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経営者必見!財務数値から経営改善ポイントを簡単に見つける7つのステップ

「決算書は税理士さんから送られてくるけど、正直、数字がズラズラ並んでいるだけでどこから手をつけていいか分からないんだよな…」

「『社長なら財務くらい分かって当然』って思われそうだけど、実は苦手意識があって…でも、ちゃんと会社の状況を把握したい気持ちはあるんだ。」

「このたくさんの数字の中から、どうやったら経営を良くするためのヒントが見つかるんだろう?もっと簡単な方法はないものか…」

中小企業のコンサルティングにおいて、最初に行うことの一つが「経営診断」です。これは、様々な角度から企業を取り巻く経営環境や社内の現状を分析し、今後の進むべき方向性について提言を行うプロセスです。個人の健康診断が体のデータを収集・数値化して改善点を提案するように、企業の経営診断もまた、財務数値を中心としたデータ収集と分析から始まります。

しかし、多くの経営者にとって、財務数値は難解でとっつきにくいものかもしれません。本記事では、経営者ご自身が、身近な決算報告書などの財務数値から経営改善のヒントを簡単に見つけ出し、日々の経営判断に活かすための具体的な7つのステップを、中小企業診断士の視点から分かりやすく解説します。

経営の羅針盤「決算報告書」– 膨大な財務数値、どこから見る?

年に一度、税理士事務所から届けられる決算報告書。貸借対照表、損益計算書、販売管理費内訳書、製造原価報告書、さらには勘定科目内訳明細や各種別表など、多くの書類で構成されています。巻末には、安全性、収益性、効率性といった観点からの財務分析データ(売上高営業利益率、流動比率、自己資本比率、労働分配率など)も添付されていることでしょう。

これだけ多くの財務数値や指標が並んでいると、「一体どれが重要で、どこから手をつければ良いのか、正直よく分からない」と感じる経営者の方も少なくないはずです。しかし、ご安心ください。いくつかの簡単なステップを踏むことで、これらの財務数値が雄弁に語りかけてくる会社の物語を読み解くことができるようになります。

ステップ1:まずは財務数値を「並べてみる」– 時系列比較で見える変化

財務数値の見方を掴むための最初の、そして最も重要なステップは、主要な財務数値を時系列で並べてみることです。

手始めに、**損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)**の過去5年分の数値を、Excelなどの表計算ソフトを使って一つのシートに並べて入力してみましょう。なぜ5年間かというと、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発生前と発生後の財務数値を比較することで、外部環境の大きな変化が自社にどのような影響を与えたのかを客観的に把握できるからです(2025年5月現在)。

・損益計算書: 過去5年間の収益(売上高など)と費用(売上原価、販売管理費など)、そして利益(営業利益、経常利益、当期純利益など)の推移を確認します。
・貸借対照表: 過去5年間の資産(現預金、売掛金、棚卸資産、固定資産など)、負債(買掛金、借入金など)、そして純資産(資本金、利益剰余金など)の蓄積状況とその変化を確認します。

既存の決算書から数値を転記するだけなので、決して難しい作業ではありません。

ステップ2:自分の手で入力する「気づき」– 財務数値が語りかける物語

このステップでのポイントは、経営者自身の手でExcelに数値を入力してみることです。税理士や経理担当者に任せるのではなく、ご自身で手を動かすことで、一つひとつの財務数値に対する意識が高まり、様々な「気づき」が生まれます。

例えば、損益計算書の数値を入力していく中で…

・「あ、この年は原材料費が例年より大幅に増えているな。何か原因があったはずだ。」
・「この年は雑収入(本業以外の入金)が突出して多いな。一過性のものか、それとも…?」
・「売上高は緩やかに増加傾向にあるけれど、利益は年々厳しくなっているぞ。」

