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黒字予測を裏切る赤字決算:3つの原因を解明

決算期の途中まで、「今期は黒字で着地だな」と思っていたのに、決算処理をしたら赤字になっていた。

そんな経験はありませんか?

試算表は毎月見て、黒字を確認していたはず。

銀行には「今期は黒字になりそうです」、と報告していたのに。困った困った、、、。

黒字予測が赤字

今日は「黒字予測がフタを開ければ赤字になった」、3つの要因について考えてみます。

(期末に何かおおごとが発生したという話ではなく、財務処理の問題による赤字発生の話です)。

 

減価償却を月次でやってないので期末に一括計上する

まず考えられる要因は、減価償却を毎月やっておらず、年度末に一括して計上したためです。

私は中小企業の試算表をたくさん目にしてきましたが、多くの中小企業が減価償却費を月次計上していません。顧問税理士事務所の方針なのか、決算期に全額費用計上することが多いようです。

そのため、今まで黒字だと思っていたのに、決算をしてみれば赤字転落、という事態が発生します。

今日は詳しくお話ししませんが、減価償却費は費用です(減価償却費については以下の記事を参照ください)。

【参考記事】減価償却の意味~減価償却費の扱いは、経営にどう影響するか~

 

法人の場合、減価償却は税務上任意計上なので、「赤字になるので減価償却をしない」という選択肢もありますが、良くない選択です(詳細は以下記事を参照ください)。

【参考記事】減価償却不足額を、銀行はどう見ているか

 

そうならないための対策は、期初に今年度の年間減価償却費の見込みを計算し、毎月年間の1/12を費用として処理しておくことです。年間減価償却費の見込み額計算は、顧問税理士事務所にお願いすればやってくれます。そもそもクライアントに言われなくとも、経営の実態を適時把握しておくためには、そういう月次処理をしておくべきですが。

 

在庫を月次で棚卸せず決算期に一括で実施した

次に考えられる要因は、在庫を月次で棚卸していないので、期末に締めてみると在庫の金額が期初より少なくなったからです。

在庫の額が少なくなった。良いことではないの?そうとも言い切れません。

まず売上原価の計算方法について、簡単に説明します。

【売上原価の計算式】

売上原価=期首在庫+年間仕入金額-期末在庫

次に簡単な数字を入れてみます。

【期首在庫1,000万円 仕入高1億円 期末在庫1,000万円の場合】

売上原価=1,000+10,000-1,000=1億円となります。

期末在庫の評価額が500万円だったらどうでしょう?

売上原価=1,000+10,000-500=1億500万円

売上原価が500万円増えましたね。利益が500万円減ったことになります。

在庫の評価額が期初から減るとはどういうことでしょう?

売上が好調で、定価で在庫が販売できたなら、これは良いことです。売上も利益も上がるでしょう。

しかし、期末在庫の評価額が下がった原因が、期末に棚卸したときに発覚した商品の破損や、流行遅れによる商品価値の低下だったら、どうなるでしょう?

そうです、その部分は赤字です。

毎月の在庫棚卸をしていないと、決算期に期末在庫の減少が発生することがあります。

これが2つ目の要因です。

そうならないための対策は、ベストは毎月、少なくとも3か月に一度、在庫の棚卸を実施することです。1年間も在庫の状態を把握できていないなんて、恐ろしくないですか?

 

月次処理の事務ミス

3つ目の要因は、月次処理のミスです。

例えば、売上の計上ミス。前受金や預り金で処理しないといけないのに、誤って売上に計上していた。現金が入ると売上に計上できるのではありません。

分かりやすい例で言えば、建設業公共工事の前受金。口座に現金は入りますが、工事が完成するまでは、売上として計上できません。

また、経費の計上漏れ。仕入代金や固定経費など月次処理を失念していた場合、決算期に修正になることがあります。

ミスしやすいのは、現金が動いていない経費。例えば、業績が苦しく役員報酬を未払にしていても、経費処理する必要があります。

売上や経費の計上ミスを防ぐためには、正確な事務処理体制を作ること。可能なら社内でダブルチェック体制を採ることです。

また、経営者は試算表数値を見て、違和感に気づく感性が必要です。

「試算表では利益が出ているけど、現金の動きや顧客の来店状況を見ると、こんなに利益があるはずない、どこか数字がおかしいのではないか」、など。違和感を持てば原因を分析し、間違いに気づくことができます。

 

以上、「黒字だと思っていたら、フタを開けてみたら赤字になる」3つの要因について考えてみました。財務管理強化の参考にしていただけますと幸いです。

 

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