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地銀の経営環境⑦~商工中金の不正融資~

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今回は、商工中金の不正融資の話をしますね。

~政府系金融機関が不正融資~

このニュースには、ショックを受けています。

商工中金は、政府系金融です。政府系金融の役割は「民間銀行の補完」です。つまり、民間銀行が出来ない部分を代わりにやっていくということです。

問題になった不正融資は、リーマンショックや東日本大震災の影響を受け、業績が落ち込んだ企業に対しての緊急融資です。

商工中金は、企業から提出された試算表などの資料を改ざんし、本来は制度融資を受けられない企業に不正に融資をしていたようです。金融庁の特別監査チームが派遣され、徹底的に商工中金を調査するとのことです。商工中金は、かつて経験したことのない厳しい監査を受けることになるでしょう。

個人的に商工中金には、良いイメージを持っています。私のクライアントも民間銀行で融資を受けられず困っているとき、商工中金に助けてもらいました。おかげで今でもその企業は、事業が継続できています。

~不正融資の原因を分析~

さて、この不正融資。原因はいくつか考えられます。これは私個人の考えです。

1つ目は、新聞報道にもあるとおり、制度融資のノルマ消化のプレッシャーです。補正予算等で制度融資が予算付けされると、予算消化しないと中小企業に貢献できてない、と見られることを恐れます。政治的な無言のプレッシャーがあったのかもしれません。政府系金融は、小泉構造改革時代に、廃止論や民営化などが議題になったこともあり、自身の存在意義アピールに過敏になっています。

2つ目は、チェック機能が無いことです。監督官庁の経産省から社長を天下りで迎え、民間銀行の金融庁のように、不正をチェックする仕組みがありません。「中小企業に低い金利で融資することは良いことではないか」、「そのために少しぐらい数字を操作しても良いのではないか」、という、ある意味感覚が麻痺した状態に組織全体が陥ったのかもしれません。

~原因の背景にあるのは民間銀行の融資姿勢~

そして上記原因の背景には、もう一つの事情もあると推測します。

中小企業が、政府系金融機関を頼りにしている金融情勢です。倒産リスクが高まっている外部環境において、貸倒れを警戒する民間金融機関がリスクのある融資に消極的になり、中小企業が政府系金融を頼ったのです。

民間金融機関自身が思っている以上に、中小企業は民間金融機関の融資姿勢に疑問をもっています。「晴れた日にしか傘をかさない」、という話を経営者から聞くこともあります。受け皿に政府系金融機関がなっているのです。今後は異業種金融機関が、その役目を持ってくるかもしれません。

民間銀行には、とるべきリスクはとってもらい、地域経済の発展に貢献してもらいたい、と思っています。

そして商工中金には、不正融資は悪いこととして反省改善し、今後は正しいやり方で中小企業を支えていってほしい、と思います。

次回は、四国エリアの地銀の動き「四国アライアンス」についてお話ししますね。

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