今日は中小企業再生支援協議会(以下、支援協議会)を活用した事業再生についてお話してみたいと思います。
私も銀行勤務時代に、支援協議会を活用した事業再生スキームに銀行の担当者として関わりました。
ここで、中小企業庁作成のパンフレットを参考に支援協議会について確認していきたいと思います。
①中小企業再生支援協議会とは
中小企業の再生に向けた取り組みを支援するため、都道府県ごとに設置させている公正中立な公的機関です。相談企業の秘密は厳守します。
②支援の対象企業
財務上の問題を抱えているが、事業の収益性や事業再生意欲をもつ中小企業
③再生支援の流れ
窓口相談→再生計画の作成支援→金融機関等関係機関との調整→フォローアップ
まずはお近くの「中小企業再生支援企業議会」へご連絡ください。というふうにパンフレットでは〆られています。
しかし実際は、このパンフレット通りにはいかないこともあるのです。この手順で実行すると思わぬ誤算が発生するケースがあるのです。
その話をする前に、事業者が勘違いしがちなのは、業況が悪化したから支援協議会という考えです。ここに書いてあるように、あくまでも事業に収益性がないと再生支援の流れまで進まないのです。つまり、支援協議会が「この事業は収益性があり、金融支援を行うことで再生できる」と判断する必要があるのです。この入口の部分で双方の認識相違が発生し、「相談にいったけれど何もしてくれなかった」と相談した事業者の不満がたまるケースがあります。
さて、思わぬ誤算の件ですが、それは、このパンフレットの通りの手順を踏むと債権者である銀行側と行き違いが生じるケースがあるということです。
支援協議会職員は、地元各行の銀行出身者が在籍しており、銀行と情報交換を行っています。当然、再生支援は事業者の取引銀行の承諾が得られないと進まないため、これは業務遂行するために仕方がない部分があります。
支援協議会から銀行へ、「A社からこんな相談があったが、状況はどうか」などの確認が行くケースがあるのです。
そうすると、自分にそんな気がさらさらなくても、銀行側としては「支援協議会へ銀行に相談なしで駆け込んだ」と感じてしまい、信頼関係がなくなることが、まれに出てしまうのです。立場を逆転して、自分が銀行側だと考えたら理解しやすいのではないでしょうか。
私の経験の中では、少なくとも支援協議会を活用して事業再生に成功したケースは、事前に事業者と銀行で十分に打合せがされたうえで、支援協議会を有効活用していました。だから、成功させたければ、相談する順番は大切だと私は思うのです。
事業者側から、「支援協議会に相談したけどうまくいかなかった」という話を聞くのは、こういうシステム上の流れに原因があるのかもしれません。
また、一方で支援協議会側からも「相談件数が思うように増えない」という話も出ています。なかなか難しいですね。
折角ある「中小企業再生支援協議会による再生支援」というシステム、できればうまく活用したいですね。
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