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決算書を見ても分からない財務に関する5つのこと 

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このコラムでは、「決算書の読み方」を何度か話題にしてきました。

自社の決算書をきちんと分析することで、色々なことが見えてくる。だから決算分析は大切であると。

今日は違った角度からお話します。

「決算書から見えてこないこと」について。

今までお話ししてきた、決算書から見えてくることと、

そして今日お話しする、決算書から見えてこないこと。

両者をミックスすることで、あなたの財務知識は、より深まります。

どうぞ読み進めて下さい。

※今日のコラムにおいて決算書とは、①貸借対照表、②損益計算書、③製造原価報告書、④販売費および一般管理費内訳表、⑤株主資本等変動計算書、⑥勘定科目内訳表のことを示します。

 

資金繰り

決算書から見えてこないこと。

まずは資金繰りです。

資金繰りとは、お金の出入りのことです。

お金の出入りを確認したい場合、経営者が思い浮かべるのは「損益計算書」でしょうか。

利益が出ていれば、お金も残っているはずだ。

しかし、損益計算書は黒字なのに、手元にお金が残っていない。

不思議な現象が起こります。

少し例を挙げると、

✔ 売上として計上しているのに、お金はまだ入っていない(売掛金が入金になるまでのタイムラグ)

✔ 経費計上していないが、社長がお金を生活費に使った(役員貸付金)

などが理由です。

詳しいことは以下の記事で説明していますので、参考にしてください。

【参考記事】利益は出ているのに、お金はどこに消えたのか
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)

 

お金の出入りを把握するためには、資金繰り表の作成が有効です。

資金繰り表については以下の記事に詳しいので、参考にしてください。

【参考記事】お金の流れを知りたければ、資金繰り表を作りなさい!~資金繰り表作成の方法と効果~
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)

 

事業別採算

事業別採算とは、事業ごとの収支です。

あなたの会社の決算書(損益計算書)を見て下さい。

事業ごとの収支が分かりますか?

A事業は黒字、B事業は赤字など。

損益計算書を見ても、ほとんどの会社が、事業ごとの収支は分からないと思います。

同じように、取引先別の収支、店舗別の収支、商品カテゴリー別の収支も損益計算書には出ていません。

これらの数値は、経営判断をするうえで大切な数値です。

しかしながら、損益計算書には出ていません。

損益計算書に出ているのは、すべてを合計した売上高、すべてを合計した原価です。

だから、合計されている数値を事業別、取引先別、店舗別、商品カテゴリー別に分解していく作業が必要なのです。

事業別採算シートを作ります。

そのあたりの事情を以下の記事で説明しています。参考にしてください。

【参考記事】不採算部門からの撤退、どう判断する?
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)

 

将来の見通し

決算書に載っているのは、過去の数値です。

会社の1年前の状態です。

そのため、「我が社は今後、どっちに向いていきそうなのか?」という将来予測は、決算書を見ても分かりません。

将来を予測するのは事業計画書です。

事業計画書を作るためには、決算書から分かる過去の実績に、今現在起こっている変化と、今後あなたが目指していく方向性を加える必要があります。

アクションプランを実施することでどうなるのか、数値で予測するのが事業計画書です。

 

融資と返済財源のバランス

会社は銀行からお金を借りすぎなのか?

融資と返済財源のバランスはどうなのか?

あとどれぐらい融資を受けられるのか?

決算書のどこにも載っていません。

これを知るための方法があります。

自社でシートを作成し、数値を当てはめてみるのです。

計算シート付きの記事を2つ紹介します。

是非トライしてみてください。

【参考記事】自社の決算書から長期借入金返済能力を判定する簡便な方法
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)

【参考記事】銀行借入金返済余力の簡便な計算方法~決算書からみる追加融資金額の出し方~
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)

 

数字を生み出す力

決算書の数値を生み出す力。

例えば、売上につながる、

✔ 顧客や地域社会との関係性や親密度。

✔ 経営者や従業員の能力、ノウハウ。

✔ 仕入先との結びつき。

✔ 事業への参入障壁。

✔ 商品やサービスの希少性。

✔ 特許などの権利。

これらは、決算書には出ていません。

将来的には、業績に貢献しますが、数値としては見えていません。

そのため、これら目に見えない強みを文章化しておくと良いかもしれません。

文章化の方法には、「SWOT分析」「ローカルベンチマーク活用」「経営デザインシート作成」などがあります。

SWOT分析とは、自社を取り巻く事業環境を「内部環境の強み・弱み」、「外部環境の機会・脅威」の4方面から分析して、

今後の事業戦略を導き出す手法です。

ローカルベンチマークとは、事業フローの中から得意分野と課題を分析し、財務分析と組み合わせて、今後の事業方向性を導き出す手法です。

「経営デザインシート」とは、「資源」と「ビジネスモデル」と「価値」の関係性を1枚のシートにまとめたもので、将来を施行するためのフレームワークです。

詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

【参考記事】経営を視覚化する。そのツールと効果
(和田経営相談事務所オフィシャルホームページブログ)

 

決算書で見えること、見えないことを組み合わせる

資金繰り、事業別採算、将来見通し、融資と返済財源のバランス、数字を生み出す力。

以上、決算書を見ても分からないことについて、考えてきました。

決算書で分かることは、自社の現在の財務状況や、利益の状況です。

それに加えて、

①資金繰り・・・資金繰り表

②事業別採算・・・事業別採算シート

③将来見通し・・・事業計画書

④融資と返済財源のバランス・・・確認シート

⑤数字を生み出す力・・・SWOT分析表、ローカルベンチマークシート、経営デザインシート

などを活用することで、会社の財務力が高まるのです。

以上、今日は「決算書を見ても分からない5つのこと」についてお話ししました。

今後の貴社の財務安定のために、お役に立てていただけますと幸いです。

 

あとがき

経営診断や事業計画策定支援などのメニューで、経営支援に入るとき。

決算書分析はもちろん行いますが、それに加え、上記でお話ししてきた、5つの「決算書で見えてこないこと」を分析します。

そうすると、会社の問題点、その原因、そして問題点を解決するための具体策が、徐々に見えてきます。

それにより、将来どういう経営数値が導き出されるか。お示しすると、経営者はすっきりとした表情になることも多いです。

決算書はもちろん大切ですが、それだけでは見えてこないことがある。

12年間のコンサル経験で気づいたことです。

 

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