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【不採算事業 やめどき】撤退の判断基準と「やめられない理由」の克服法(2025年版)

「この事業、赤字続きだけど、いつまで続けるべきだろうか…」

「不採算事業をやめるべきだと頭では分かっているのに、決断できない…」

「事業撤退の判断基準って、どう考えればいいの?」

会社経営において、新しい事業を「始める」ことと同様に、あるいはそれ以上に難しいのが、不採算事業から「やめる(撤退する)」という意思決定です。特に、自ら立ち上げた事業や長年続けてきた事業には、強い思い入れがあるものです。

しかし、赤字を垂れ流し続ける不採算事業を放置することは、会社全体の体力を奪い、他の健全な事業の足を引っ張りかねません。 問題は、**「不採算事業 やめどき」をどう見極めるか、そして「不採算事業 やめられない 理由」**となる心理的な壁をどう乗り越えるか、です。

この記事では、ここ愛媛県をはじめ多くの中小企業をご支援してきたコンサルタントとして、不採算事業からの撤退という難しい意思決定に焦点を当て、なぜその決断が難しいのか、決断を先延ばしにするリスク、そして客観的な**「事業撤退 判断基準」**と、最終的に「やめる」という決断を下し、次へ進むための考え方について解説します。

なぜ「やめる」決断は難しいのか?経営者が陥る心理的罠 (不採算事業 やめられない 理由)

不採算事業の撤退判断が遅れがちな背景には、経営者が陥りやすい心理的な要因があります。「不採算事業 やめられない 理由」を理解することが、克服への第一歩です。

① サンクコスト(埋没費用)への執着 **

・「これだけ時間とお金を投資してきたんだから、今さらやめられない」**という心理です。しかし、過去に費やしたコスト(サンクコスト)は、将来の意思決定とは切り離して考えるべきです。重要なのは、「今後、この事業を続けることで、投資に見合うリターンが得られるか?」という未来志向の視点です。

② 失敗への恐れ・プライド

・「撤退=失敗」と捉え、自身の判断ミスを認めたくないというプライドや、周囲(従業員、取引先、地域社会など)からの評価を気にする気持ちが、合理的な判断を妨げます。「もう少し頑張れば好転するはず」という希望的観測にすがりつきやすくなります。

③ 愛着・しがらみ

・自分が立ち上げた事業や、長年関わってきた事業・従業員に対する個人的な愛着が、冷静な判断を曇らせることがあります。また、特定の取引先との関係性など、しがらみによって撤退に踏み切れないケースもあります。

④ 現状維持バイアス・変化への抵抗

・人は本能的に変化を嫌い、現状維持を好む傾向があります(現状維持バイアス)。撤退という大きな変化を避けたい、面倒なことから目を背けたいという心理が働き、判断を先延ばしにしてしまいます。

 

決断遅延のリスク:なぜ早期判断が重要なのか?

「もう少し様子を見よう」「いつか状況は変わるはず」… こうした判断の先延ばしは、多くの場合、事態をさらに悪化させます。

傷口が広がり、ダメージが深刻化

・不採算事業が赤字を出し続ける限り、会社の貴重な現金(キャッシュ)は流出し続けます。

・その赤字を埋めるために、健全な事業が生み出した利益が吸い取られたり、追加の借入が必要になったりして、会社全体の財務基盤が蝕まれていきます。

・優秀な人材や経営者の時間といった経営資源も、不採算事業に割かれ続け、成長分野への投入が遅れます。

選択肢の減少と「強制終了」リスク

・財務状況が悪化すればするほど、取れる選択肢は少なくなります。余裕があるうちなら可能だった事業譲渡(M&A)や、従業員への配慮ある形での縮小・撤退も、資金が枯渇してしまえば不可能になります。

・最悪の場合、資金繰りが行き詰まり、**銀行からの融資謝絶や、仕入先からの取引停止など、外部要因によって事業継続が不可能になる「強制終了(事実上の倒産)」**を迎えることになりかねません。

関係者への迷惑増大

・決断が遅れ、最終的に破綻した場合、従業員、取引先、顧客、金融機関など、より多くの関係者に、より大きな迷惑をかけることになります。 早期に決断し、余力があるうちに手を打つことが、結果的にダメージを最小限に抑え、会社本体や関係者を守ることに繋がるのです。

 

