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銀行は、「売上代金振込み口座」の指定を重視する

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~売上代金振り込み口座 顧客と銀行それぞれの意味~

銀行員が訪問してきた際や、銀行を訪問した際、「売上代金の振込指定の話」をした経験がある経営者は、多いと思う。

自社は、売上代金を長年同じ銀行の口座に、顧客から振り込んでもらっている。請求書を発行し、振込口座を指定している。または顧客から、「当社はメインバンクがA銀行であり、取引開始にあたり、A銀行の口座を作ってもらえないだろうか。」と、銀行を指定されることもある。顧客からすると、事務の効率化や振込手数料負担の削減が目的である。

銀行は、この「振込指定口座の自銀行への変更」を促してくるのだ。「〇〇社からの売上代金を当行口座指定に変更してもらえませんか。」この申し出には、2つの意味がある。

~銀行員が振込み口座指定を協力に推進する理由~

1つ目は、自銀行の業績アップに関することだ。振込指定をしてもらえると、自銀行の預金残高が自動的に増える。定期預金を集めることと比べて、少ない労力で預金残高を増やすことができる。また、預金が集まるということは、そこから事業活動に関する支払いも発生するわけであり、振込手数料収入などの増加につながる。預金残高アップと手数料収入の増加、一挙両得なのだ。

2つ目は、融資をしている場合だが、自銀行の債権管理に関することだ。振込指定を受けることで、融資先企業の資金の動きが把握でき、企業の業績推移について、素早くつかむことができる。最近売り上げが落ちているのではないかとか、資金繰りが厳しくなっているのではないかとか、リスク管理に関する情報をタイムリーにキャッチしているのである。そして、売上代金が入金されることで、融資返済代金の確保にも有利になる。

上記2つの理由から、銀行は取引先(特に融資先)に対して、「売上代金口座変更による振込指定獲得」を、積極的に行うのだ。

~企業が振込口座を簡単に変更できない理由~

しかしながら一方では、企業側の事情も存在して、そう簡単には口座変更できないケースもある。例えば販売先である顧客が、県外だとどうだろうか。従来からメガバンクの口座に振り込んでもらっている場合、中々地元銀行に振込を変更してほしいとは、いいづらい。

また、口座変更を顧客にお願いすることで、「どうかしたんだろうか。」と余計な心配や警戒感を与えるのではないか・・・。そんな気持ちもよぎる。このあたりの企業側の微妙な心理は、銀行から理解されないケースがある。

そして、すべて振込を集中させて、資金の流れを丸裸にされるのは嫌だ!こんな気持ちも少しはあるかもしれない。

お互いが抱えた事情があり、口座変更をめぐって、銀行と企業で攻防が行われるのだ。

《記事のまとめ》
・銀行にとって売上代金の振込口座指定は、企業が考えているより大きな意味をもつ
・銀行がこだわるのは、口座指定獲得により、預金残高アップと、債権管理、2つのメリットがあるからである。
・企業側も、事情により振込口座を変更できないことがあり、銀行と駆け引きが発生することがある。

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