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計画0年目損益計画着地見込みの作り方:アクションプランと数値計画|経営危機を乗り越える!経営再建計画の作り方|⑪

経営再建計画書における「アクションプランと数値計画」の策定プロセスにおいて、全ての将来予測の基礎となるのが**「0年目(計画策定中の当期)の損益着地見込み」です。このスタート地点の精度**が、計画全体の信頼性と実現可能性を大きく左右します。

今回は、経営再建計画の1年目以降の計画を立てる上で不可欠な、「0年目損益着地見込み」をいかにして根拠を持って作成するのか、その具体的な方法と重要性について、経営者、従業員、そして金融機関関係者など、幅広い読者に向けて解説します。

0年目見込計画

なぜ「0年目着地見込み」が計画全体の鍵を握るのか?

将来(1年目~5年目など)の数値計画を作成する際、「何を根拠に作るのか?」という問いに対する最も重要な答えの一つが、**「今、足元でどうなっているのか=0年目の着地見込み」**です。

・将来計画の信頼性を左右する土台: 0年目の見込み数値が甘かったり、根拠が薄弱だったりすると、それをベースに作成される1年目以降の計画も必然的に信頼性を欠いたものになります。

・現実的なスタート地点の確定: 経営再建は、現状を正確に認識することから始まります。0年目の着地見込みを精度高く作成することで、自社が置かれているリアルな状況を把握し、現実的な改善目標を設定できます。

・金融機関が計画のリアリティを判断する重要指標: 金融機関は、提出された経営再建計画書の実現可能性を評価する際、まずこの0年目の着地見込みの妥当性を検証します。ここがしっかりしていなければ、将来計画の達成可能性も疑われかねません。

準備:月次試算表の重要性と確認ポイント

0年目の着地見込みを作成するための大前提となるのが、**「月次試算表」**です。

月次試算表は必須:実績把握の基本ツール

計画策定時点までの当期(0年目)の実績数値を正確に把握するために、月次試算表は不可欠です。例えば、計画策定が9月であれば、少なくとも8月までの月次試算表(累計および単月)が必要となります。

試算表がない場合のリスクと対応

残念ながら、日常的に月次試算表を作成していない企業も見受けられます。この場合、経営再建計画書の作成は非常に困難になります。もし作成していない場合は、可及的速やかに直近月までの試算表を作成する必要があります。日々の経理処理と試算表作成の重要性は、経営再建局面に限らず、すべての企業経営の基本と言えます。

[関連情報:なぜ月次試算表が経営に不可欠なのか?]

 

残存期間の予測:精度の高い見込みを立てる3つの方法

月次試算表で計画策定時点までの実績(例:8か月分)が確定したら、次に残りの期間(例:4か月分)の数値を予測し、年間の着地見込みを作成します。予測方法は、会社の業績特性に応じて以下の方法を使い分けます。

方法①:単純按分方式(季節変動小の場合)

年間を通じて売上や費用の発生に大きな季節変動がない場合に適用しやすい方法です。

・計算例(12月決算、8か月実績確定済みの場合):

・年間換算係数: 12か月 ÷ 8か月 = 1.5
・0年目見込 = 8か月実績 × 1.5

留意点: この方法は簡便ですが、実績期間中に一時的な特殊要因(例:大型案件の売上、補助金収入、特別な支出など)が含まれている場合は、その影響を除外して平均的な月次数値を算出し、年換算する必要があります。

方法②:前期同期間実績加算方式(季節変動大の場合)

年末商戦で売上が急増するなど、業績に明確な季節変動がある場合に有効な方法です。

・計算例(同上):

・0年目見込 = 当期8か月実績 + 前期実績(9月~12月の4か月分)

適用ケース: 前期と今期で事業環境や業績トレンドに大きな変化がない場合に適しています。

方法③:トレンド加味方式(前期と状況変化ありの場合)

前期と比較して、当期に明らかな業績トレンドの変化(売上増加・減少、コスト構造の変化など)が見られる場合に用いる方法です。

計算例(同上):

・当期8か月実績を基に、月次平均の増減率などを分析。
・前期実績(9月~12月)に、当期のトレンド(例:前期比〇%増減など)を掛け合わせて残存期間の予測値を作成。
・0年目見込 = 当期8か月実績 + 残存4か月の予測値

考え方: 単純な按分や前期実績だけでなく、当期に入ってからの変化を考慮することで、より実態に近い予測を目指します。

フォーマット活用:「0年目数値根拠」の見える化

下図で示されているようなフォーマットは、これらの計算根拠を整理し、明確にするのに役立ちます(表はクリックで拡大します)。

0年目数値根拠フォーマット

例えば、フォーマットの列に『当期8か月実績』『前期残4か月実績』『特殊要因調整』『残4か月予測値』『0年目着地見込み』といった項目を設け、PLの各勘定科目について、どの方法で計算し、どのような根拠で0年目の着地見込みを算出したのかを記録・表示します。これにより、計画の透明性が高まります。

