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経営危機を乗り越える!経営再建計画の作り方|⑤事業デューデリ:SWOT分析。不都合な真実と有効化の方法

経営コンサル業界において、最も有名でスタンダードなフレームワークは「SWOT分析」です。

コンサルの基本はSWOT分析。困ったらSWOT分析。

中小企業診断士(以下診断士と略す)の2次試験学習には必須ですし、試験合格後の実務実習でもSWOT分析ノウハウを徹底的に学びます。

もちろん、診断士が行う経営再建計画の事業デューデリにも、必ず盛り込まれます。

・バックナンバー
① 経営再建計画が必要な状態とは?こちら
② 経営再建計画は「デューデリ」が8割 こちら
③ 事業デューデリ:うち内部環境分析 こちら
④ 事業デューデリ :外部環境分析はこれだけやれ こちら

 

SWOT分析とは

SWOT分析とは、事業デューデリで行う現状分析項目の一つです。

※事業デューデリとは:会社の事業を詳細に調査し、理解するプロセス。主要な事業活動、市場競争力、戦略、顧客との関係、将来の成長見通しなど、多岐にわたって分析・調査を行う。

会社を取り巻く経営環境を内部環境(強み、弱み)、外部環境(機会、脅威)の4方面から分析します。

ざっくりいうと、内部環境は会社内のこと、外部環境は会社が属する業界のこと、をプラス面(強み、機会)、マイナス面(弱み、脅威)に分けて考える手法です。

かつては、「精度の高いSWOT分析をできること」が、他の士業と比較した診断士の差別化ポイントとなっていました。

 

SWOT分析、だから何?

しかしこのSWOT分析。

私はコンサル業界で経験を積むにつれて、疑問も感じるようになりました。

通常の流れでは、SWOT分析から、クロスSWOT分析へ進み、事業戦略を導き出します。

※クロスSWOT分析とは、SWOT4つの切り口のうちの2つを組み合わせて、事業戦略を導き出す方法。例えば、強みを機会にぶつけて成長戦略とする、弱みを克服して脅威を排除する防御戦略を取るなど。

経営再建計画のデューデリにおいて、クロスSWOT分析から会社にマッチした戦略が導き出されたことは、私の経験ではありません。

支援を受ける経営者にとって、SWOT分析は何か難しそうなことをして、煙に巻かれたような気になるかもしれません。

経営コンサルの自己満足になっていないでしょうか?

SWOT分析をすること。それ自体が目的になっていないでしょうか?

大事なのは、意味があり効果があるSWOT分析をすることです。

事業戦略を導き出せないなら、SWOT分析をすることに、どのような意味があるのでしょう?

 

SWOT分析を有効化する方法

とはいえ、私はSWOT分析を全否定しているのではありません。

経営コンサルが自己満足に陥りがちなSWOT分析を、有効化する方法はないでしょうか?

私の経験でお話しすると、2つ考えられます。

まずはSWOT分析を人材育成に活用することです。

後継者や今後会社を背負っていく幹部社員に、SWOT分析の作業に参加してもらいます。

経営コンサルは、ファシリテーターとして、会社側の参加メンバーをサポートします。

出てきた意見を補足したり、取りまとめたりすることで、SWOT分析の質を上げていきます。

有効化する方法のもう一つは、切り口を工夫して多面的にすることです。

例えば、強みなら「強み」で一括りするのではなく、強みを様々な切り口に分け分析します。

経営者の強み、顧客基盤の強み、組織体制の強み、従業員の強み、商品・サービスの強み、技術面での強み、情報関連の強み、販売力の強み、仕入政策の強み、財務面での強みなどが切り口として考えられます。

同じく弱みなら、経営者の弱み、顧客基盤の弱み、組織体制の弱み、従業員の弱み、商品・サービスの弱み、技術面での弱み、情報関連の弱み、販売力の弱み、仕入政策の弱み、財務面での弱みなどが切り口として考えられます。

このように、様々な切り口から、分析すれば分かりやすくなり、経営者が気付いていない視点を提供できるかもしれません。

私は以下の様なフォーマットを使い、SWOT分析をします。

SWOT分析フォーマット

 

 

行動変容につながる伝え方

経営再建の現場において、経営者がSWOT分析作業に社員を巻きこむことを嫌がることもあります。

その時は、経営者とマンツーマンでSWOT分析を完成させていきます。

SWOT分析が完成すれば、経営者に説明するのですが、大切なのは伝え方です。

自分の弱みを指摘されて、気持ちのいい経営者は、あまり多くないと思います。

私でも面と向かって正面から弱みを指摘されると、気分が悪くなります。

弱みを伝える時は、「会社が今後良くなるため」という目的を前面に出して説明します。

経営者個人について強調して指摘するのではなく、会社のシステム上のことや業界の特徴にスポットを当てます。

SWOT分析が進んだこの段階では、経営者は自身の弱みに気が付いています。

指摘ではなく、気づきを提供することで、その後の改善行動、行動変容につながります。

 

コモディティ化したSWOT分析。何で勝負するか

ここまで優秀な生成AIが登場すると、SWOT分析は誰でもできるようになります。

特に外部環境分析は、質問文を入れるとすぐできます。差別化は難しくなります。

SWOT分析を得意としてきた経営コンサル(診断士)は、ピンチです。

では何で、どの部分で、勝負すればいいのでしょう?

生成AIができないことをするのです。

✔ 詳細な内部環境分析をベースにしたSWOT分析

【参考記事】事業デューデリ:うち内部環境分析 こちら

✔ ファシリテート能力(議題設定力、会議調整力、メンバーの能力を引き出す力、聞く力)

✔ 経営者の行動変容につながるような使え方、コミュニケーション能力

生成AIに負けないためには、この3つの能力を磨いていくことかなと、私は考えます。

そして忘れてならないのは、SWOT分析を目的にしないことです。

SWOT分析の先に、それをして何が得られるのか?

常に意識に置いておきたいものです。

 

以上、「事業デューデリ:SWOT分析の不都合な真実」について、お話しました。

今後の貴社の財務改善にお役立ていただけますと幸いです。

次回は、事業デューデリについてもう少し詳しく、「経営再建計画|事業デューデリ:課題設定:経営課題改善の方向性」について、お話しします。

「経営危機を乗り越える!経営再建計画の作り方|⑤事業デューデリ:SWOT分析。不都合な真実と有効化の方法 」
ご覧いただきありがとうございました。

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