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短期と長期の銀行借入金~長短バランスが崩れる理由~

=== 短期借入金と長期借入金 ===

事業者が事業運営を行う上で必要とする銀行借入金には、短期借入金と長期借入金があります。

短期借入金とは、1年以内に返済する借入金。手形貸付や当座貸越などがあります。返済は分割方式もありますが、主力は期日一括返済です。

一方長期借入金とは、1年以上かけて返済していく借入金で、証書貸付が代表的です。借りた資金を、年数に応じて毎月分割で返済していきます。

~借入金のバランスの悪い決算書とは~

企業の決算書を見ていると、この長短借入金のバランスが悪いことがあります。(長期借入金が多く、短期借入金が少ない)。

企業や個人事業主が、事業を行う際、運転資金が必要になります。商品を販売した場合、入金までにタイムラグがあります。仕入れたからすぐ販売できるわけではありません。半製品や在庫として資金化するまで、時間がかかる事業もあります。

=== 決算書から自社の運転資金を判定する方法 ===

決算書から、自社の運転資金を判定するには、以下の算式に当てはめてみるといいです。

①売掛債権(売掛金+受取手形)+②棚卸資産(在庫や半製品など)-③買入債務(支払手形、買掛金)

例えば①が1,000万円で②が1,000万円、③が1000万円なら運転資金は、1,000+1,000-1,000=1,000万円。となります。

資金的には、1,000万円が不足することになり、どこかから1,000万円を引っ張ってくる必要があります。自己資金があれば良いですが、実際は銀行借入金に頼ることもあるでしょう。

この場合、一番理想的なのは、1,000万円を手形貸付けなどの短期借入金で調達することです。なぜなら上記①、②、③は、流動資産や流動負債であり、1年以内のサイクルで原則回っていくため、1年以内の短期借入金で調達する方が、バランスが良いからです。

=== 短期借入金が理想なのに、長期借入金で調達されることが多い ===

しかし、実際は長期借入金で調達されることが多いようです。この辺の事情は、「疑似エクイティとしての短期融資はなぜ減少したのか」でもお話していますので、参考にしてください。

この運転資金1,000万円は、事業が続いていれば、継続的に必要となります。そして事業を辞めたときには、最終的に差額の1,000万円は入金されます。この入金された1,000万円で、短期借入金は返済できるため、返済財源がある借入金なのです。だから、期限が来れば同額で延長される「ころがし融資」でも理論上は問題ないはずです。

=== 借入金のバランスが悪い それぞれの事情 ===

しかしながら、銀行側の事情と企業側の事情で、このバランスが崩れていることがあります。

銀行側は、長期の証書貸付けで、月々の返済が目に見えることを望みます。短期コロガシ融資だと融資残高が減らず、不安です。また過去には、金融検査マニュアルの解釈により、短期貸付けを長期貸付けに企業に依頼し、切り替えていきました。

企業側は、短期借入金だと一括返済を求められた場合のリスクを考え、長期借入金を望みます。また長期分割借り入れだと、返済が目に見えて分かるから安心です。

このように、銀行が長期融資を望む傾向にあったことと、企業側が短期運転資金に対する資金調達の意味を把握できていなかったために、本来は短期借入金で調達すべき運転資金を長期借入金で調達してきました。その結果、長期借入である証書貸付けの本数が増え、資金調達バランスが崩れることで、資金繰りを圧迫するケースが出てきたのです。

このアンバランスを解消するためには、銀行の短期融資に対する融資姿勢の変更と、企業側の運転資金に関する理解の促進が必要なのです。「運転資金融資取り扱いの変化」の動きも有り、注視しておきたいものです。

《この記事のまとめ》
・借入金には、長期借入金と短期借入金が有り、この2つの借入金のバランスの悪い決算書を目にすることがある
・運転資金は、事業をしていると継続的に必要となるものであり、短期借入金で調達されることが望ましい
・しかしながら、実際は銀行・顧客双方の考え方で、長期借入金で調達されることが多く、それがバランスを崩す原因となっている

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