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鍋焼きうどん1本で勝負②

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前回に引き続き、鍋焼きうどん1本(いなりもありますが)で50年以上も営業し続けている、松山の老舗うどん店「ことり」と「あさひ」についてお話したいと思います。両店の鍋焼きうどんは、昔懐かしのアルミ容器で提供されます。

両店ともに地元客や観光客から支持を受けています。麺はどちらも柔らか麺で、だしは「ことり」があっさり味に対して「あさひ」が甘い感じです。個人的には店の雰囲気などであさひが好きですが、顧客からの支持は「ことり」が高いようです。そのため「ことり」は昼の時間帯いつもお客さんで賑わっています。なぜ「ことり」は顧客の支持が高いのでしょうか。先日土曜日に訪問して、食べながら店内を観察していました。

「ことり」のレイアウトはテーブル4人席6ブース、座敷4人席4セットです。その日は店内客、ほとんどが女性でした。1人で来店している女性客が結構いましたし、少人数のグループ客が何組かいました。繁盛している要因について考えていました。

【顧客側から見た視点】
①ワンコイン(500円)で鍋焼きうどんが食べられる。
②商店街裏通りの立地、店舗の雰囲気や接客が昭和の懐かしさを感じさせる。テーブルや椅子も程よく古い。接客も自然で失礼はないが、特段丁寧でもないので気を使わない。
③客席から調理風景が見える(オープンキッチン)
④出てくるまでの時間が短い。速いときは、座って1分以内にでてくる。
⑤1人でも気軽に入店できる雰囲気。(だから中高年女性1人客が多い。)
⑥こだわりのだしがおいしい。

【店側から見た視点】→座席回転率を高める工夫
①見込み生産で、長年の経験から需要を予測し、鍋にかけている。そのため客に短時間でうどんを提供できる。
②メニューが2品しかないため、顧客がメニューを選ぶ時間がない。
③代金は事前精算制。レジでの顧客滞留がない。
④メニューが2品であり、調理に手間がかからない。食材ロスも少ない。
⑤家族経営であり、従業員教育の必要がない。

忘れてはならないのは、座席回転率を高めても、集客力がなければ意味がないということです。「ことり」は高い集客力を前提とした生産性の向上に努めているのです。鍋焼きうどんといえば「ことり」・・・。完全にブランド化しています。地元客は固定客として定着し、新規客の観光客までどんどん来店しています。

飲食業は競合が激しく、店舗オペレーションや料理メニューも複雑化しています。その中でメニューを徹底的に絞り、店舗オペレーションを完全に単純化し、自店の強みに特化した営業を行っている「ことり」のビジネスモデルは、輝きを放っています。

「ことり」には、ビジネスモデルという概念はなく、周りの流行に惑わされず、自店でできることを地道に続けてきたのだと思います。その姿勢と「変わらぬ懐かしさ」が逆に新鮮さを生み、顧客の支持を集めているのではないでしょうか。

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