アパート経営の金融リスク第3回目。前回はサブリース契約(30年家賃保証)にはリスクがありますよ、というお話をしました。では今日はなぜ一見安全なサブリース契約にリスクが潜んでいるのか、について説明したいと思います。
大手4社のうちの1社が、サブリース契約を巡ってアパート所有者ともめています。前回お話した事情により、入居率が低下し、家賃収入が減少しているサブリース業者が、逆ザヤ回避のため、アパート所有者と家賃減額交渉をしているからです。
30年家賃保証契約のサブリース契約になぜこのようなことが起こるのでしょうか。
原因は不動産の賃貸借を規定している借地借家法にあります。同法32条1項は賃借人に「賃料減額請求権」を認めています。賃借人が家賃の減額を申し出て、受け入れなければ契約期間中であっても退去することはありうる話です。この関係性をサブリース契約に当てはめると、賃借人はサブリース業者で、賃貸人はアパート所有者になります。サブリース業者は30年一括契約を結んでおきながら、収益性が落ちたら契約を終了するといった商法を適用する余地が生まれるのです。
加えてサブリース契約では、賃料見直しの協議で合意できなければ契約が終了する条項や、一定期間ごとの修繕に応じない場合に契約を更新しない条項などサブリース業者側から容易に契約を解除できる条項が目立ちます。
こうした重要事項について、アパート経営に疎いアパート所有者に、サブリース業者から十分に説明がなされていない状況があります。また、説明義務を課す法規制も存在していません。相続税の引き上げが意識される中で、アパート経営の関心はさらに高まり、アパート建設業者も営業推進をかけてくるでしょう。その際にはこうしたサブリース契約のリスクについても十分意識しておきたいものです。
次回はなぜ賃貸アパートを建設することが、相続税対策に繋がるのかについて説明したいと思います。
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