9月中間決算発表の時期がやってきました。新聞でも、銀行の決算記事が頻繁に掲載されています。
目につくのは、都銀をはじめ、地域の銀行まで、増益決算となっていることです。まだまだ実経済には、好景気の感覚がない中、なぜ銀行決算は、こうした結果になっているのでしょうか。原因として3点考えられます。
一つは、株高により、銀行が保有している株式の値段が上がったことで、保有株式の評価額が大幅上昇したためです。これにより銀行は特別損益を計上しました。
もう一つは、大企業中心に業績が向上したことで、貸倒引当金の戻り益が多額に発生したためです。銀行は、融資先企業が倒産した時に備えて、貸倒引当金を計上しています。その対象先である企業の業績が改善したため、倒産のリスクが低下しました。結果として貸倒引当金が不要になり、積んでいた貸倒引当金を、戻したため、利益が発生しました。
最後に、株式相場が活況となり、その結果、個人向けの投資信託の販売が伸びたためです。投資信託を販売することで、手数料収入が増加しました。
上記3つの原因により、銀行は増益を達成したのです。ほとんどが特殊要因と言ってよいかもしれません。
そして気になるのは、本業である「利ざや(貸出と預金の金利差)」で儲けることが難しくなっているということです。原因は、企業の資金需要の不足と、オーバーバンキングによる金利の過当競争です。利ざやで儲けることができないので、株式相場が一旦低迷すると、決算は逆回転して、大幅減益となるでしょう。
以上の事から、いずれ銀行は、①合併によりオーバーバンキング状態を脱して、金利ダンピング競争をやめるか、②現在の低金利を、儲けることができるリスク金利まで引き上げていくか、という、どちらかの動きを取らざるをえなくなってくるでしょう。
その時、企業経営者として何ができるのか、今から想定して準備を始めておきたいものです。