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決算書を理解して会社を成長させる【基本編】~①損益計算書の読み方3つのポイント~

自社の決算書を読みこなすことで、会社の強みや弱みを把握し、成長戦略を立案することができます。

ただ、現場や会社組織の統率に忙しい社長は、なかなか決算書の読み方を勉強する時間が確保できません。

そこで、今回から何回かに分けて、「決算書の読み方」をできるだけ簡単にお話しします。

いまさら聞けない「決算書の読み方」。

【基本編】の第1回目。

今回は「損益計算書」の話です。

「学び直し」にご活用いただければ幸いです。

 

まず話を進めるうえで損益計算書の例を添付します。

私が作った架空会社A社は、地方都市の食料品小売業です。

 

損益計算書ただ眺めるだけではダメ

損益計算書をただ眺めるだけでは、黒字か赤字か、売上は増えたのか減ったのか、ぐらいしか分かりません。

以下でお話しするように、手作業で修正が必要です。

簡単ですから、やり方を知って、やろうとする気があればできます。

後ほど説明しますが、方法は、「率」で把握することです。

 

粗利は確保できているか

損益計算書でまず確認したいのは、粗利(正式名:売上総利益:当メルマガでは粗利といいます)です。

粗利の計算式は以下です。

粗利=売上高-売上原価

上記A社の場合は、300,000千円-186,000千円=114,000千円が粗利です。

この粗利が、人件費や家賃、その他の経費の支払原資となります。

 

粗利を率で確認する

粗利が分かれば、粗利率を計算します。

粗利率=粗利÷売上高×100

A社の場合は、114,000÷300,000×100=38.0%になります。

損益計算書には粗利率の記載は無いですが、粗利は必ず手計算により、「率」で確認することが大切です。

次に自社の粗利率が適正なのかどうかの判断が必要ですよね。

比較相手は、同業他社と過去の自社です。

同業他社平均は、業種ごとに日本政策金融公庫(小企業の経営指標調査)に出ています(粗利率ではなく「売上高総利益率」と書かれていますので注意)。

過去の自社との比較は、最低でも昨年分、出来れば過去5年分ぐらいを確認します。

このように、直近期の自社の粗利を、同業他社・過去の自社と比較して傾向をつかみます。

例題のA社の場合は、過去の数値は載せていませんが、同業他社と比較した場合、問題はないようです。

 

人件費を確認する

次に確認するのは、人件費です。

人件費は、給与だけではありません。

社会保険料の会社負担分も人件費です。

以下のものを人件費と呼びます。

役員報酬、給与、労務費(製造業、建設業、運送業等の場合)、雑給(パート・アルバイト代のこと)、退職金、法定福利費(社会保険料、労働保険料などの会社負担分)、福利厚生費。

この合計額が人件費です。

例題のA社の場合は、人件費の合計は、83,000千円です。

ここでも「率」を確認します。

売上高人件費比率と言います。

計算式は、人件費合計÷売上高×100です。

A社の場合は、83,000÷300,000千円×100≒27.7%となります。

粗利率と同じように、同業他社と過去の自社と比較します。

同業他社は、業種ごとに日本政策金融公庫(小企業の経営指標調査)に出ています(「人件費対売上高比率」と書かれていますので注意)。

A社の場合は、同業他社(20.6%)と比較して、高い(+7.1%)ことが分かります。

 

販売管理費の内訳を見る

次に確認するのは、販売管理費の内訳です。

販売管理費とは、人件費以外の事務所経費や営業経費のことです。

製造業、建設業、運送業などは、販売管理費以外に「製造原価報告書」が別途あるのですが、今日はその話はしません。

業種によって多少の違いはありますが、A社の様な経費があります。

中身を項目ごとに確認していきます。

この販売管理費ついては、日本政策金融公庫の統計資料に同業種平均値がないため、社長の判断が必要になります。

必要なもの、削減が可能なもの、不要なもの、に分けていきます。

私の経験上で言うと、特に広告宣伝費、接待交際費、支払手数料、旅費交通費、各種会費、雑費、などに関して確認が必要でしょう。

内訳に不明点や疑問点があれば、顧問税理士事務所に「総勘定元帳」を出してもらいます。

総勘定元帳には、勘定科目ごとの1年間の内訳が記載されています。

 

例題A社の問題点と対策

このように、損益計算書の読み方には3つのポイント、①粗利を率で確認②人件費を率で確認③販売管理費の内訳を確認があります。

では、例題A社からはどういうことが言えるでしょう。

✔ 粗利は問題ない

✔ 営業利益が赤字

✔ 経常利益は雑収入により黒字だか、黒字は一過性のもの(来期は苦しくなる)

✔ 営業赤字の原因は、売上と人件費のアンバランス(売上高人件費率が高い)

ということが分かります。

A社の場合の一番のポイントは、人件費支給に売上高が見合っていないことだと言えます。

その結果、営業利益が赤字になっています。

対策としては、

✔ 売上を伸ばす(生産性を上げ従業員一人当たり売上を伸ばす)

✔ 粗利率を上げる(値上げ交渉、付加価値商品の投入、仕入コストの削減)

【参考記事】【値上げ根拠計算シート付】値上げのタイミング ~値上げの考え方と根拠~

✔ 人件費を減らす(配置転換、人員削減、役員報酬削減)

【参考記事】【人件費計算シート付】あなたの会社の人件費は適正なのか ~どのように調べ、どう経営に活かすか~

✔ 販管費を減らす(コスト削減)

【参考記事】【コスト削減確認シート付】営業利益がマイナス。会社を立て直すコスト削減の具体的方法

などになるでしょうか。

 

このように自社の損益計算書を読み込む(率に修正しながら)ことで、現状の経営問題点を把握して、的確な対策が可能となります。

以上、「損益計算書3つのポイント」について、お話しました。

今後の貴社の財務改善にお役立ていただけますと幸いです。

 

 

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