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【経営再建の分岐点】立ち直る会社と難しい会社、その違いは経営者の「覚悟」にある!

「最近、どうも業績が上向かない…社員たちにも申し訳ないし、このままじゃ会社がどうなってしまうんだろう…。」

「銀行の担当者から『一度、経営計画を見直しませんか』とやんわり言われたけど、これは実質、経営改善を求められているってことだよな…。」

「会社を立て直したい気持ちは山々だけど、何から手をつけていいのか、正直分からない。誰かに相談したいけど、弱音を吐いているようで気が引ける…。」

長年にわたり、30社以上の企業の事業計画策定、その多くが厳しい状況からの経営再建計画のお手伝いをしてまいりました。支援期間は短期集中型から、計画策定後のモニタリングを含めると数年に及ぶものまで様々です。私の元に「経営再建を手伝ってほしい」というお話が舞い込むのは、残念ながら会社の業績が深刻な段階に至ってからがほとんどです。

その初期段階において、社長様の態度は千差万別です。本記事では、私のコンサルティング経験に基づき、経営再建が難しい会社に見られる共通の「落とし穴」と、逆に「この会社は立ち直るかもしれない!」と感じさせる経営再建できる会社の際立った特徴、特に経営者 覚悟の重要性について深掘りします。そして、経営再建計画におけるコストカットの位置づけや、身の丈経営への転換がいかに大切かをお伝えします。

この記事は、現在経営再建の途上にある経営者の方、将来への漠然とした不安を抱える経営者の方、そして企業を支える社員や金融機関関係者の皆様にとって、何らかのヒントや気づきを得る一助となれば幸いです。

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経営再建の現実:コンサルタントが見た社長の初期対応パターン

経営再建プロジェクトが始まる当初、社長様のスタンスは、大まかに以下の4つのケースに分かれることが多いと感じています。

① 社長自身に強い問題意識があり、何とか現状を打破したいと切実に願っているケース。

② 金融機関からの要請で取り組むものの、社長自身も「このままではいけない」と危機感を共有しているケース。

③ 金融機関に言われて渋々取り組むが、内心ではあまり乗り気でなく、コンサルタントの力量を試すような姿勢が見られるケース。

④ 金融機関の手前、取り組む姿勢を見せているだけで、本心ではやる気が全くないケース。

経験の浅い頃は、①~④全てのケースに全力で取り組みましたが、必ずしも良い結果に繋がるとは限りませんでした。特に④のケースでは、たとえ立派な経営再建計画が完成しても、それは机上の空論となり、会社の状況が好転することはありませんでした。③のケースでは、プロジェクトの初期段階でコンサルタントが具体的な成果や有益な助言を示し、社長からの信頼を勝ち取ることが不可欠です。

言うまでもなく、①と②のケースは、③と④と比較して経営再建プロジェクトが円滑に進み、成功の可能性が高まります。

経営再建が難しい会社に共通する「落とし穴」

社長のやる気は経営再建の必須条件ですが、それだけでは十分ではありません。商品やサービスの競争力、顧客や仕入先といった取引関係者からの支援、会社に愛着を持つ社員の存在、そして所属する業界や市場の将来性なども重要な要素です。

しかし、これらの良い要素を持ち合わせながら、経営再建が叶わなかった会社も残念ながら存在します。そこには、いくつかの共通した「落とし穴」が見られました。

「身の丈経営」ができない(派手好み、過大投資)

以前、ある企業の幹部社員に業績不振の原因を尋ねた際、「社長が派手なことを好み、身の丈経営ができていないからだ」という答えが返ってきたことがあります。その数年後、その会社は事業継続が困難になりました。社長に現状のリスクや改善策を助言しても、様々な言い訳を並べ、こちらの言葉に真摯に耳を傾けることはありませんでした。「どうしたら良いでしょうか?」という問いかけもありませんでした。

身の丈経営からかけ離れた過度な投資や経費支出は、財務状況を悪化させる直接的な原因となります。

過去の成功体験から抜け出せない(環境変化への不適応)

業績が厳しくなっているにもかかわらず、「以前はこのやり方で成功したのだから、景気が上向けばまた業績は戻るはずだ」と過去の成功体験に固執してしまう経営者もいらっしゃいます。

そのため、経営再建計画における数値計画の策定時も、売上を右肩上がりに伸ばすことばかりに目が行きがちです。しかし、近年の業績動向や市場環境の変化を客観的に見れば、そのような楽観的な売上計画には無理があることは明らかです。

