銀行員に融資を申し込んだとき。
最初は、「検討してみます」と、前向きな姿勢だったのに、時間が経過して、急に「ちょっと、難しいんですが」とお断りされたことはありませんか。早い段階なら、次の手を打てるかもしれませんが、余裕が無くなった時期なら厳しいものです。
会社にとっては、資金の予定が狂うわけですから、死活問題です。長年の信頼関係にヒビが入ります。
「あてにしてたんだから、何とかしてよ!」と泣きついても、判断は覆りません。なぜでしょうか。
色々な理由が考えられます。
まず、交渉先が若い担当者だった場合。
担当者自身は、会社のために何とかしたいと思っても、上司に却下されることがあります。若い担当者は、担当企業の状況をよく把握していないこともあります。「銀行員だから、長い取引だから、自分の会社をよく理解してくれているだろう」経営者は思っていますが、必ずしもそうでないことがあります。
次に、役職者が交渉相手だった場合。
相手はベテランだし、任せておいて大丈夫、と思いたいものです。しかしお断りの連絡。「まさか、あんなに前向きだったのに。」この役職者も、「何とか力になりたい」と考えていたはずです。この場合は、自分より上司である支店長や本店の審査部門から、ストップがかかった可能性があります。
銀行は、書類ベースで決裁がおりてはじめて、融資をすることができます。融資申込1件ごとに、銀行支店内もしくは本店融資部に向けて稟議書を作成し、折衝しています。そして取り上げ(融資実行)か、却下(融資謝絶)か、決定しています。
だから、融資決裁が降りなければ、どうしようもないです。現場(交渉担当者)は何とかしようとしても、何とかならなかったのです。
よく思い返してみれば、「必ずやります!」と銀行員は言っていないはずです。経営者が雰囲気で、「応援してくれそうだ!」と判断したのかもしれません。稟議書が決裁されるまでは、安心できないのです。
このあたりの事情が分かっていないと、「銀行員だから任せておけば大丈夫」と油断してしまいます。事が起こってから、銀行員を責めてみても、実際被害を被るのは会社です。
このように、銀行と融資を巡るトラブルの可能性は、どの会社にもあります。トラブルを回避するためには、①経営者自身も融資交渉経過を放置せず、進捗状況を(嫌がられない程度に!)銀行員に確認すること、②万が一のことに備えて、次の手を打てるよう準備を検討していくこと(ただし申込中のてんびん※「てんびんについては、こちらの記事を参照」には注意!)、などのリスク管理が必要なのです。
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