先日、生命保険料の控除証明書が届いていました。生命保険と言えば思い出す人がいます。私は、25歳の時から、ある生命保険会社にお世話になっていました。
担当は生保レディ?(かなりのおばちゃん)のⅠさんでした。Ⅰさんは、陸上の金メダリスト「フローレンス・ジョイナー」に風貌が似ており、みんなから「ジョイナー」と呼ばれていました。自分でもおもしろおかしく「ジョイナー」と名乗っていました。
Ⅰさんは、私の前の職場で、圧倒的な保険獲得率を誇っていました。みかけによらず(失礼!)とにかくこまめで、保険の支払いや手続きの変更などをきちんとこなしてくれます。人見知りかつ、警戒心の強い私は、はじめはⅠさんを斜めから見ていましたが、長い時間付き合うことで、だんだんと信頼をおくようになりました。
そして1年ほど前になりますが、変更が必要な事項があって、Ⅰさんに久しぶりに連絡を取りました。するとⅠさん、「和田さん。私、実は、1年ほど前に体調壊して、退職したのよ。」元気印だったのに、びっくりです。顧客を大切にするプロ中のプロが、挨拶もできずに退職するとは、よほど体調が大変だったのでしょう。仕事人間だったので、長年の無理がたたったのでしょうか。
事情も知らなかった私は、退職した人にお願いするのは申し訳ないので、電話を切ろうとすると、Ⅰさんが言いました。「次の担当者に連絡をとり、すぐに和田さんに連絡させるから。」
そして、すぐに次の担当者から連絡があり、変更手続きは無事終了しました。
すごいなぁと思いました。例えば私のケースに置き換えてみると、銀行時代のお客さんから連絡があり、その相談を銀行に取り次ぐということです。私なら、「すいません。もう退職したので、銀行に直接問い合わせていただけますか。」と言ったはずです。
自分が在職しており、今後の取引のために顧客に丁寧に対応することは誰にでもできます。しかし退職した後も、昔の顧客に真摯に対応するということは、誰にでもできることではありません。「退職した後にこそ、その人の本当の価値が分かる」そのことを学びました。
Ⅰさんは、営業として一流だっただけではなく、人間としても一流だったのです。