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金融機関向けフィンテックサービスについて考える①~サービスの概要~

税理士に税務システムを提供している「株式会社TKC」の戦略には舌を巻く。TKCとは、地域の税理士事務所に、会計情報システムを提供している全国規模の会社だ。

日経新聞の1面を使い、記事広告を掲載していた。概要はこうだ。

金融機関向け「フィンテックサービス」を提供開始する。TKCモニタリング情報サービスとして、金融機関向けに以下の提供を行う。

①決算書等提供サービス
TKC会員税理士事務所が行う顧問先企業の電子申告後、企業格付けや融資審査のために、決算書を金融機関に対して自動的に提供するクラウドサービス。

②月次試算表提供サービス
TKC会員税理士事務所が行う顧問先企業の月次決算終了直後に、金融機関に対してモニタリング用の月次試算表のデータを提供するクラウドサービス。

③最新業績開示サービス
TKC会員事務所のHPを経由して、金融機関に対して、その最新業績をオンラインで開示するクラウドサービス。

①、②、③ともに当然ながら、税理士事務所のクライアント企業の同意を有する。(勝手に金融機関に開示するわけではない)。

このサービスを都銀、地銀、信用金庫等206の全国金融機関が採用予定だそうだ。それはそうだろう。

これら3つの情報は、金融機関にとっては、融資先企業の財務内容を把握するために大切な情報である。この情報を取得するために、各営業店の融資担当者は、大変な労力と時間をかけている。このサービスを導入することで、顧客財務データ収集にかけるコストと時間が削減できるからだ。

TKCの直接の顧客は、「各地域の税理士事務所」だ。こうしたサービスを提供することで、税理士事務所は地域金融機関との連携を深めることができる。地域金融機関との連携が密な税理士事務所なら、クライアントから選ばれる可能性が高まる。

このシステムを活用して、金融機関と連携したクライアント企業の経営改善計画書策定後のモニタリングもスムーズに運ぶはずだ。

あっぱれ!と感じるとともに、この動きは、経営計画策定支援を主業務とする我々中小企業診断士にとっては、税理士業界との競争激化を意味する。

次回は、このサービスが引き起こす影響について考えてみたい。

「金融機関向けフィンテックサービスについて考える①~サービスの概要~ 」
ご覧いただきありがとうございました。

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