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固定資産除却損とは過去の投資失敗 ~財務への影響を軽視してしまうのはなぜか~

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【この記事で分かること】

 

・ 固定資産除却損とは何か

 

・ 店舗撤退による固定資産除却損の正体

 

・ 経営者は固定資産除却損をどう考えるべきか

 

 

 

この記事のポイントは以下4点の通り

 

☑ 固定資産除却(売却)損とは、建物、内装設備、機械設備、車両、などの固定資産を取り壊したり売却したりした際に、生じる損失のこと。

☑ 実際は赤字だが、除却損を計上しても、取り壊し費用以外には、現金が出ていかない。そのため、経営者は本当は赤字という事実を見逃してしまう。

☑ 決算上は、赤字部分は銀行借入金として残ってしまうか、繰越欠損金として自己資本勘定を減少させるか、確実に財務内容を悪化させる。

☑ 固定資産除却(売却)損は、最初に投資した額を最終的に回収できなかったという意味で、投資の失敗である。

 

損益計算書の下の方に、何年かに一度出てくる「固定資産除却(売却)損」。

一体何を意味しているのでしょう。

一緒に考えてみましょう。

 

固定資産除却損

固定資産除却損の具体例

固定資産除却(売却)損とは、建物、内装設備、機械設備、車両、などの固定資産を取り壊したり売却したりした際に、生じる損失のことです。

簡便化して言うと、

①取り壊した場合の固定資産除却損=購入投資額-減価償却累計実施額+取り壊し費用

②売却した場合の固定資産売却損=購入投資額-減価償却累計実施額-売却金額+諸経費

数字を当てはめて例を挙げると、

①2,000万円で改装し、累計で1,000万円減価償却をしてきた店内設備を、店舗撤退により、取り壊して退店した(取り壊し費用100万円)

2,000万円-1,000万円+100万円=1,100万円の固定資産除却損

店舗撤退による固定資産除却損

 

②3,000万円で購入した機械設備を、累計で1,000万円減価償却したのち、1,000万円で売却した

3,000万円-1,000万円-1,000万円=1,000万円の固定資産売却損

 

機械売却による固定資産除却損

これらの金額が除却・売却した年の決算期に特別損失として、マイナスで計上されます。

 

経営者は、財務への影響を勘違いする

実際は赤字なのですが、除却損を計上しても、取り壊し費用以外には、現金が出ていきません。

上記①のケースで言えば、トータルで1,100万円の赤字ですが、100万円の取り壊し費用しか、その年には現金支出されないのです。

店舗撤退によるお金の流れ

 

上記②の場合には、トータルで1,000万円の赤字ですが、逆に設備売却による1,000万円入金があり、プラスの様な気がします。

機械売却によるお金の流れ

 

そのため、本当は赤字という事実を、経営者は勘違いしてしまいます。

しかし決算上は、赤字部分は銀行借入金として残ってしまうか、繰越欠損金として自己資本勘定を減少させるか、確実に財務内容を悪化させます。

そして、資産は売却または取り壊しをしてなくなってしまったのに、銀行借入金は赤字部分だけ残ってしまいます。その結果、お金を稼ぐ資産はないのに、返済義務は残るので、他の方法で借入金の返済財源を作る必要が出てきます。

追加の銀行融資を受けるか、個人的に資金を用意するか、他の事業や店舗からのお金で補填するか、、、

財務基盤が弱い中小企業にとって、固定資産除却損が発生するような事態は、以後の事業運営に大きな影響を及ぼすのです。

 

【関連記事】赤字とは何か~損益計算書 それぞれの赤字が表すもの~

 

固定資産除却損は投資の失敗

固定資産除却(売却)損は、最初に投資した額を最終的に回収できなかったという意味で、投資の失敗です。

その原因は何だったのか、今後失敗を繰り返さないために次回からの投資では何が必要なのか、経営者は見つめなおすことが必要です。

私の銀行員17年+コンサル12年、合計29年の経験から言えば、過大投資と当初計画の見通しの甘さが原因の場合が多かったように思います。

過大投資、見通しの甘さの原因は何か、、、

銀行の融資が予想よりでたこと、補助金が獲得できたこと、様々理由はあるでしょう。

経営者は、自分なりに計画を立ててみて、予測と実績のかい離を検証して、今後の改善につなげる。

不透明な時代が加速する中、今までとは違う取り組み、数値に対する厳しい接し方が、求められると感じるのです。

 

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