「毎月、銀行へ多額の借入金を返済しているのに、損益計算書をいくら眺めても、その金額が見つからない」
「通帳の引落額には利息も含まれている。年間の元金返済額は、どの資料で調べればよいのだろう?」
「借入残高は減っているが、途中で追加融資も受けた。実際にいくら返したのか、正確に把握したい」
銀行借入金の元金返済は経費ではないため、損益計算書には載りません。これからの返済額は返済予定表、実際に返した額は借入金元帳と通帳で確認します。損益計算書に載るのは、原則として「支払利息」です。
愛媛を拠点に全国の企業を支援する和田経営相談事務所では、まず元金・利息・借入残高を分け、同じ期間で集計することを重視しています。返済額の把握は、黒字でも現金が残らない理由を説明し、次の投資を検討する出発点です。

損益計算書(P/L)は、一定期間の収益・費用・利益を示す書類です。銀行から借りたお金は売上ではなく、返済義務のある資金です。借入時には現預金と借入金が増え、元金返済時には両方が減ります。
つまり、元金返済は貸借対照表(B/S)の資産と負債を減らす取引です。お金は出ていきますが、その期の費用ではありません。一方、利息は借りるためのコストで、通常はP/Lの営業外費用「支払利息」に計上されます。
日本政策金融公庫の「創業の手引」29ページでも、借入金の返済元金を経費に含めない考え方が示されています。

上の図は、長期借入金3,000万円を設備2,000万円と在庫1,000万円に使う例です。設備は残存価額等を考慮せず10年間で均等に費用化すると、減価償却費は年200万円。在庫は販売された分が売上原価になります。
この費用化の時期と、銀行への元金返済時期は一致するとは限りません。借入・購入・費用計上・返済を、それぞれ分けて考えましょう。
今後払う額を見るのか、すでに払った額を調べるのかで、使う資料が変わります。決算期の実績なら期首から期末まで、今後の資金計画なら計画対象の期間にそろえます。
次は、A銀行とB銀行のある1か月の支払いを分けた例です。
| 項目 | A銀行 | B銀行 |
|---|---|---|
| 元金 | 100,000円 | 200,000円 |
| 利息 | 5,000円 | 10,000円 |
| 支払合計 | 105,000円 | 210,000円 |
2行合計の元金は300,000円、利息は15,000円、支払合計は315,000円です。仕訳の考え方も、借入金を300,000円減らす部分と、支払利息15,000円を費用にする部分に分かれます。
毎月の元金が変わらず、12回返済する場合
300,000円×12か月=年間元金返済額3,600,000円
元利均等返済では、支払合計が一定でも元金と利息の内訳が変わります。途中で返済開始・完済する借入、元金据置、一括返済、繰上返済もあるため、通常は対象期間の各回の元金を足し上げてください。上の月額利息が毎月同額とは限りません。
期限一括返済や借換えも、資金繰りでは返済支出と借入収入を分けます。借換えで賄う返済を、通常の分割返済と区別しておくと、その後の返済負担を判断しやすくなります。
B/Sにある短期借入金・長期借入金は、決算日時点の残高です。期中の新規借入も反映されるため、前期末と当期末の差額が、そのまま年間返済額になるとは限りません。
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この図は、先ほどのA銀行・B銀行とは別の事例です。最初に前期残高2,000万円、途中の借入500万円、当期残高1,400万円を見ます。残高は600万円減っていますが、元金返済額は次のとおりです。
期首残高+期中借入額-期末残高
=2,000万円+500万円-1,400万円
=年間元金返済額1,100万円
この式は、借入金の増減が新規借入と現金による返済だけで、集計対象が同じ場合に使えます。債務免除、為替換算、科目間の振替などがあれば調整が必要です。短期・長期・1年内返済予定分の分類変更も、返済と混同しないでください。
年間返済額が分かっても、毎月いくら返したかは分かりません。1,100万円を12で割った平均額を、そのまま各月の資金繰りへ入れず、実際の返済日と金額を照合します。繰上返済も現金による返済であり、それだけで上の式が使えなくなるわけではありません。
返済額が分かったら、同じ期間の税引後当期純利益+減価償却費と比較するのが簡易的な確認方法です。ただし、この合計は実際に返済へ使える現金そのものではありません。売掛金・在庫の増減、設備支出、税金の支払時期なども確認します。
支払利息はすでに利益に反映されているため、この比較では元金を使い、利息を二重に差し引かないようにします。一方、月別の資金繰り表には、元金も利息も実際の支払額を記載します。
設備投資や事業拡大を検討するときは、既存借入に新しい借入の返済を加え、月別の入出金でも不足がないかを確認しましょう。
直近2期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)をご用意ください。付属の明細も一緒に送れます。まず資料で分かる数字を整理し、必要な不足情報を順に確認します。
形式はPDFがおすすめです。Excel(.xlsx・.xls)、JPG・PNG画像も添付できます。紙ならスキャンしてPDFにするか、ページ全体を鮮明に撮影してください。決算期・科目名・金額・単位が読めることを確認します。
画面右下のチャットを開き、クリップマークから添付します。スマホでPDFを選ぶ際は「写真ライブラリ」ではなく「ファイルを選択」を使い、添付後に次の質問を送ってください。
添付した直近2期分の決算書を基に、当社の借入残高と支払利息の変化、元金返済額を調べるための確認事項を整理してください。残高の差額を年間元金返済額と決めつけず、資料にない数字は推測しないでください。追加情報が必要な場合は、必要な項目から一つずつ質問し、次に何を確認すべきか教えてください。
決算書2期分だけでは、年間元金返済額を確定できない場合があります。資料はご自身の会社のもので、取り扱う権限があるものに限り、不要な個人情報を除いてください。利用前にプライバシーポリシーをご確認ください。
まず全借入の返済予定表をそろえ、元金と利息を分けてください。実績は元帳・通帳で確かめ、年間合計と月ごとの支払額の両方を把握します。利益だけでは見えなかった返済負担を明らかにすることが、次の成長に必要な財務管理につながります。
自社の財務基盤を盤石にし、本気の事業成長を目指す方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。