しました。
そのため複数の経営者に、「良い事業なので、貴社のデジタル課題解決に活用してはどうですか?」と、勧めました。
数週間が経過しましたが、「あの事業紹介してもらって使ってみました」、という話が、現時点では私のもとに届いていません。
使い慣れない行政補助事業を使うハードルは、考える以上に高いのかもしれません。
また、知り合いの経営者をリサーチしましたが、第2期に入っているにもかかわらず、当事業の存在を知っている人は皆無でした。まだ認知度が低いのです。
事業活用を広げていくには、経営者と支援事業の間をつなぐ、コーディネーターのような存在が必要なのでしょう。
私の相談1件に対して、10人以上からアプローチがありました。
今、中小企業デジタル化応援事業は、デジタル課題相談者(経営者)より支援者(IT専門家)の方が圧倒的に多い、需給のアンマッチが生じている気がします。
中小企業は各々、デジタル化に向けた課題を抱えています。しかし補助事業活用につながらない。
ギャップを解消するには、経営者のデジタル課題を掘り起こして、補助事業につなげる何らかの仕掛けが必要なのかもしれません。
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