貸借対照表では…

・「純資産(自己資本)が少しずつ目減りしているな。利益が出ていない証拠か。」
・「現預金が年々減少している。資金繰りは大丈夫だろうか。」
・「金融機関からの借入金がこの2年で急に増えている。設備投資か、運転資金か。」
・「棚卸資産(在庫)がこの年から急に膨らんでいる。売れ残っているのか、意図的なものか。」
・「固定資産が増加している。これはあの時の設備投資の結果だな。」

このように、ご自身の会社の企業活動の軌跡を、財務数値の時系列変化を通じて、経営者自身が再確認できるのです。これが、財務数値の見方を体得し、財務数値を経営活用するための第一歩となります。

ステップ3:費用の内訳を深掘り – 販売管理費・製造原価の徹底比較

損益計算書と貸借対照表の全体像を把握したら、次のステップとして、費用の内訳である販売費及び一般管理費(販管費)と、製造業の場合は製造原価報告書の数値を同様に5年間並べて比較してみましょう。(小売業、卸売業、飲食業、不動産業、サービス業などは製造原価報告書がありませんので、販管費のみで結構です。)

販管費では、以下のような気づきがあるかもしれません。

・「役員報酬がこの年から増えている(または減っている)。何か理由があったか?」
・「社員の人件費がこの2年で急増している。採用増か、昇給か。」
・「支払手数料が年々増加しているが、これは何の費用だろう?顧問料か、外注費か。」
・「雑費の金額が毎年大きいな。内訳を一度しっかり確認する必要がありそうだ。」
・「こんなに接待交際費や旅費交通費を使っていたとは…効果はあったのだろうか?」

製造原価報告書では、

・材料費、労務費、外注費、その他製造経費のそれぞれの推移
・売上高に対する各原価項目の比率の変化

などを確認することで、コスト構造の変化や課題が見えてきます。

ステップ4:「異常値」に色を塗り、原因を究明する

時系列で財務数値を入力・比較していくと、**「例年と比較して、大きく増えたり減ったりしている数値=異常値」**に自然と気づくはずです。

その気づいた異常値に対して、入力したその都度、黄色や赤色など、目立つ色でマーキング(色塗り)をしていきます。全ての入力が完了したら、色塗りした部分について、なぜそのような変動が起きたのか、その原因を一つひとつ解明していくのです。

原因が明確で、かつ合理的な理由であれば問題ありません(例:大型設備投資による減価償却費の増加など)。しかし、原因解明の過程で、もしかしたら経営者がこれまで把握できていなかった問題点や、改善すべき課題が見えてくるかもしれません。

ステップ5:自社独自の「重要指標」をカスタマイズして分析する

ここまでのステップで作成したExcelシートに、経営者であるあなたが自社にとって特に重要だと考える経営指標をカスタマイズして追加し、その推移を分析してみましょう。

会社ごとに事業モデルや経営環境は異なるため、重視すべき指標も当然異なります。

・労働集約型の事業(サービス業、建設業など)であれば:
‣ 売上高人件費比率(売上高に占める人件費の割合)
‣ 労働分配率(付加価値に占める人件費の割合) 例えば、売上高が減少しているにもかかわらず、人件費が同水準であれば、これらの比率は悪化します。

・製造業であれば:
‣ 売上高材料費比率(売上高に占める材料費の割合)
‣ 棚卸資産回転期間(在庫がどれくらいの期間で販売されるか)

・小売業や卸売業であれば:
‣ 売上総利益率(粗利率)の推移
‣ 商品回転率(商品の仕入れから販売までの速さ)

これらの自社にとって重要な指標を時系列で比較したり、可能であれば業界平均(同業他社の財務数値データなどから算出)と比較(ベンチマーキング)したりすることで、自社の強みや弱み、改善すべき点がより明確になります。最新情勢として、クラウド会計ソフトやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを活用すれば、このような指標分析をより効率的に、かつリアルタイムに行うことも可能です。

