「材料も包材も上がっている。うちの商品は、いくら値上げすればよいのだろう」
「仕込み1回の費用は分かるけれど、1袋あたりの原価に直すのが難しい」
「原価を計算した後、取引先への値上げ要請書まで一から作る余裕がない」
黄色い入力欄へ、今の売値・原価・費用の上昇率を順番に入れると、必要な値上げ額・新しい売値・値上げ率をExcelが自動計算します。
その結果は、取引先への価格改定要請に使える根拠シートへ自動反映されます。宛先・日付・説明文を整えれば、提出資料として印刷・PDF化できます。
配布する「食品製造業の値上げ根拠・要請書作成シート」は、お菓子、パン、麺、豆腐、惣菜などを製造する会社にも応用できるExcelです。
かまぼこは使い方を説明する一例です。商品名・原材料名・工程の説明を自社に合わせ、同じ計算の仕組みを活用できます。
社長や少人数の担当者が、製造・営業・経理を兼ねる中小企業では、計算を終えても「取引先へ出せる形にまとめる」作業が残りがちです。
このシートは、原価の把握から、値上げ額の算定、相手に説明する資料づくりまでをつなぐために使えます。
金額はすべて税抜です。以下の数値は、配布Excelにある架空の記入例・説明例を使います。
「いくらの利益を確保するか」「どう交渉するか」から考えたい方へ
必要な粗利と価格交渉の全体像は、【2026年版】値上げを成功させる!根拠資料の作成方法と交渉の考え方で解説しています。本記事では、費用増を自社の商品別に計算し、提出資料へまとめる作業を進めます。
最初に「記入例」を開くと、入力欄と計算結果を確認できます。商品シートでは、黄色い欄に入力し、「自動計算」の欄で結果を見るという使い方です。
①今の売値、②今の原価、③何%上がるかの順に進めるため、どこへ数字を入れるかを確認しながら使えます。
下表は配布Excel「記入例」の数値を読みやすく抜粋したものです。入力値・出力値は実物と同じで、すべて架空です。
| 原価の種類 | 入力する原価・上昇率 | 自動計算される負担増 |
|---|---|---|
| 材料 | 80円 × 10% | 8円 |
| 包装資材 | 10円 × 10% | 1円 |
| 労務費 | 40円 × 5% | 2円 |
| 水道光熱費 | 10円 × 10% | 1円 |
| 設備の費用 | 5円 × 0% | 0円 |
| その他 | 5円 × 0% | 0円 |
| 合計 | 今の原価150円 | 負担増12円 |
この12円・212円・6%は、提出用設定で対象シートを選ぶと、取引先向けの書式にも自動反映されます。
社内の利益額や総原価は表示せず、費用の増減と希望する改定額を示せます。計算用と提出用の両方に金額を入力する必要がなく、修正時の転記漏れも減らせます。
食品の種類が違っても、「仕込み1回にかかる費用を販売できる数量で割る」「費目ごとの増加額を合計する」という基本は共通です。Excelのかまぼこの例を、次のように自社の製品へ置き換えます。
| 製造する食品 | 原材料の例 | そろえる販売単位の例 |
|---|---|---|
| お菓子 | 小麦粉・砂糖・バター・卵 | 1袋・1箱 |
| パン | 小麦粉・油脂・具材 | 1個・1袋 |
| 麺・豆腐・惣菜 | 小麦粉・大豆・野菜・肉・調味料 | 1袋・1パック |
例えばお菓子なら、すり身などの原材料欄を小麦粉やバターへ置き換え、袋・箱・ラベルなどの包装費を整理します。
電気代や設備費は、オーブンなど自社の工程に合う配分基準で計算します。材料の分類には材料費を入れるなど、6費目への集計の対応を保って使ってください。
練り製品なら石臼1回、惣菜なら釜1回など、現場で把握しやすい仕込み単位から始めて構いません。ただし、最後は売値と同じ販売単位にそろえます。
例えば材料費1万円で100袋を販売できるなら、材料費は1袋100円です。割る数量には不良品などを除いた良品数を使い、1袋5個入りなら「個数」と「袋数」を混ぜません。
