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【経営者必見】銀行は販売管理費のどこを見る?決算書から読み解く経営の健全性

前回は、銀行が中小企業の損益計算書において、収益構造や返済能力をどのように分析するかを解説しました。今回は、損益計算書の中でも重要な要素である販売管理費に焦点を当て、銀行が企業の経費の使い方を通して、どのような経営状況や意思決定を見ているのかを、中小企業支援を行う経営コンサルタントの視点から解説します。銀行が決算書のどこを見るのかを把握することは、金融機関との良好な関係を築く上で非常に大切です。

銀行が販売管理費から分析する企業の経営効率

販売管理費は、企業が本業で売上を上げるために費やした費用の総称であり、人件費、広告宣伝費、交際費、旅費交通費、減価償却費などが含まれます。銀行員は、この販売管理費の内訳や金額、売上高に対する比率などを分析することで、企業の経営効率やコスト管理能力を評価します。

 

銀行員が販売管理費明細で注目する6つのポイント

銀行員は、販売管理費の明細を詳細に確認し、企業の経営状況を様々な角度から評価します。ここでは、特に重要な6つのチェックポイントについて解説します。

1. 役員報酬:適正水準と業績とのバランス(銀行 決算書 見方)

銀行員は、役員報酬の金額が企業の業績に見合った水準であるかを注視します。特に、赤字企業であるにもかかわらず、役員報酬が高額に計上されている場合は、経営者のコスト意識や株主(中小企業の場合は経営者自身であることが多い)への利益還元意識に疑問を持つことがあります。

中小企業の場合、銀行は法人と個人を一体とみなす傾向があり、役員個人に多額の負債がない場合には、「生活費を除く役員報酬」を借入金の返済財源に含めて判断することがあります。そのため、役員報酬の金額は、企業の返済能力を評価する上で重要な要素となります。

逆に、役員報酬を大幅に減額したり、支払いが滞っている場合は、企業の業況が悪化していると判断します。

【関連記事】社長 役員報酬 決め方】基準は?変更方法は?失敗しないためのポイント(2025年版):役員報酬の決定に関する考え方を紹介しています。

2. 接待交際費:必要性と効率性の検証(銀行 販売管理費 チェックポイント)

接待交際費は、企業の営業活動において必要な経費ですが、銀行員は、その使用額が企業の業況に見合っているか、過剰な支出がないかを確認します。特に、業績が厳しい状況であるにもかかわらず、接待交際費が多額に計上されている場合は、コスト管理意識の低さを示すと判断されることがあります。

【関連記事】銀行から見て首をひねりたくなる決算書⑤~赤字なのに役員報酬、接待交際費が多額~:問題視される接待交際費の例を紹介しています。

3. 福利厚生費:従業員への配慮と企業の余裕度

福利厚生費は、従業員の労働環境を整備し、モチベーションを高めるために重要な経費です。しかし、赤字企業であるにもかかわらず、過度な社員旅行などを実施している場合、銀行員は経営者の危機管理能力に疑問を持つことがあります。また、そのような状況は、経営者が従業員に対して自社の厳しい状況を十分に説明できていない可能性を示唆しているとも考えられます。

4. 減価償却費:適正な計上と利益調整の有無

減価償却費は、固定資産の価値の減少を費用として計上するもので、銀行員は、これが適正に計上されているかを別表(固定資産明細)と照らし合わせながら確認します。減価償却費が過少に計上されている場合は、意図的に利益を大きく見せようとしている(利益調整)と判断されることがあります。

【関連情報】【償却不足とは】発生理由と確認方法、銀行評価への影響を徹底解説(2025年版):減価償却の重要性について解説しています。

5. 旅費交通費:効率的な出張とコスト意識

旅費交通費は、営業活動や出張に必要な経費ですが、銀行員は、無駄な支出がないかをチェックします。特に、赤字が続いている状況下での旅費交通費の支出には、より厳しい目が向けられます。出張の必要性や移動手段の効率性などが検討されているかを確認します。

6. 人件費:生産性とコスト構造のバランス

人件費は、販売管理費の中でも大きな割合を占めることが多い項目です。銀行員は、売上高に対する人件費の比率が適正であるか、過剰な人件費が利益を圧迫していないかを確認します。同業他社との比較や、過去の推移などを分析し、人件費の効率性を評価します。

【関連記事】【人件費 分析】適正額は?労働分配率・売上高比率・一人当り売上高で見る(2025年版)

銀行は「言わないが見ている」販売管理費の重要性

これらの販売管理費の内容は、企業の経営判断に深く関わるため、銀行は通常、業績が良い時には細かく指摘することはありません。しかし、リスケジュール(返済条件の変更)を申請したり、支払いが遅延するなどの業況悪化が見られた場合には、これらの項目について厳しく追及してきます。普段から、銀行はこれらの情報をしっかりと把握しているのです。

販売管理費の分析を通じて、銀行は企業がどのような経費に重点を置き、どのように業績を向上させようとしているのかといった、経営者の意思決定を読み取ろうとしています。

【関連記事】販売管理費の使い方を考える~削る経費、削らない経費~:コスト削減のヒントになる情報を提供しています。

まとめと今後について

今回は、銀行が中小企業の販売管理費の明細をどのように見ているかについて解説しました。役員報酬、接待交際費、福利厚生費、減価償却費、旅費交通費、人件費といった各項目は、企業の経営状況やコスト管理能力を示す重要な指標となります。

次回は、決算書のさらに詳細な情報が記載されている付属明細書について、銀行がどのような点に着目しているのかを解説します。

【最終回】銀行は勘定科目内訳明細のどこを見る?決算書分析の深層に迫る:次に読むべき記事としてご提案します。

 

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