10年かけて一定のスタイルを構築してきました。
意図した部分もありますし、意図せず流れでそうなった部分もあります。
現在は、再生系の事業計画策定(事業再生計画、経営改善計画、事業デューデリ)を主業務としていますが、最初はこの分野に注力する予定ではありませんでした。
開業時は創業系の行政コーディネーターをやっていましたし、診断士は経営診断業務が主な仕事と考えられています。元銀行員という経歴を活かして、新規融資や補助金の資金調達業務が中心になるのかなぁとも考えていました。
しかし、開業して2年が経過したあたりから、経営改善計画策定の仕事が増加してきました。言われたままに必死に食らいついているうちに、この仕事が業務の中心を占めるようになってきました。
事業計画策定は、1社あたり平均3か月~6か月かかり、長引けば計画策定期間が1年かかるものもあります。計画策定後もモニタリング期間が入るプロジェクトもあり、支援先企業と長い付き合いになります。
数えてみると、10年間で30社以上の計画策定に関わっていました。
上手く立ち直った企業、厳しい状況で継続している企業、計画はできてもその後実行支援の段階で事業継続が叶わなかった企業、様々です。
支援先企業の中には、良い成果が出た企業も、残念な結果の企業もあります。もちろん全力で立ち直るように支援しますが、結果はこれが現実です。
中小企業診断士は、経済産業省系の行政支援策に精通していることが強みです。そのため各種補助金の申請に力を入れている診断士も多いと思います。
私は補助金申請業務について、支援先企業に情報提供したり、その結果依頼されれば、お手伝いをすることもあります。
開業から持っているのは、「補助金ありきではダメだ」という考え方です。
事業戦略の中の打ち手の一つとして、補助金はうまく活用するのであって、補助金をもらうことだけが目的となっては、本末転倒です。
ですから、補助金を使った事業が上手く成長軌道に乗って、その後企業が成長しなければなりません。診断士にはその企業が補助金を上手く活用して上昇していくような支援が求められます。結果として、雇用が発生し地域をうるおしたり、法人税となって地域社会に貢献していく流れが大切なのです。
「もらえるものはもらっておかないと損です!」「返還不要!ダダでもらえるお金です!」という勧誘を私はしません。
事業の方向性に合わない補助金事業には様々なリスクがあります。うまく申請書を作って、例え採択になったとしても、そこで終わりではないのです。安易に取り組んだ補助事業で、今まで失敗事例をたくさん見てきました。
補助金事業への安易な取り組みは、企業を間違った方向に導きます。
今、手元に4年前、開業から6年が経過した時点で作った当事務所の事業戦略プランがあります。そこでは仕事を受ける基準と受けない基準が整理されています。
お話ししたように、開業当初はできるだけ何でも、依頼された仕事は受けていました。
しかし、時間が経過するにつれ、成果が出る種類の業務・相手と、うまく進まず失敗に終わる業務・相手が少しづつ分かるようになってきました。
こちらはもちろん全力でお手伝いするつもりですが、支援先企業が乗り気でない場合があります。
銀行や支援機関に強く勧められたから、とりあえず取り組んでみようか、というパターンです。
このようなケースは、支援が失敗になることが多く、結果としてお互いの時間やコストが無駄になります。
支援先企業側に、問題意識が薄く、当事者意識がないからです。
それが分かってきてからは、最初の顔合わせの時に、多少厳しいことも言いながら、今後の支援方針について意識合わせをすることにしています。
厳しいこととは、例えば、当事者意識をもって犠牲を払いながら取り組む必要があるとか、資料は色々出してもらわないといけないとか、今までのやり方を変化させる必要がでてくるかもしれないとか。もちろん支援先を過度に不安にさせたり、怒らせたりしないよう、伝え方は気を付けます。
そこで、今回は支援不要と支援先企業や紹介者である金融機関が判断すれば、案件は流れます(契約にならない)が、最初に意識合わせをしておくことにより、お互い助かります。
曖昧なまま支援に入って、途中で空中分解したり、机上だけの理論になり実行が見込めない計画が出来上がったり、などは、とても困りますので。
あと、値引きと、銀行員時代には多用してきたお願いセールスはしません。値段が折り合わず契約に至らないこともありますが、最初によく説明してのちのちトラブルにならないよう気を付けています。
プロコン診断士は、知識や情報を売りにして事業を行います。
様々な業界のトレンドや特徴について、日々勉強が欠かせません。
私が情報収集でやっているのは、基本的なことばかりです。ですが継続していくと大きな力になります。
☑ 日経新聞に毎日目を通し、気になる記事はスクラップ(最近は環境関連、医療関連をスクラップしています)
☑ 週刊日経ビジネスの定期購読
☑ NHKニュースウォッチ9やNHKスペシャル(ビジネスの特集)などを見る
☑ 月間文芸春秋の定期購読
☑ 週刊金融財政事情の定期購読
などにより、最新の情報収集に努めています。
次回は、「営業スタイル」についてお話しします。
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