ステップ6:分析結果から具体的な「打ち手」を導き出す – 財務数値を経営活用へ

財務数値を分析する目的は、分析そのものではなく、そこから得られた気づきを基に、具体的な経営改善のアクション(打ち手)に繋げることです。つまり、「財務数値の経営活用」 です。

これまでのステップで明らかになった課題に対して、どのような対策を講じるべきか検討しましょう。

・材料費が高騰しているなら、仕入先の見直しや代替材料の検討が必要か?
・人件費率が悪化しているなら、人員配置の見直しや生産性向上のための投資が必要か?(参考:人件費の適正額は?計算方法から経営への活かし方まで徹底解説
・利益率が低下しているなら、勇気を持って値上げ交渉に踏み切るべきか?(参考:【2025年版】値上げを成功させる!根拠資料の作成方法と交渉の考え方
・市場の成長が見込めないなら、付加価値の高い新商品開発や新たな市場開拓が必要か?
・特定の事業部門や店舗が赤字を垂れ流しているなら、撤退も視野に入れるべきか?(ただし、この判断のためには、さらに詳細な部門別採算分析や店舗別採算分析が必要です。)(参考:【不採算部門 撤退】判断基準と手順は?経営者が下すべき意思決定(2025年版)

財務数値の分析を税理士や経理担当者に丸投げし、経営者自身がその内容を理解しようとしないままでは、このような的確な経営判断を下すことはできません。経営の意思決定を誤るリスクが高まってしまいます。

ステップ7(補足):専門家の活用と「第2領域」の取り組み

私は経営支援に入る際、経営者の方に、顧客別採算表、部門別採算表、商品別採算表といった、より詳細な管理会計資料の作成と分析をお願いすることがあります。最初は「本業で忙しいのに、そんな時間はない」「本当に必要なのか?」と難色を示される経営者もいらっしゃいます。

しかし、実際にこれらの資料をご自身の目で確認し、分析していただくと、「今まで気づかなかった視点に気づけた」「自分の感覚と実際の数字がこんなに違うとは思わなかった」といった驚きや新たな発見の声をいただくことが非常に多いのです。

このような財務数値の分析や管理会計の導入は、日々の緊急業務(第1領域)ではないかもしれませんが、将来の会社の成長にとって極めて重要な「第2領域(緊急ではないが重要なこと)」の取り組みであると、私は確信しています。もし、ご自身だけでは難しいと感じる場合は、我々のような中小企業診断士や経営コンサルタントといった専門家のサポートを得ることも有効な手段の一つです。当事務所で言えば、簡易経営診断サービスなどがこれに該当します。

【まとめ】財務数値は経営の道しるべ。自ら読み解き、未来を切り拓こう!

本日は、経営者ご自身が財務数値から経営改善のポイントを簡単に見つけ出すための具体的なステップについてお話ししました。

・財務数値は難解なものではなく、経営者自身の「羅針盤」となり得る。
・まずは過去5年程度の財務数値をExcelなどに自分の手で入力し、時系列で比較することから始める。
・異常値の原因究明や、自社独自の重要指標の分析を通じて、経営課題を明らかにする。
・そして最も重要なのは、分析結果を基に具体的な改善アクションに繋げ、財務数値を経営活用すること。

税理士任せにせず、経営者ご自身が主体的に財務数値と向き合い、そこから得られるメッセージを読み解くことで、より的確な経営判断が可能となり、会社の持続的な成長へと繋がるはずです。

 

今日お話ししたことを、まずはできる範囲で始めてみませんか?

「自社の財務数値をどう分析したら良いか分からない」「具体的な経営改善のアドバイスが欲しい」「専門家の視点から経営診断をしてほしい」

そうお考えの経営者様は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。豊富な経験を持つ経営コンサルタントが、貴社の状況に合わせた財務数値分析のサポートから、具体的な改善策の立案・実行まで、親身にお手伝いさせていただきます。

まずはお気軽にお問い合わせフォーム、またはお電話にてご連絡ください。Zoom等を活用したオンラインでのご相談も全国対応で承っております。

 

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