先日の4月1日で、開業してから12年が経過しました。
時間の経過は早いものです。
経営コンサルタントは目に見えないものを売っています。
私も12年間、目に見えないものを販売してきました。
「在庫を持たない」というメリットもありますが、「商品が分かりづらい」というデメリットもあります。
顧客は何を根拠に、依頼するのでしょう?
「あそこに頼めば解決してくれるだろう」という期待感、「信用」がポイントでないかと思うのです。
では信用はどのように得られるのか?
プロジェクト実績を積み上げることではないか、と考えます。
私の事業形態の場合、中心的なプロジェクトとは、「経営計画書」「事業再建計画書」「事業内容調査報告書」「経営診断報告書」などの成果物を発注先に納品することです。
【目次】
開業して間もないころ、コンサル業界の先輩から言われて、今の活動で参考になっている言葉があります。
①先輩Aさん
あれこれプロジェクトに手を出して、何も完結できない経営者やコンサルは信用されない。プロジェクトを一つ一つ成果にしていくことが大切。
②先輩Bさん
今後コンサル活動をしていくうえで、最も大切なことは何ですか?と質問した私に「信用ではないですか」との一言。
いずれも、「何か成功の秘訣があるのではないか?」と感じていた私にとって、開業当初は「そんなものか?」とピンとこないものでした。
今思えば、自分が実際にコンサル経験していないから、理解できなかったのだと思います。
それから12年。お二人の言葉をかみしめながら、活動しています。
ではプロジェクト実績を積み上げるために、何が必要か、考えてみたいと思います。
プロジェクト実績を積み上げるとは、経験を積み上げることです。
経験のためには、コンサル依頼が必要となります。
私の場合は、開業当初の3年間、行政機関のコーディネーター業務(創業支援関係)を週3日やっていたので、そこで経験を積みました。その活動をやっていると、色々な方面から打診があり、徐々に事業の幅が拡がっていきました。
最初はフィーも安かったのですが、採算度外視で、まずは経験を積むことを重視しました。
そうして年月をかけ、徐々にプロジェクト依頼が増えてきました。
だから、開業当初はどのように依頼を受けるか、その作戦が必要になります。
以下の記事で説明していますので、参考ください。
【参考記事】中小企業診断士が独立・開業に失敗しない方法
依頼が増えてくると、発注者に対してどのように期待に応えるか、考えます。
最初は試されている部分もあるので、発注者の期待以上の成果物を納品します。
価格以上の成果物を納品しようと、試行錯誤、悪戦苦闘する過程で、スキルは上がり、ノウハウも蓄積されていきます。
プロジェクトを積み上げていく過程で、案件が経験となり、事業別のフォーマットなど、横展開できるようになります。
自分の形ができてくるのです。
もちろん、案件ごとに事業背景や抱えている課題は千差万別で、同じものはありません。
ただ、アプローチの方法は経験を積むことで、蓄積されていきます。
例えば、資料の集め方や、経営者との接し方などです。以下記事を参考ください。
【参考記事】
会社を再建する!経営改善計画書の作り方①~支援が始まる前に経営者に確認すること~
会社を再建する!経営改善計画書の作り方②~計画を作るための必要書類~
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)
最初は新鮮な気持ちで取り組んでいたプロジェクトにも、経験を積んでくれば、慣れが出てきます。
慣れは惰性を生むことがあります。
特に組織に属していない経営コンサルタントは、プロジェクトの途中地点で、仕事の進捗をチェックされることが、あまりありません。
プロジェクトの評価を受けるのは、納品時です。
例えば、私の場合なら、計画書や診断書など成果物を納品するときです。
締切期日間際に、作業を集中させると、やっつけ仕事になり、精度の高い成果物は完成しません。
他の方は場合は分かりませんが、私の場合はそうです。
そのため、最初にプロジェクトの全体像を把握し、作業スケジュールに落とし込みます。工程表を作ります。
ちょうど建設会社が建設現場の工程表を作成して、計画的に作業を進めていく様子に似ています。
作業工程を一つ一つ消し込んでいきます。
成果物が、建物など建築物か、計画書かの違いです。
途中、臨機応変に作業スケジュールや作成項目を入れ替えていきます。
また、発注者と中間打合せなどを実施して、正しい方向に進んでいるかを確認します。
このようにして、油断すると品質が落ちる成果物の精度を上げるため、気を付けています。
例えば経営再建計画作成のプロジェクトについて、考えてみます。
①発注者からの要請(金融機関や行政機関など)
②支援企業経営者とのマッチング面談
③依頼内容、スケジュール、条件面の交渉
④契約
⑤必要書類の依頼
⑥現地訪問現場確認
⑦計画策定のための経営者ヒアリング、意見交換、方向性の助言、数値計画の打ち合わせ(5~10回程度)
⑧計画書作成
⑨中間打合せ
⑩金融機関等参加の債権者会議出席
⑪要請があれば、債権者会議を受けた計画の追加修正作業
⑫再建計画の合意
⑬コンサルフィーの受取
(ここまで6か月程度)
⑭案件によっては計画期間中のモニタリング(3年程度)
このような一連の流れです。
途中、想定外のことが度々発生します。そのたびに関係各所と相談しながら、軌道修正を図り着地点を模索します。
こうして1件のプロジェクトが完成となります。
このような経営計画書、経営診断報告書の納品を、開業から12年間で30社以上、実施してきました。
以下が積み上げてきた実績です。
【参考】和田経営相談事務所の企業支援実績
1件1件のプロジェクトの積み上げが、実績になります。
プロジェクトを積み上げて実績とし、信用を得るためには時間がかかります。
例え、運よく案件が獲得できても、品質が伴わなければ、それきりとなり、リピートとはなりません。
品質が劣っていたり、その場限りのいい加減な仕事をしていると、地域で悪い評判が立ち、信用が低下します。
信用が低下すると、依頼が来なくなります。
経営コンサルタントも事業ですから、良いときも悪いときもあります。
しかし悪いときにも、地道にプロジェクトの積み上げていれば、そのうち良い風も吹いてきます。
プロジェクトの積み上げが、信用へとつながります。
最初にご紹介した、私の2人の業界の先輩がおっしゃっていた言葉は、そういう意味だとやっと分かり始めたのです。
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