皆さんは、農業法人化がどれぐらい進んでいるとお考えですか?
少し古いデータですが、2009年の農水省調査によると、全農業経営体に占める農業法人の割合は、約1%(19,136経営体)なのです。現在はもっと増加していると思いますが、とにかく他産業と比較しても少ない数字です。ほとんどが家族経営体であり、法人は少ないということが言えます。
これは、長年続いてきた行政による手厚い保護政策や他業種の参入が難しかったこと、関税により外国製品との競争が緩和されていたことが原因です。そのため、今までは特に法人化して規模を拡大し、生産性を向上させる必要性がなかった、と言えそうです。
しかしながら近年、高齢化による就農人口の減少、耕作放棄地の増加、TPP等による競争の激化が問題となり、規模の拡大と生産性の向上、収益力の強化が課題となってきています。それを解決する手段の一つに法人化があげられます。
それでは、農業法人化のメリットは何かについて3つの視点から、お話してみたいと思います。
①1つめの視点―経営上のメリット
家計と経営の分離で、経営状況の見える化が達成できます。(どんぶり勘定からの脱却による意識改革)また、財務諸表の作成により、金融機関や取引先の信用力が高まったり、社会保険等諸制度の整備により、従業員の雇用環境が改善されたりします。
②2つ目の視点―地域産業としてのメリット
就農者が、農業生産法人への就職により、初期負担なく、就農技術を取得できるなど、新規就農の受け皿になります。また、企業と共同経営する場合、企業の持つ経営ノウハウと農業者の営農技術の融合で、相乗効果が得られます。
③3つ目の視点―制度面でのメリット
税制面では、欠損金の繰越控除等のメリットがあります。また、制度融資の融資限度額が個人より大きくなります。
ざっとですが、このようなメリットがあります。当然デメリットもありますが、生産性向上させ、収益体制を構築していくためには、法人化は有効な手段であると考えます。是非農業に携わられている方は、法人化を検討してみて下さい。
次回は、農業法人化そのカタチ、どういう形態での法人化があるのか、についてお話していきたいと思います。
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