年末恒例の「事務所10大ニュース」。今年のランキングには、例年になく「AI」に関連するトピックが複数ランクインしました。 当事務所にとって、本年はまさに「AI活用元年」と呼ぶべき変革の年となりました。
今回は、単なる業務効率化の枠を超え、Webサイトを通じたいかなる価値提供を行ってきたのか。その「AI実装」の裏側と、そこから見えてきたこれからのWebマーケティング戦略についてお話しします。
【目次】
まず春先に取り組んだのが、過去10年間にわたり書き溜めてきた約200本に及ぶブログ記事のフルリニューアルです。 これは単なる過去記事の修正作業ではありません。事務所が保有する膨大な「知的資産」を、AIの力を借りて現代の文脈に合わせて再定義するプロジェクトでした。
具体的には、記事の根幹にあるメッセージはそのままに、AIを用いて構成を抜本的に見直し。段落の最適化やキーワードの再選定を行い、読みやすさを飛躍的に向上させました。同時に、古くなった統計や情報を最新データへと置換することで、過去のコンテンツを「今、経営者の役に立つ生きた情報」へと蘇らせました。
6月には、Webサイト上に新たなパートナーとして、チャットボット「AI経営参謀」を実装しました。 システムにはWordPressのプラグインを採用し、頭脳となるAIモデルには最新鋭の ChatGPT 5.2 バージョンを搭載しています。
導入当初は回答に不安定さも見られましたが、約5ヶ月間にわたる徹底したチューニング（教育）を実施。現在では、プロフェッショナルな実務にも耐えうる高品質な回答レベルに到達しています。
特筆すべきは、PDFや画像データの解析能力です。決算報告書や事業計画書を読み込ませることで、財務改善や資金調達、銀行対応に至るまで、具体的な助言が可能となりました。
Webサイト右下のアイコンから、登録不要・無料でご利用いただけます。ぜひ一度、壁打ち相手としてその実力をお試しください。
これまで制作業者に依存していたサーバー管理やWebサイトの微調整も、AIという強力なアドバイザーを得たことで内製化へと舵を切りました。 セキュリティ設定やサイトスピードの改善など、専門的な領域もAIと対話しながら自社でコントロールすることで、経営判断を即座にWebサイトへ反映させるスピード感を手に入れました。
「AI経営参謀」にはChatGPTを採用していますが、私自身の日常業務におけるメインパートナー（相棒）は Gemini3（pro版）です。 コパイロットChatなども併用しますが、私の思考プロセスと最も相性が良く、高品質なアウトプットを返してくれるのが Gemini3 だと実感しています。
最近では、この Gemini3 と Nanobanana を組み合わせ、難解な情報を4コマ漫画化するなど、直感的に伝わるコンテンツ作りにも挑戦しています。
最後に、今後のWeb戦略における重要な視座をお伝えします。 AIの進化に伴い、「AI Overview（※）」の台頭によって、検索ユーザーは検索結果画面だけで答えを得られるようになりつつあります。 （※Google検索時に、生成AIが情報を要約して最上部に回答する機能）
これは、従来の「検索からの流入（アクセス数）」を重視する集客モデルの崩壊を意味します。当事務所のサイトも例外なく、今後はアクセス数の減少という波を受けるでしょう。
しかし、私はこれを悲観していません。むしろ好機と捉えています。 AIが答えを出す時代だからこそ、AIには提供できない「深い洞察」や「その人ならではの価値」が求められます。検索で誰でも辿り着ける情報ではなく、「この事務所だから相談したい」という指名検索の重要性が増すのです。
「AI経営参謀」の導入も、単なる集客ツールとしてではなく、「新しいテクノロジーに果敢に挑戦する事務所」「デジタル対応の最前線を知るパートナー」としてのブランド強化を目的としています。
事実、導入後には従来とは異なる層からの問い合わせも生まれ、一定の効果を実感しています。 アクセス数という「量」の追求から、信頼とブランドという「質」の追求へ。 当事務所はこれからも、AIという強力な武器を使いこなしながら、経営者の皆様に真に役立つ価値を提供し続けてまいります。
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計31年（元銀行員17年・経営コンサルタント14年）の経験を持つ、中小企業の財務・金融問題解決の専門家である。 特に、①経営数値の見える化、②現状分析に基づく実現可能な経営改善計画策定（405事業等活用支援含む）、③キャッシュフロー最大化支援、④有利な銀行融資獲得支援、⑤コスト構造の見直しを得意とする。具体的な数値計画策定を通じて、企業の「安定経営」と「持続的成長」を財務面から支援することに注力している。
愛媛県松山市 和田経営相談事務所 代表 和田健一
（中小企業診断士／認定経営革新等支援機関）。
