中小企業の事業再生、第4回目今日が最終回です。
今回は、私的整理と法的整理について、お話してみたいと思います。
法的整理とは、民事再生法や会社更生法などの法的倒産手続きをとって再生を目指すことです。また、私的整理とは、金融機関に債権放棄をしてもらうなど、当事者間の話し合いによる私的な枠組みで再生を目指すことです。
企業は通常、再生の手法として、まず私的整理を検討し、うまくまとまらなければ、法的整理を申請するケースが多いです。
私的整理のメリットは、債権放棄などの交渉先が金融機関に限られるため、販売先や仕入れ先に業績不振が知れ渡ることなく、再建が可能となることです。そのため事業を継続していくうえで大切な「信用の毀損」が最小限で済みます。
一方、私的整理のデメリットは、法的整理と比較して、債権放棄等の金融支援の額が抑えられがちになるため、「再建可能な抜本的な債務削減が進みにくい傾向がある」ことです。また、私的整理は、企業が示した再建計画について、金融機関側が合意しないと実現しません。金融機関側で意見が対立したり、再建計画が達成不能と判断された場合には、金融機関側から支援を打ち切る動きがでることもあり、その時点で法的整理を選択するケースがでてきます。それを防ぐための公的機関として、昨日お話した中小企業再生支援協議会がありますが、調整の限界もあります。
法的整理のメリットは、多数決の原理によって、債務超過を解消するだけの十分な債務削減が可能となり、抜本的なB/Sの健全化が図られる点です。
一方、法的整理のデメリットとしては、「倒産手続きに入ったことによるマイナスイメージで、取引先や顧客が離れていく」など、事業価値に毀損が生じることです。
私的整理でまとまるのが、事業継続のためには、望ましいですが、まとまらなければ、法的整理もやむを得ません。法的整理になると裁判所や弁護士の出番になります。我々診断士コンサルは、私的整理で事業再生が達成できるよう、支援する役割があるのではないでしょうか。
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