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アパート経営の金融リスク②

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アパート経営の金融リスク、前回は賃貸アパートが90年代以降急増している背景についてお話ししました。今日は、問題になっているサブリース契約についてお話ししたいと思います。

アパート建設メーカーが「サブリース契約(30年家賃保証)」をセールスの切り口に、土地保有者に猛烈なアプローチをかけていると説明しました。貸出先の確保をしたい金融機関がバックアップをしているとも。その構図に土地の有効活用や相続税対策に悩んでいる土地保有者(=アパート所有者=顧客)が内容をよく理解せず、飛び込んでいっているのです。

サブリース契約とは、顧客がサブリース業者(=アパート建設メーカー)と長期の家賃保証契約(現在は30年契約が多い)を結ぶ契約形態です。顧客にとってはアパートの入居率に関わらず、満室時の80%~90%の家賃が保証されます。建設メーカーからすれば、顧客に自社のアパート建築を促す絶好の契約になります。また、金融機関にとっても優良大手企業である建築メーカーの家賃保証があることで、返済財源の確保が可能となります。このように一見、利害関係者すべてにメリットがあるシステムに見えます。そのため90年代以降は、このスキームが賃貸アパートが急増するための潤滑油になってきました。

時代は製造業が花形の時代。国内家電メーカーなどが地方に工場をどんどん建設し、地方においても労働需要の増加に伴い、賃貸アパート需要が右肩あがりになっていました。確かにその時は需要が見込めたのかもしれません。しかし特に2008年のリーマンショックと新興国とのし烈な競争により、賃貸アパートの借り手である自動車メーカーや電機メーカーの業績が悪化、地方の工場をどんどん閉鎖し、従業員の削減を進めていく状況になりました。

あわてたのは、サブリース業者(=アパート建設メーカー)です。入居者が減少して家賃収入が激減するにも関わらず、アパート所有者には満室時の80%~90%の家賃を支払わなければなりません。逆ザヤで大赤字になってしまいます。そこであわてて家賃の減額交渉を開始しました。アパート所有者はたまったものではありません。家賃の保証があるからこそリスクがないということでアパート経営に参入したのですから。家賃が減額されると銀行への支払いが滞ってしまいます。その結果、円滑化法申請が増加するのです。

なぜ30年保証といいながら、こんな減額交渉が可能になるのでしょうか。これは借地借家法に潜む落とし穴なのです。この件については次回お話していきます。

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