メガ、地銀を始め、銀行の好決算の発表が相次いでいる。過去最高などの文字が飛び交っている。額面通りに受け取っても良いのだろうか。
そう単純なものでもなさそうだ。
好業績の中身を見てみると、銀行業界が置かれている状況が見て取れる。好調の原因は、①株高による株式含み益の増加と、②債券売買益、③不良債権の戻し益④各種手数料の増加、などだ。
つまり、本業以外の部分で利益を計上してきていることになる。
銀行は本来、資金利益で業績を上げていかねばならない。資金利益とは、集めてきた預金を企業や個人に融資することで、「利ざや」を稼いでいくことだ。市場預金や個人預金を低い金利で集め、リスクを加味して、できるだけ高い金利で貸す。そうした銀行本来の姿で儲けていくことが、難しくなっているのだ。
背景には、企業の資金需要の弱さと、オーバーバンキング問題がある。
資金需要が弱い状態とは、銀行が融資したい優良企業が、借入することに対して慎重で、一方、資金需要が旺盛な企業には、決算内容の問題などで、融資しづらい状況を指す。貸したいところに貸せず、貸したくないところからは申し込みがあるという、アンマッチが発生している。結果的に、信用力が高く銀行が融資したい優良企業に対して、採算度外視の金利競争が起こり、適正利ザヤが確保できない。
そしてオーバーバンキング問題とは、市場に銀行数が多すぎて、過当競争が起こっている状態を指す。現状は明らかに多い。
銀行は、商品で差別化しづらい。どこの銀行でも取り扱っている融資商品は、ほぼ同じ。差別化できるのは、金利などの諸条件になってしまう。
こうした状況を踏まえて、金融庁は、銀行間の統合を促していく見込みだ。現在全国地銀に一斉検査に入っている。収益確保のビジネスモデルについて、各銀行に提出させ、取組が甘い銀行には個別指導に入っていくという。
また、横軸に当該銀行エリアの市場の将来性、縦軸に当該銀行の収益性を、それぞれ配置したマトリックス図を作成して、個別銀行ごとにランク付けしたリストも存在する、という話もある。政治や行政は、いよいよ本格的な選別化、統合促進の姿勢を強めつつあると見る。
好決算という報道の裏には、こうした事情が見えてくる。
生き残りをかけて、各銀行どのような対策を取っていくのか、注視していきたいと考えている。