不採算事業 やめどきを見極める「判断基準」

では、具体的にどのような基準で「不採算事業 やめどき」を判断すればよいのでしょうか? 感情論ではなく、客観的な「事業撤退 判断基準」を持つことが重要です。

定量的な判断基準(財務指標)

・継続的な赤字: その事業単体で複数年度(例:2~3年)連続して営業赤字であり、かつ改善の見込みが薄い。

・限界利益の赤字: 売上から変動費(仕入原価など)を引いた限界利益が赤字、または極めて低い。(=売れば売るほど赤字が増える、またはほとんど儲けがない)

・キャッシュフローのマイナス: 事業活動からキャッシュ(現金)を生み出せていない、むしろキャッシュが流出している状態が続いている。

・投資回収の見込みなし: 設備投資など、過去の投資額を将来的に回収できる見込みが立たない。

[関連記事:赤字とは何か?損益計算書4つの赤字の意味と深刻度]

定性的な判断基準(戦略・市場)

・市場の将来性: 関連市場が構造的に縮小しており、今後も回復が見込めない。

・競争優位性の欠如: 競合に対する明確な強み(差別化要因)がなく、価格競争に陥っている。

・シナジー効果の有無: 他の主力事業との相乗効果(技術、販路、ブランドなど)がほとんどない、あるいは悪影響を与えている。

・経営資源の浪費: その事業に、会社の貴重な経営資源(特に人材、資金、経営者の時間)が過剰に投入され、本来注力すべき事業の足を引っ張っている。

・企業戦略との不整合: 会社全体の将来ビジョンや経営戦略と、その事業の方向性が合っていない。

「撤退ライン」を事前に決めておく

理想的には、新しい事業を始める際や、既存事業の年度計画を立てる際に、「どのような状態になったら撤退を検討するか」という客観的な基準(撤退ライン)をあらかじめ設定しておくことです。これにより、いざという時の判断がしやすくなります。

 

「やめる」決断を後押しする考え方と行動

客観的な基準を満たし、「やめる」べきだと判断した場合でも、最後の決断には勇気が必要です。その意思決定(「不採算事業 意思決定」)を後押しするために、以下の点を意識しましょう。

客観的データに基づいた判断を徹底する

部門別損益計算書、資金繰り表、市場データなど、客観的な数値を判断の拠り所とします。直感や希望的観測、過去の成功体験にとらわれず、データが示す現実に向き合うことが重要です。

[関連記事:不採算部門 撤退 – 判断基準と手順は?]

第三者の視点を取り入れる

経営者は孤独な判断を迫られることが多いですが、一人で抱え込まず、信頼できる外部の専門家(コンサルタント、顧問税理士など)や、客観的な意見をくれる社内外の人に相談しましょう。異なる視点からの意見は、思い込みを排除し、冷静な判断を助けます。

「撤退」を「戦略的再配置」と捉える

「やめる」ことを、単なる「失敗」や「終わり」と捉えるのではなく、**「限られた経営資源を、より将来性のある分野へ集中させるための戦略的な再配置」**と前向きに捉え直すことが大切です。不採算事業から撤退することで、会社全体がより健全になり、新たな成長への道が開ける可能性があります。

迅速な意思決定と実行

一度「やめる」と決断したら、迅速に行動に移すことが重要です。撤退プロセスを長引かせると、さらなる損失や混乱を招く可能性があります。計画的に、しかし断固として実行に移しましょう。

 

まとめ:「やめる」勇気が、会社の未来を拓く

不採算事業の「やめどき」を見極め、「やめる」という意思決定を下すことは、経営者にとって最も困難な仕事の一つです。過去への執着や失敗への恐れといった「不採算事業 やめられない 理由」が、その決断を鈍らせます。

しかし、決断を先延ばしにすることは、多くの場合、より深刻な事態を招きます。

・客観的な「事業撤退 判断基準」を持ち、データに基づいて冷静に判断する。

・「やめる」ことを、未来に向けた戦略的な一歩と捉える。

・必要であれば、外部の専門家の力も借りる。

・そして、一度決断したら、迅速に実行に移す。

この勇気ある意思決定こそが、会社全体の健全性を守り、持続的な成長を可能にするのです。

この記事が、不採算事業の扱いに悩む経営者の皆様にとって、現状を分析し、未来に向けた正しい一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

 

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