市場環境や顧客ニーズが変化しているという現実を直視せず、旧態依然としたやり方を変えようとしない姿勢は、経営再建を遠のかせます。

経営者自身が「身を切る覚悟」を持てない(コストカットへの抵抗)

経営再建計画を策定する上で、極めて重要なポイントの一つが、「会社自身、そして経営者自身から身を切るプランが出てくるかどうか」です。

私は、多くの経営再建の現場で、「コストカット」が再生への重要な鍵を握ることを目の当たりにしてきました。なぜなら、経営再建計画が必要となる会社の多くは、程度の差こそあれ、財務諸表に現れない無駄なコストを抱えていることが多いからです。

関連情報:【会社のコスト削減】営業赤字脱却へ!具体的な方法と手順を徹底解説(2025年版)

そのため、デューデリジェンス(企業調査)の段階で財務状況を詳細に分析し、社長に具体的なコストカットの必要性やポイントを助言します。その際、社長は「なるほど」と頷いて聞いているように見えても、いざコスト計画の具体的な数値を出してもらう段階になると、こちらの助言が全く反映されていないことがあります。これは、社長が表面上は理解したように見えても、実際には腹落ちしておらず、本気で取り組む覚悟ができていない典型的なパターンです。

例えば、100万円の利益改善を目指す場合を考えてみましょう。コストカットであれば、単純に100万円の経費を削減すれば達成できます。しかし、仮に粗利率20%の会社が売上増で100万円の利益を生み出そうとすれば、単純計算でも500万円の売上増加が必要です。実際には、売上増加に伴う変動費や追加の販売管理費も考慮しなければならず、必要な売上増加額はさらに大きくなります。どちらがより現実的で確実性が高いかは明らかでしょう。

会社の業績が厳しく、金融機関に返済猶予(リスケジュール)をしてもらっているような状況下で、経営者自身が以前と変わらぬ派手な生活を続けているとしたら、その姿勢は銀行や社員からどのように映るでしょうか。経営者 覚悟が社員や金融機関に伝わらなければ、彼らの協力を得ることは難しくなり、経営再建の道のりは一層険しくなります。

なぜ「コストカット」が経営再建計画の鍵となるのか?

コストカットが経営再建計画において重要視される理由は、単に支出を減らすというだけでなく、以下のような意味合いも持つからです。

・即効性と確実性: 売上を増やすことには多くの外的要因が絡み、時間もかかりますが、コストカットは自社の努力次第で比較的短期間に、かつ確実に効果を出すことができます。

・利益構造の改善: 無駄なコストを削減することで、損益分岐点を引き下げ、利益の出やすい体質へと転換できます。

・経営者の本気度を示す: 特に役員報酬の削減や不要な資産の売却といった「身を切る」コストカットは、経営者の経営再建に対する本気度と経営者覚悟を内外に示す強力なメッセージとなります。これが金融機関や社員の信頼回復に繋がることがあります。

・資金繰りの改善: 支出が減ることで、直接的にキャッシュフローが改善し、資金繰りに余裕が生まれます。
ただし、やみくもなコストカットは、将来の成長に必要な投資まで削ってしまい、かえって企業の競争力を削ぐことにもなりかねません。戦略的な視点での見極めが不可欠です。

【実録】コンサルタントが「この会社は立ち直る!」と感じる経営再建できる会社の特徴

一方で、数値計画やアクションプランの打ち合わせを重ねる中で、「この会社は、そしてこの社長は、きっと立ち直るだろう」と強く感じる瞬間があります。そのような会社は、実際に経営再建計画策定後の実行ステージにおいて、着実に業績を改善させたり、厳しい事業環境の中でも粘り強く成果を出したりするケースが多いのです。経営再建できる会社とその経営者には、以下のような共通した特徴が見られます。

1. 迅速な行動力:「良いと思った改善策は即実行」

前回の打ち合わせで出たアイデアや課題について、次回の訪問時には既に具体的なアクションに着手している、あるいは検討結果が出ているなど、意思決定と実行のスピードが非常に速いです。

2. 社員との真摯な向き合い:「厳しい判断でも逃げずに説明」

コストカットの実行や事業再編にあたり、時には人員構成の見直しといった厳しい判断を伴うことがあります。そのような場合でも、社長が逃げることなく、社員一人ひとりと真摯に向き合い、会社の現状と将来について誠実に説明し、理解と協力を得ようと努めます。