「原価の整理」では、最初に販売可能数量を1か所へ入力し、各費目の仕込み1回分の費用を入れます。冷凍すり身、鮮魚、副原料、揚げ油、製造・包装・洗浄の労務費などを整理し、下段に集まる6費目の金額を商品シートへ転記します。
ここは手入力です。
「原価の整理」の結果は、商品シートへ自動では移りません。「販売単位」を書き換えただけでも金額は換算されないため、換算後の金額を入力してください。
比較期間も「前回の価格改定時と今回」などに統一します。基準となる日付、対象商品、含める費用の範囲をそろえ、見積書や請求書を残しましょう。
工場全体の月額費用を、そのまま一つの商品の原価へ入れてはいけません。補助表では、設備の稼働時間、人の作業時間、生産重量から、実態に合う配分基準を選べます。
例えば月12万円の電気代を、月全体300時間のうち仕込み1回の2時間へ配分すると、12万円 × 2時間 ÷ 300時間 = 800円/回です。
この800円を「原価の整理」の電気代へ入力し、販売可能数量で割ります。費用と時間・量は、同じ対象範囲で比べます。
300万円の専用設備を10年使い、年間5万袋を販売できる想定なら、300万円 ÷ 10年 ÷ 5万袋 = 6円/袋です。共用設備で、この商品が年間使用時間の半分を使うなら3円/袋になります。
この結果はすでに販売単位あたりです。「原価の整理」で再度袋数で割らず、商品シートへ反映します。
年割りは残存価値を0円とする社内試算で、会計・税務上の減価償却計算とは異なります。買い替えでは、古い設備の負担が減る分も確認します。
「かまぼこ」シートに、商品名・規格、販売単位、比較期間、今の売値を入力します。他の食品に使う場合は、シート内の商品名や費目の説明を自社に合わせます。
シート名は「かまぼこ」のままにすると、提出用の選択欄との対応を保てます。
材料の中でも、すり身と揚げ油の値上がり率が違う場合があります。この場合は各材料の増加額を求め、合計の増加額を現在の材料費合計で割って、材料全体の上昇率を出します。単純に率を平均すると、使用金額の違いを反映できません。
下段の「入力チェック」が「入力OK」になったら結果を確認します。ただし、この表示は数値入力の確認であり、原価の漏れや根拠資料の妥当性まで保証するものではありません。
端数と値下がりの扱い
このExcelは必要な値上げ額を1円単位で切り上げます。費用増減の合計がマイナスなら、値上げ額は0円です。値下げ額を自動提示する仕組みではありません。
記入例では、原価は150円から162円へ8%上がります。一方、売値は200円から212円へ6%上がります。原価の上昇率と売価の値上げ率は、分母が違うため一致しません。
| 確認する数字 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 売値 | 200円 | 212円 |
| 集計した原価 | 150円 | 162円 |
| 差し引きの残額 | 50円 | 50円 |
| 残額÷売値 | 25% | 約23.6% |
保っているのは利益の「額」であり、「率」ではありません。端数切上げがあれば残額はその分増えます。
また、集計に含めていない販売管理費などがあれば、50円がそのまま最終利益になるわけではありません。
現在すでに採算が不足している会社は、費用増を転嫁するだけでは改善が足りない場合があります。目標利益から売価を考える方法は、【2026年版】値上げを成功させる!根拠資料の作成方法と交渉の考え方をご覧ください。集計する原価の範囲を確認して、目的に合う計算を選びます。
計算ができたら「提出用設定」で対象シートを「かまぼこ」に切り替えます。初期表示の「記入例」は架空の見本なので、そのまま提出せず、宛先・自社名・発行日・改定希望日を入力してください。
価格改定の算定根拠|出力内容の見本
配布Excel「取引先向け根拠」の表示項目・数値を抜粋。架空商品・1袋あたり・税抜。実際のシートには宛先、日付、比較期間、費目別説明欄もあります。
| 現行価格 → 改定後価格 | 200円 → 212円 |
|---|---|
| 改定額・改定率 | 12円・6% |
| 費用変動の内訳 | 材料8円/包装資材1円/労務費2円/水道光熱費1円 |
