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融資肩代わりに関する銀行の考え方

=== 銀行員は、融資肩代わりを嫌がる ===

銀行員がされて嫌なことの上位に、「融資肩代わり」があります。

「融資肩代わり」とは、A銀行の融資残高をB銀行で借り換えることです。

例えば、こんなケースがあります。

A銀行に5年前に融資を受けた5,000万円(金利3%)が、返済が進んで1,500万円まで減っているとします。

そこにB銀行から、低金利(例えば1.5%)で「A銀行の融資を借り換えませんか?」と提案があります。

保証人も社長だけで可能だという。(A銀行は社長と奥さんが保証人)。残高に500万円加えて2,000万円融資してくれるとも言う。資金繰りも助かる。

経営者は、「ぐらっ」ときます。良いこと尽くめの提案により、B銀行から2,000万円融資を受け、A銀行融資を1,500万円返済します。

上記一連の流れを、A銀行からすると、「融資を肩代わりされた」と言います。

=== 融資先を肩代わりされると ===

A銀行担当者にとって、「融資肩代わり」は、屈辱的なことです。融資先の管理不足として、上司から叱責を受け、評価も下がります。

担当者は、長年先輩たちが守ってきた融資先を他の銀行に奪われたことで、申し訳ない気持ちになります。

経営者からすると、銀行の内部事情を知らないので、

「条件が良いほうを選ぶのは当たり前。うちの商売でもそうしているし、顧客からもそうされる」
「融資を返済するのだから、銀行さんは貸したお金が返ってきて、嬉しいはず」

と、ビジネス感覚で対応します。

ここに、銀行員と経営者の「融資返済に関するギャップ」が発生します。

=== 一度肩代わりされた銀行は、以後態度が冷たくなる ===

銀行員は口には出しませんが、融資肩代わりをした企業を「不義理な企業だ!」と思う習性があります。

以後、業績が悪化して駆け込んでも、A銀行は「B銀行さんに支援していただいたらどうですか」と、相手にしてくれない可能性もあります。(このあたりは、人間関係と同じです)。

=== しかし、九州エリアでは新たな動きが ===

銀行にとって嫌がられる「融資肩代わり」ですが、実は今、九州エリアで、銀行員から進んで肩代わりをサポートしている状態が発生しています。

以前何度かこのコラムでもお話ししましたが、長崎県で福岡フィナンシャルグループ(以下FFG)と十八銀行が、経営統合に向けて動いています。

しかし公正取引委員会が、融資シェアが1銀行グループに集まり融資先企業に不利益が生じるとして、経営統合に「待った!」をかけました。

対して、FFGと十八銀行は、「自分たちの融資先を他の銀行へ移し替えて、融資残高を減少させ、地域での融資シェアを低下させる動き」を取り始めました。

「借り換えサポート」として、長崎県内16,000社の融資先と面談し、他の銀行へ融資を移し替える気持ちがあるかどうか、確認しています。そこまでして経営統合を目指しているのです。

顧客である融資先経営者からすると、戸惑う話だと思います。

ですが、今まで自銀行の融資シェアをいかに守るかに注力してきた銀行が、まったく逆の動き(融資を他の銀行に積極的に渡す)をしているのは、興味深いところです。

=== 今後他のエリアでも、こうした動きが出る?? ===

九州でこうした動きがでると、今後他地域でも、可能性はあります。(特に銀行間で経営統合を目指す場合には)。

ある日、長年のメインバンクの担当者が訪ねてきて、「貴社の融資を、他の銀行に移し替えることは可能ですか?」と聞いてくるかもしれません。

融資を移し替えるにあたり、九州の事例では、取引条件は同条件で、取引変更にかかる印紙税や登記費用は、FFGと十八銀行持ちということですので、手続きが面倒なこと以外は、表面上のデメリットはないように見えます。

ただ、気を付けておきたいのは、「長年メインバンクと築き上げてきた歴史や信頼関係が、新しい銀行に同じ形で引き継がれることはない」、ということです。目に見えない関係までは、継続することは難しいでしょう。

長崎の企業経営者も、そこの点を心配しているのではないでしょうか。

=== 銀行員は、一部エリアで今までと違う動きを始めた ===

銀行員は、融資を肩代わりされることを極端に嫌がる一方、

一部エリアでは、借り換えサポートの動きが出るなど、銀行は、地域経済の縮小や銀行のビジネスモデルの変化により、融資シェアを守っていくことが以前より難しくなってくるのかもしれません。

経営者は、あらゆるケースを想定しながら、今後の地域金融情勢について、ウォッチしていくことが必要になっている、のではないでしょうか。

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