【目次】
前回までお話ししてきた通り、経営改善計画書が完成しました。
企業にとって経営改善計画書を作成することは、以下の点で意味があります。
専門家など、外部の知見を活用して、
☑ ぼやけていた経営課題が明確化される
☑ 経営課題に対しての打ち手と行動の優先順位が、はっきりする
☑ 書類になり見える化したものを、債権者などにコミットするため、責任が生じ、実行可能性が高まる
ただ、たとえ立派な計画が完成しても、実行が伴わないと、「机上の空論」になってしまいます。
「机上の空論化」の防止策は、一つは、策定の過程で、経営者と意思疎通をしっかりと図ることです。そのため具体的行動策を経営者が主体となって考えてもらうことは、前回お話しした通りです。
もう一つは、モリタリング(定期的な経営者面談や金融機関への報告会)を実施することです。計画策定は大切ですが、時間とコストをかけて策定された計画が実行されなければ、意味がありません。
計画策定後も支援者もしくは金融機関が、企業に寄り添い、計画の確実な実施を伴走して支えます。
経営改善過程にある企業にとって、改善策の実施はつらいものです。出来れば楽したい気持ちが出ることもあります。
しかし、モニタリングして気にかけてくれる誰かがいれば、つらくても実行の助けになります。私も時々、「良い報告ができるように頑張ります!」と、支援先企業の経営者に言われます。モニタリングが動機づけになっているのでしょう。
モニタリングの頻度は、毎月がベストですが、企業の負担や支援者のスケジュールなども考えると、3か月に1回程度でも大丈夫です。少なくとも半年に1回は実施したいものです。
モニタリングの際には、数値面、行動面ともに、当初計画に対しての達成状況を確認します。
当初の年間数値目標を月次に割り振り、予算実績表を確認しながら、計画を上回っていても、下回っていても、差異が出ている原因を分析します。
特に数値目標を下回っている場合には、原因分析とともに、今後どのように計画との差異を無くしてくか、意見交換します。
行動計画についても実際予定していた具体策を実施できているか、確認します。
モリタリングによる現状確認と意見交換は、経営者の意識づけにつながり、計画の実行を助ける効果があります。
金融機関は、モリタリング実施について、気にしています。
経営改善計画書の発表の債権者会議などで、「モニタリングは実施されますか?頻度はどれぐらいですか?」と、よく質問が出ています。
モニタリング実施は、経営改善計画書の確実な実行を担保します。
もちろん、いくら分析を重ねた計画を策定しても、経営環境の変化などで、予定通り進まないことも出てきます。
そんな時、モニタリングを実施していれば、素早い変化対応を取ることができます。
モリタリングを定期的に実施していると、金融機関との信頼関係も深まります。
経営改善計画書を策定した時点で、企業が当初の借入返済の約束を履行できず、金融機関から信頼を失っていることも多々あります(経営改善計画書は、経営が厳しいから作るものですから)。
しかし、定期的に金融機関にこちらから出向き、計画の実施状況の説明を積み重ねていく中で、金融機関からの信頼回復につながることがあります(ただし真摯に計画を実行している場合)。
金融機関への報告会の際、当初の数値目標とのかい離が発生していれば、理由と今後の対策を説明します。
誠実に計画達成に向けて努力していると、金融機関は「また応援しようか」、という気持ちをもってくれます。
以上モニタリングの実施についてお話ししました。次回は番外編「私の仕事の進め方」です。
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