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中小企業とリース

経営支援に入り、会社の現状を分析する際、支援先会社のリース契約を確認します。

銀行融資残高については、意識を向けている経営者や銀行員も、リース契約については案外エアポケットなっていることがあります。

しかしリース契約は、資金繰りに影響を及ぼしていることが多いものです。

リース契約が複数ある場合は、特に注意が必要です。

今日は、そんなリース契約について考えてみたいと思います。

 

リース物件

リース契約を結ぶ物件で多いのが、

 

✔ 営業用車両

✔ 運送用車両

✔ 製造機械設備

✔ 事務機器(プリンタ、パソコン、電話など)

✔ ソフトウェア

✔ ホームページ

 

などです。

 

リース契約の種類

リース契約には、主なもので、ファイナンスリースオペレーティングリースがあります。

ファイナンスリースとは、自由に選定された物件を(リース適格物件のみ)リース会社が代わって購入のうえリース期間中に貸し出し、投下資金のほぼ全額をリース料として回収する取引をいいます。原則としてリース期間中の解約はできません。

一方、オペレーティングリースとは、リース会社がリース契約終了時のリース物件の価値を査定し、リース対象価額より査定した価値(残存価額)を引いて、リース料を算定する取引です。

このため、将来の市場価値が見込めないような設備や、利用状況が見通せないケースではオペレーティングリース取引は成立しません。

 

下記の図でイメージを確認ください。

ファイナンスリースとオペレーティングリース

 

身近なところで言うと、営業用車両などは、毎月の負担金額を下げるため、残価設定方式のオペレーティングリースになっていることがありますね。

そのほか、メンテナンスリースもあります。

メンテナンスリース契約を締結することでリース料と保守料の支払を一本化して契約することです。

運送用車両に、定期点検や車検などを含んだリース料を設定するなどが、メンテナンスリースです。

 

リース契約の会計

細かな会計規定は色々ありますが、経営者は以下のように、ざっくりイメージしておくと良いでしょう。

 

■ファイナンスリース

物件価格を固定資産に計上し、同額を長期未払金として負債計上。

例えば営業用車両(300万円;5年契約)をリース契約した場合。

 

※契約時
【資産の部】      【負債の部】
リース資産 300万円   長期未払金 300万円

※1年間リース料(元金相当60万円、リース相当5万円)を支払った

【資産の部】60万円減少 【負債の部】60万円減少
リース資産 240万円に   長期未払金 240万円に

【負債の減少】      【資産の減少】
長期未払金の減少 60万円   預金の減少  60万円
支払利息      5万円   預金の減少  5万円

【経費の発生】       【資産の減少】
減価償却費    60万円   リース資産の減少 60万円

 

■オペレーティングリース

資産計上の必要がなく、そのため減価償却費も発生しない

※1年間リース料(元金相当60万円、リース相当5万円)を支払った

【経費処理】

リース料 60万円   預金の減少 60万円

支払利息  5万円   預金の減少 5万円

 

このように会計仕訳方法が違う2つのリースですが、共通するのは、現金が65万円減少したことです。

 

リース契約のマークが甘い

お話ししたように、私は現状分析や将来計画の策定支援をする場合、リース契約の内容把握を重視します。

下記のような一覧表を作り、リース金額や残高、毎月や年間の支払額を確認します。

リース契約一覧表

一覧表を作成し、経営者や銀行員に見せると、「こんなに支払いがあるの!」と、驚かれることが多いのです。

銀行融資残高には敏感な銀行員も、リース契約に関しては、あまり注意を払っていません。

しかしながら、リース契約は債務であり、支払い義務が発生する点から考えると、銀行借入金と同じぐらいの意識をおくべきです。

また、リース契約の場合は、銀行融資のようなリスケジュール対応が原則できない点も、よりリスクが大きいと言えます。

リース料が支払えなくなれば、物件は引き揚げになります。

機械設備や運搬車両だと、事業継続が難しくなります。

 

なぜ心理的ハードルが低いのか

私も事務所で使っている営業用車両を、リース契約しています。

残価設定方式のオペレーティングリースです。

車を購入する際、カーディーラーの営業マンがすべて手配してくれました。

手続きは手軽で、銀行融資のような難しい手続きは不要です。

同じように、機械設備を購入する場合には機械メーカーの営業担当者が、運搬用車両を購入する場合にはディーラー営業担当者が、事務機器を購入する場合には事務機代理店の営業担当者が、リースの手続きをすべて段取りしてくれます。

銀行融資の場合は、色々資料の提出を求められ、あれこれ質問され、審査に時間がかかり、そのあとやっと融資実行です。

融資拒絶される可能性もあります。

リースの場合は、そうした面倒な手続きがすくないため、心理面のハードルが下がるのです。

 

安易なリース契約は資金繰りを悪化させる

他銀行の融資残高には目をとがらす銀行も、なぜかリースに対しての警戒心が薄くなります。

融資とは別枠で考えている傾向があります。

そのため、他銀行の融資の返済表は求められても、リースの一覧表を求められることは珍しいです。

銀行員からリース契約書の写しを求められたことがありますか?

ただ、リースも債務です。

本来は銀行融資と一体で考えるべきです。

費用対効果、投資回収の観点が大切です。

リース契約しやすいからといって、過大な設備投資や不要な設備投資をすることが、会社の資金繰りを悪化させる一因なのです。

今日はリース契約について考えてみました。

参考いただけますと幸いです。

 

あとがき

リースは使い勝手が良いため、気軽に契約してしまいます。

財務が厳しく融資が難しくても、リースは組めたりします。

でもある意味、融資よりも怖いものです。

中途解約できませんし、リスケジュールもできません。

気づいたら口数が増え、毎月の返済額が資金繰りを苦しめる。

入り口はゆるいけど、出口が厳しい。

アメリカの大学みたいなものです。

 

 

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