中小企業のコンサルティングに入るとき。
色々な角度から、企業を取り巻く経営環境の現状を分析し、今後の進む方向性について提言します。
この流れを「経営診断」と言います。
個人で言うと、健康診断の様なものです。
健康診断は、体に関するデータを収集し数値化して、改善ポイントを提案してくれますよね。
中小企業に対する経営診断も、同じような流れです。
「数値データを収集し並べてみる、分解する」というアプローチを採ります。
【目次】
企業活動に関して数値データと言えば、一番身近なところで「決算報告書」があります。
1年に一度、税理士事務所から届きますよね。
貸借対照表、損益計算書、販売管理費、製造原価報告書、勘定科目内訳明細、別表、、、。
そのあとには細かい数値分析データがついています。
安全性、収益性、効率性などの各指標。
売上高営業利益率、流動比率、固定比率、負債比率、自己資本比率、労働分配率、各資産の回転率、営業キャッシュフロー、、、。
色々ありすぎて、どれが大事か、正直よく分からないかもしれません。
そこでお薦めするのが、まずは数値を時系列に並べてみることです。
手始めに、損益計算書、貸借対照表の5年分をエクセルシートを使い、並べてみます。
なぜ5年間かというと、コロナ発生前とコロナ発生後の財務数値を比較できるからです。
今ある数値を移し替えることなので、難しくはありません。
損益計算書は、企業活動の1年間の収益と費用を確認するものです。
貸借対照表は、今までの企業活動の資産、負債、資本の蓄積を確認するものです。
どちらも大切です。
ポイントは、自分の手でエクセルに入力してみることです。
損益計算書では、
✔ あ、この年は材料費が増えたのか、
✔ この年は雑収入(本業以外の入金)が多かったのか、
✔ 売上は増加傾向か減少傾向か、
✔ 利益はどんどん厳しくなっているな、
貸借対照表では、
✔ 自己資本が目減りしているな、
✔ 現預金が減っているな、
✔ 金融機関借入金が増えているな、
✔ 在庫が膨らんでいるぞ、
✔ 設備投資したから固定資産が増加してるな、
などなど、、、。
企業活動を、財務数値の時系列化により、社長自身が確認できるのです。
次のステップでは、販売管理費と製造原価報告書に取り組みます。
小売業、卸売業、飲食業、不動産業、サービス業などは製造原価報告書がありませんので、販売管理費のみ作業します。
同じように、5年分エクセルに数値を入力し、並べてみます。
販売管理費では、
✔ 役員報酬がこの年増えた(減った)、
✔ 人件費がこの年増えた(減った)、
✔ 支払手数料が増えているけど何だろう?
✔ 雑費の額が大きいぞ、何だろう?
✔ こんなに接待交際費や旅費交通費使っていたっけ?
製造原価報告書では、
✔ 材料費の推移
✔ 労務費の推移
✔ 外注費の推移
✔ その他製造コストの推移
などなど。
数値を入力していると、「時系列で見た異常値」に気づきます。
例年と比較して、大きく増えたり減ったりしている数値。
その数値を、入力その都度、黄色など、目立つ色で色塗りします。
そして、入力完了後、色塗りした部分の原因について解明していくのです。
原因がはっきりすれば問題ありません。
原因解明の過程で、もしかしたら社長が把握できていなかったことが、見えてくるかもしれません。
社長のあなたは、自社にとって大切な指標を把握していることでしょう。
今までのエクセルシートに、カスタマイズして追加してみます。
例えば、労働集約型事業なら、売上高人件費比率や労働分配率など。
売上が下がっているのに、人件費は同水準であれば、売上高人件費比率は悪化します。
例えば製造業であれば、材料費と売上のバランス。
売上高材料費比率。
在庫の回転期間も大切です。
棚卸資産回転率の5ヵ年推移を比較します。
会社ごとに、それぞれの事情や経営環境が違います。
そのため、どの指標が重要か、も違います。
あなたの会社にとって大切な指標を分析しましょう。
重要な数値・指標が分かれば、そして時系列化して、俯瞰してみれば、何をしなければならないかが見えてきます。
✔ 材料の調達を見直さないといけないのか、
✔ 人件費を見直さないといけないのか、
【参考記事】【経営者向け】あなたの会社の人件費は適正なのか ~どのように調べ、どう経営に活かすか~
✔ 値上げ交渉が必要なのか、
【参考記事】値上げする時が来た ~経営者が迷う理由と値上げのステップ~
✔ 付加価値化や新商品開発による市場開拓が必要なのか、
✔ 事業分野や店舗の撤退が必要なのか、(ただし、この判断のためには、さらに部門別採算分析や店舗別採算分析が必要)
【参考記事】不採算部門からの撤退、どう判断する??
などなど。
適格な経営判断が可能となります。
数値分析を丸投げ、人任せにしていると、経営の意思決定を誤るのです。
まずは、今日お話ししたことを、できる範囲で始めませんか?
進め方や客観的な助言は、私の方でお手伝いできますので、気軽にご相談ください。
当事務所で言えば、簡易経営診断サービスに該当します。
フォーマットをこちらで作り、数値を内部資料から拾っていただき、入力してもらうことがあります。
顧客別採算表、部門別採算表、商品別採算表、店舗別採算表、プロジェクトごと採算管理、などです。
最初はしぶしぶ応じる経営者。言葉には直接出さなくとも、「必要なの?」という心の中が見えます。
本業をやりながら、忙しい中での作業依頼なので、仕方がないことです。
ただ実際に終わってみると、「気づかなかった視点に気づけた」とか「自分の感覚と違う結果に驚いた」などの感想をいただくことも多いのです。
数値で把握すること。
今すぐ緊急で必要な「第1領域」のことではないですが、急がないが実は重要な「第2領域」の取り組みだと私は感じています。
【この問題に対処する担当コンサルタント】プロフィール
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