 

根拠ある計画の重要性:金融機関の視点(経営再建計画書 金融機関)

経営再建計画書は、金融機関をはじめとする債権者の同意を得るために作成されるケースが大半です。金融機関は、計画の実現可能性を厳しく評価します。

根拠不明な計画は同意を得られない

0年目の着地見込みについて、「なぜこの数値になるのか?」という算出根拠が不明確な計画書は、金融機関の信頼を得られません。「なんとなくこのくらいだろう」という曖昧な見込みでは、それを土台とする将来計画も絵に描いた餅と判断されてしまいます。

0年目見込みの精度が将来計画への信頼につながる

経営再建には不確実性が伴うことは当然ですが、少なくとも計画策定時点においては、入手可能な情報(実績データ)に基づき、合理的な方法で0年目の着地見込みを算出している姿勢を示すことが極めて重要です。精度の高い0年目見込みがあってこそ、1年目以降の改善計画にもリアリティが生まれ、金融機関からの信頼を得やすくなります。

0年目着地見込みから将来計画(1年目以降)へ

根拠を持って0年目の着地見込みが固まれば、いよいよそれをベースとして、将来(1年目~5年目など)の数値計画を作成していきます。

0年目数値をベースに、アクションプランの効果を織り込む

1年目以降の計画は、0年目の見込み数値をスタートラインとし、経営再建のために実行する**アクションプラン(具体的な改善策)**が、PL・BS・CFの各数値にどのように影響するかを一つ一つ織り込んで作成します。

事業デューデリ課題、実態バランスシート状況を反映

このプロセスでは、事業デューデリで特定された経営課題(例:収益性の低い事業からの撤退、コスト削減余地など)や、実態バランスシートで把握された財務状況(例:過剰債務、含み損のある資産など)を考慮することが不可欠です。例えば、実態バランスシート上で大幅な債務超過であれば、より抜本的なリストラクチャリングや収益改善策をアクションプランに盛り込み、それが数値計画に反映される必要があります。

各個別計画への展開と財務三表への統合

0年目見込みとアクションプランを基に、以下の個別計画が策定され、最終的に財務三表(PL/BS/CF)計画などに統合されます。

・人員構成 → 人件費計画
・設備投資 → 設備投資と減価償却費計画
・売上推移 → 取引先別・商品別売上計画
・原価構造 → 価格戦略、仕入計画、製造原価計画
・間接経費 → 販売管理費計画
・資金調達・返済 → 金融支援計画
↓ これらが統合され… ↓
① PL計画(損益計算書計画)
② BS計画(貸借対照表計画)
③ CF計画(キャッシュフロー計算書計画)
④ タックス計画(税金計画)
⑤ 不良資産回収計画
⑥ (金融支援計画の一部として)借入金返済計画

計画策定の支援と情報収集

精度の高い0年目着地見込みの作成や、それを踏まえた将来計画の策定には、専門的な知識が必要となる場合があります。

中小企業活性化協議会や経営改善計画策定支援事業(405事業)の活用

中小企業活性化協議会では、経営再建計画書全体の策定支援(数値計画作成のアドバイス含む)を受けることが可能です。また、**経営改善計画策定支援事業(405事業)**を活用すれば、専門家(税理士会計士、中小企業診断士など)に計画策定を依頼する際の費用負担を軽減できます。これらの支援機関は、根拠に基づいた計画作成の重要性を理解しており、適切なアドバイスを提供してくれます。

[関連情報:中小企業活性化協議会への相談プロセス]
[関連情報:経営改善計画策定支援事業(405事業)申請のポイント]

経営再建計画書 書き方とサンプル・テンプレート利用の留意点

「経営再建計画書 書き方」に関する情報は多数ありますが、特に数値計画、とりわけ0年目見込みの作成方法は、画一的なサンプルやテンプレートに頼るのではなく、自社の実績データと状況に基づき、地道に算出する必要があります。テンプレートは構成の参考に留め、中身は自社独自のものを作り上げることが肝要です。

まとめ:精度の高い0年目見込みで、実現可能な経営再建計画を

経営再建計画書における「0年目損益着地見込み」は、単なる当期の予測ではありません。それは、計画全体の信頼性と実現可能性を左右する、極めて重要な出発点です。

・月次試算表に基づき、計画策定時点までの実績を正確に把握する。

・残存期間の予測は、業績特性に応じた合理的な方法を選択し、その根拠を明確にする。

・精度の高い0年目見込みを土台として、アクションプランの効果を織り込みながら将来計画を策定する。

この最初のステップを丁寧かつ正確に行うことが、金融機関を含む関係者の納得を得られ、経営再建を成功に導くための確かな一歩となるのです。

次回は、「販売管理費計画の作り方」について解説していきます。

 

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