| 設備・その他・新しい費用 | いずれも0円 |
| 費用増減合計/端数調整 | 12円/0円 |
読み方:「費用増12円+端数調整0円=改定額12円」というつながりを、取引先に説明できます。
計算結果を、そのまま取引先への要請に使える数字へつなげられることが、このExcelの大きな利点です。
商品シートの金額を直せば、提出用の価格・改定額・改定率・費目別の負担増減額にも反映されます。書式には価格改定をお願いする文面も入っているため、白紙から要請用の資料を作り始める必要はありません。
「提出用設定」では、宛先・自社名・日付に加え、仕入先の価格改定通知や見積書など、説明の根拠を整えます。社内メモは自動転記されないため、取引先に伝える内容だけを記入してください。
初期の説明文には水産練り製品の費目例が入っています。そのまま根拠資料とせず、自社の実際の理由に書き換えましょう。別の商品・取引先用にファイルを保存し直して使うときも、宛先・日付・説明文を見直します。
公表資料を補助根拠として使う場合は、中小企業庁の価格交渉・転嫁の支援ツールも参考になります。自社の算定条件と、公表資料が示す期間・費目を区別して説明してください。
提出するのは「取引先向け根拠」だけです。
A4縦1ページに収める印刷設定が入っています。印刷プレビューで文字切れや改ページを確認し、そのシートだけを印刷・PDF化します。社内の原価や利益を含むExcelブック全体は送らないでください。
提出用の入力がそろっても、改定条件への合意まで完了したわけではありません。適用日や数量、仕様などを取引先と協議し、合意内容を記録します。
準備するのは、現在の売値、仕込み1回の費用、販売可能数量、仕入先の改定通知などです。月額費用や設備購入額しか分からない項目は、補助表から整理できます。
| 使うシート | 作業・分かること |
|---|---|
| はじめに・記入例 | 入力順序と、200円→212円の計算例を確認 |
| 原価の整理 | 仕込み1回分から、販売単位あたりの6費目へ集計 |
| 月の費用の計算・設備の計算 | 共通費の配分、設備1台の負担額を試算 |
| かまぼこ | 現在の原価と上昇率から値上げ額を計算 |
| 提出用設定・取引先向け根拠 | 宛先や説明を整え、提出用の算定根拠を作成 |
まず「はじめに」「記入例」を読み、主力商品一つを入力してください。自動計算用の「提出用計算」シートは編集不要です。補助表の結果は転記し、計算式のセルを上書きしないように使います。
入力後に結果の読み方で迷ったら、本記事の次の案内へ戻って確認できます。
無料Excel|ダウンロード申請
黄色い欄への入力で、値上げ額の計算から取引先向け資料の作成まで進められます。以下のフォームからお申し込みください。
送信後、ご入力のメールアドレスへExcelのダウンロードURLをお送りします。メールが届かない場合は、迷惑メールフォルダもご確認ください。
入力後はこのページへ戻り、画面右下の「AI経営参謀に聞く(無料)」から質問できます。
商品名や取引先名を詳しく書かなくても、販売単位、比較期間、売値、原価の合計、費目別の増減額をテキストで伝えると、確認事項を整理しやすくなります。
質問文の例
上記の利用対象に該当する社内関係者が、権限のある自社情報だけを入力してください。取扱いはプライバシーポリシーをご確認ください。AIの整理結果は、社内検討や相談時のメモに活用できます。
和田経営相談事務所では、元銀行員・中小企業診断士の視点から、値上げを収益改善や資金繰りとつなげて考えます。まずは一つの商品について、「何がいくら増え、どの価格なら取引を続けられるか」を整理してみてください。AIを使わず、直接ご相談いただくこともできます。
情報基準日:2026年10月8日。配布資料は2026年10月6日版をもとに整理し、かまぼこを説明例として使用しています。
自社の財務基盤を盤石にし、本気の事業成長を目指す方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。