3. 客観的な現実直視:「過去ではなく今を見据える」

過去の成功体験や良かった時代に固執するのではなく、現在の厳しい経営状況や市場環境を客観的に直視し、そこから目を逸らさずに改善策を模索し、実行します。会社や自分を守るための言い訳や他責の言葉は聞かれません。

4. 経営者自身の「覚悟」:「まず自分から身を正す」

会社の現状に対する経営責任を真摯に受け止め、「まずは自分から変わる」「自分が率先して範を示す」という強い経営者覚悟が言動に現れます。役員報酬の削減や不要な私財の投入など、具体的な「身を削るプラン」を自ら提案してくることもあります。

社長にこのような真摯な姿勢と具体的な行動が見られた時、私は「この社長なら、この会社を必ず立て直してくれるかもしれない」と大きな期待を抱くのです。

 

経営再建の成功に必要な「社長のやる気」以外の要素

もちろん、社長の「やる気」や「覚悟」だけが経営再建の全てではありません。前述の通り、

・その会社が持つ商品・サービスの独自性や競争力
・顧客や仕入先、金融機関など、周囲からの支援や協力体制
・会社に愛着を持ち、一丸となって貢献しようとする社員の存在
・所属する業界や市場の将来性、成長性

なども、経営再建の成否を左右する重要な要素です。しかし、どれだけ素晴らしい製品や技術、献身的な社員、将来性のある市場を持っていたとしても、経営者自身に「会社を絶対に立て直す」という強烈な意志と、それを行動で示す覚悟がなければ、これらの要素を活かしきることはできません。 むしろ、宝の持ち腐れとなってしまうことさえあるのです。

【最新情勢】近年の経営再建における傾向とポイント

2025年現在の経済環境は、依然として先行き不透明な部分が多く、多くの中小企業が厳しい経営判断を迫られています。このような状況下における経営再建では、以下の点がより一層重要になっています。

・早期着手の重要性: 問題が深刻化し、手遅れになる前に、早期に経営課題を認識し、迅速に経営再建に着手することが、成功の確率を大きく左右します。傷が浅いうちであれば、打てる手も多く残されています。

・DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用: デジタル技術を活用した業務プロセスの効率化、新たなビジネスモデルの構築、データに基づいた経営判断などは、経営再建を加速させる有効な手段となります。

・事業再構築の視点: 単に既存事業の立て直しだけでなく、市場の変化に対応した大胆な事業転換や新分野への進出(事業再構築)も、経営再建の重要な選択肢の一つです。

・ステークホルダーとの建設的な対話: 金融機関、取引先、社員など、関係する全てのステークホルダーに対して、誠実に情報開示を行い、理解と協力を得ながら経営再建を進めていく姿勢が求められます。

まとめ:経営再建の成否は経営者の「覚悟」と「行動」に懸かる。計画はそのための羅針盤。

数値計画やアクションプランの策定といった経営再建計画の作成は、確かに専門的な知識やノウハウが必要です。しかし、どれほど精緻な計画書を作成したとしても、それが絵に描いた餅で終わるか、会社再生の確かな一歩となるかは、最終的には経営者自身の「覚悟」と、それを具体的な「行動」に移す力にかかっています。

経営再建計画は、暗闇の航海における羅針盤や海図のようなものです。それ自体が船を進めるわけではありません。船を動かすのは、船長である経営者のリーダーシップと、クルーである社員の協力、そして何よりも「必ず目的地に辿り着く」という不退転の決意です。

私は、開業してから14年が経過し、これまで関わらせていただいた多くの会社が、厳しい状況を乗り越え、再び成長軌道に乗る姿を見届けることができました。その経験を通じて確信しているのは、会社が良い状態で継続できることこそが、経営再建の真の目的であるということです。

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「自社の経営状況に不安を感じているが、何から手をつければ良いか分からない」
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このようなお悩みや強い決意をお持ちの経営者様は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

経験豊富な中小企業診断士・経営コンサルタントが、貴社の状況を深く理解し、現状分析から実効性のある経営再建計画の策定、金融機関交渉のサポート、そして計画実行の伴走支援まで、親身になってお手伝いさせていただきます。

厳しい状況だからこそ、専門家の客観的な視点と具体的なノウハウが、突破口を開くきっかけになるかもしれません。初回のご相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。

本記事が、困難に立ち向かう全ての経営者の皆様にとって、一筋の光明となれば幸いです。

 

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