前回に引き続き、第2回目の今回は、損益計算書編です。
損益計算書は、1年間の売上や利益を現しているものです。銀行員が見ていることは、以下のようなことです。
①売上の推移はどうなっているか
売上の増減傾向はどうなっているか、3期間程度の決算書を並べて時系列で見ていきます。増減の要因を分析します。
②利益の推移はどうなっているか
利益も売上総利益、営業利益、経常利益、当期利益といろいろな種類があります。特に、利息支払い後の借入元金の返済財源である、経常利益を重視します。各利益の3か年の推移を把握します。金額とともに、売上との比率を確認します。大きな増減について、要因を分析します。
③営業利益で支払利息は支払できるか
専門用語で、インタレストカバレッジレシオと言います。算式は (営業利益+受取利息・配当金)/(支払利息+割引料)×100 です。この指標が100%を下回れば、本業の収益で利息が支払えないということになり、厳しい評価になります。
④特別損益の内容はなにか
最終的に当期利益の黒字がでていたとしても、例えば、経常利益までが赤字で、不動産等の売却により特別利益を計上した場合などは、一過性で黒字計上したと見ます。また、逆に最終当期利益が赤字であっても、固定資産の除却損等を計上した場合などは、一過性の赤字とみて、あまりマイナス材料としてみません。固定資産の除却損は、キャッシュの流出を伴わないからです。
【参考記事】固定資産除却損とは過去の投資失敗 ~財務への影響を軽視してしまうのはなぜか~
⑤法人税は支払われているか
地域社会に対する貢献度を判断します。
銀行が、損益計算書で最も重視することは、利益(減価償却含む)で借入金元金を返済してもらえるのかということです。(税引き後利益+減価償却=借入金返済財源)これを確認するため、上記のような内容をチェックしているのです。
ちなみに、決算書のコピーを渡したとき、「中を拝見させていただいてもいいですか。」と言い、中身を開いて一言、二言コメントする銀行員なら、まあ及第点です。
中には、そのまま中身も確認せずに、カバンにしまいこむ銀行員もいます。経営者としては寂しいものです。決算書は、企業にとって大切なものなのです。その辺を観察していると、その銀行の特徴が見えてくるかもしれません。
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