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経営危機を乗り越える!経営再建計画の作り方|⑬アクションアクションプランと数値計画:製造原価計画作成のポイント

・バックナンバー

【事業デューデリ編】
① 経営再建計画が必要な状態とは?こちら
② 経営再建計画は「デューデリ」が8割 こちら
③ 事業デューデリ:うち内部環境分析 こちら
④ 事業デューデリ :外部環境分析はこれだけやれ こちら
⑤ 事業デューデリ:SWOT分析。不都合な真実と有効化の方法 こちら
⑥ 事業デューデリ:経営課題抽出は再建を左右する こちら
⑦ 事業デューデリ:損益イメージを共有せよ!  こちら

【アクションプランと数値計画編】

⑧ アクションプランと数値計画:作成の流れと良い計画 こちら
⑨ アクションプランと数値計画:減価償却と設備投資計画 こちら
⑩ アクションプランと数値計画:リース支払計画と人件費計画 こちら
⑪ アクションプランと数値計画:計画0年目 損益計画着地見込みの作り方 こちら
⑫ アクションプランと数値計画:販管費計画作成のポイント こちら

 

アクションプランと数値計画の第6回目。

今日は、「アクションプランと数値計画:製造原価計画作成のポイント」の話をします。

 

製造原価とは

製造原価とは、製造業の決算報告書損益計算書の後のページにある「製造原価報告書」のことです。

建設業は「完成工事原価報告書」、運送業は「運送原価報告書」のことです。

略して「製造原価」と言われていますので、この記事でも工事原価、運送原価を含み「製造原価」として話を進めていきます。

ざっくりいうと、製造、建設、運送の現場で発生する経費のことです。直接経費とも言います。

小売業、卸売業、飲食業、サービス業、不動産業、旅館業などには、製造原価報告書がありません。

製造・建設・運送業の経営再建計画では、この製造原価の内容を分析して、どの項目にどれだけの予算を配分していくか、またどの項目をどれだけ削減していくかを検討していきます。

 

製造原価を作っていない会社

製造業(食品製造業も含む)、建設業、運送業で製造原価報告書を作成していない会社が少なからずあります。

製造(建設、運送)コストを、一般費及び販売管理費の中に合算して作成しています。

そうした会社は、直接コスト(製造原価)と間接コスト(販管費)の内訳が把握できません。

経営の意思決定にマイナスとなります。

顧問会計事務所に作成を依頼しましょう。

私が経営再建計画を作る際にも製造原価報告書がなければ、困ってしまいます。

どうしても必要な際には、こちらで計画作成のため、製造原価と販管費の切り分け作業をしたこともあります。

結構な時間と労力とコストを要しました。

 

製造原価の仕訳が不十分な会社

また、製造原価の仕訳が不十分な会社も存在します。

本来は製造原価報告書に含まれる経費が、販管費に紛れ込んでいるのです。

多いのが、

✔ 製造部門の人件費や法定福利費(社会保険料)を販管費に入れている

✔ 製造部門の製造経費(リース代、家賃、減価償却費、水道光熱費、修繕費、保険料など)を販管費に入れている

✔ 外注費を販管費に入れている

などです。正しい仕訳が必要です。

自社の状況を確認してみましょう。

 

製造原価計画のフォーマット

私は以下の様なフォーマットを使い、製造原価計画を作ります(パソコンサイトの方は、表のうえでクリックすると拡大します)。

製造原価計画のフォーマット

ポイントは、売上との比率で確認しながら、作成していくことです。

上記で言えば、⑫売上高総利益率⑬売上高材料費比率⑭売上高労務費比率⑮売上高外注費比率⑯売上高製造経費比率、になります。

会社により状況は異なりますが、どの部分が経営再建に重要かは、事業デューデリを通じて把握しておきます。

自社の過去実績分析や同業他社との比較により、⑫〜⑯の中で改善ポイントはすでに浮かび上がっているはずです。

【参考記事】事業デューデリ:うち内部環境分析 こちら

 

注意が必要な製造原価の項目

私は今までコンサル活動13年間で、数十社(30社までは数えましたが、それ以降は数えていません)の経営再建計画策定を支援してきました。

その経験上、製造計画数値決定において、注意が必要な項目を以下抜き出します。

なお、製造原価の数値は改善のアクションプランの方向と合致させる必要があります。

① 材料費
・実績・0年目見込の売上高材料費比率を参考に、アクションプランを踏まえて作成
・売上と比較して比率が高くなっていないか(値上げや仕入コストダウンの施策を検討)
・包装資材費は売上と比較してどうか

② 労務費
・実績・0年目見込の売上高労務費比率を参考に、アクションプランを踏まえて作成
・取締役工場長など、製造(建設・運送現場)部門の役員は、製造原価に役員報酬を記載する
・今後人員配置はどうするか(人数増なら増加、人数減なら減少)
・賃上げ見込が反映させているか
・法定福利費は人件費割合と整合が取れているか

③ 外注費
・実績・0年目見込の売上高外注費比率を参考に、アクションプランを踏まえて作成
・外注費は適正に管理できているか(外注先の管理はできているか、無駄な費用は払っていないか)
・内製化対応できるものはないか
・外注評価により入れ替えが必要な外注先はないか
・外注したほうが効率の良いものはないか

④ 賃借料(リース代)
・リース支払明細から今後の支払数値を転記
・今後新たにリースが発生するものはないか

⑤ 水道光熱費
・料金動向や設備稼働状況を踏まえて目標設定ができているか

⑥ 修繕費
・今後修繕費が発生しそうな設備はないか

⑦ 減価償却費
・フル償却できているか
・製造原価と販管費の仕訳は正しいか

⑧ 地代家賃
・ 不要な倉庫などを借りていないか
・ 親族への家賃支払いは適正か

以上のような項目に注意し、製造原価計画を作成していきます。

一番右の「数値の根拠」の欄に、数値を導きだした根拠を補記します。

製造業、建設業、運送業にとって、製造原価計画は非常に重要です。しっかりとした根拠をもって、改善のアクションプランを落とし込んだ数値計画を作成しましょう。

以上、「アクションプラン&数値計画:製造原価計画作成のポイント」について、お話しました。

今後の貴社の財務改善にお役立ていただけますと幸いです。

次回は、アクションプラン&数値計画「PL計画」についてお話ししていきます。

 

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ご覧いただきありがとうございました。

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