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銀行との上手な付き合い方②~私が経験した残念な話~

銀行との上手な付き合い方2回目の今日は、「私が体験した残念な話」をお話したいと思います。

10年以上も前の話です。当時私は、県外支店で得意先担当者として勤務していました。そこでメイン先のA社の担当をしていました。A社は先代社長からのメイン1行取引先で、近年息子へ社長を引き継いでいました。手形割引(以下 割引)枠を設定し、毎月割引をしてもらっていました。

ある時、割引の残高が減少していることに気づきました。そこで社長に聞きました。「割引の残高が落ちているのですが、他の銀行で割引されていますか?他銀行へ取引の変更をお考えではないですよね。何か当行に至らぬ点があればおっしゃってください。」

社長は答えました。「満足していますよ。他銀行へ取引を移すなど考えていません。」若かった私は、その言葉を聞いて安心し、当時の支店長に報告しました。「念のため、不動産の登記簿をとっておけ。」ベテランの支店長は私にそう指示を出しました。

果たして、不動産の登記簿を取ってみると、なんと不動産に他の銀行の抵当権がすでに設定されているではありませんか。これは今までの例から言うと、確実に他銀行に取引を移されるということを意味していました。

青ざめた私は、社長に聞きました。「不動産に他銀行の抵当権が設定されているのですが・・・。」社長は言いました。

「気づかれましたか。そういうことなのです。先日和田さんに聞かれた時は、ドキッとしました。取引を移す銀行さんから口止めされていまして。」「社長も親父から引き継いだので、自分の考えでやってみたくて。」愕然としました。まだ、若かった私は人間不振に陥りました。そして数日後、他銀行から融資の返済資金が振り込まれてきました。

苦い苦い経験です。私の至らぬところがあったのでしょう。

なぜ昔の失敗談をお話したかというと、メインバンクを変えることは、経営にとって大きな決断であり、細心の注意が必要だと感じるからです。合理的な理由、例えばメインバンクが店舗削減で撤退したとか、自社の規模が拡大して地元金融機関では融資枠等追いつかなくなってきた、などによるものなら問題ないと感じます。

しかし経験上、他行肩代わりをしたり、されたりした取引先とは、その後業績の悪化や取引の意思疎通がうまくいかないなど、何かしらトラブルが発生しました。取引年数が長い銀行とは、そうした歴史も踏まえて、助けたり助けられたりしていますが、新しくメインになった銀行とはこれから信頼関係を構築していかなければなりません。取引を変更するときに尽力してくれた担当者もすぐ転勤してしまいます。

確かに取引を変更するときは、好条件を提示されます。しかしその好条件は、徐々に元に戻っていきます。新メインバンクとトラブルになった時、元のメインバンクに助けを求めるわけにもいきません。

メインバンクとは、長い視野でお付き合いしていくことが望ましいのではないでしょうか。次回は「お互いがイーブンの関係で取引すること」についてお話したいと思います。

尚、25年10月から銀行との交渉力アップを目的とした「銀行対応力向上セミナー」を開講します。この機会を是非ご活用ください。詳しくは⇒こちら

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