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中小企業の事業再生 ①

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今日から何回かに分けて、中小企業の事業再生の手法についてお話してみたいと思います。専門が金融なので、金融の視点でお話していきます。

まず、第1回目の今日は、「第2会社方式」についてです。

簡単にいうと、「新会社を設立し、旧会社の優良部門を譲渡することで再生を図る」手法です。そして、負債や赤字部門を残した旧会社を清算します。

メリットは、過剰債務の削減が可能となり、事業継続が可能となることです。また、一定の要件を満たし、「産業活力の再生および産業活動の革新に関する特別措置法」の認定を受けられれば、以下の支援策を受けることができます。

①営業上必要な許認可の継承
②所有権移転の登録免許税、不動産取得税の軽減
③金融支援(日本政策金融公庫の特別融資など)

ちなみに「産業活力の再生および産業活動の革新に関する特別措置法」に認定されるための一定の要件とは、

①中小企業再生支援協議会等の公正な債権者調整プロセスを経ていること
②会社分割または、事業譲渡により第2会社へ事業を継承し、継承後2年以内に旧会社を清算すること
③従業員の雇用を8割以上守ること
など(他にも何点かあります。)

このスキームを活用するには、銀行の協力が不可欠になります。その時に大切なのは、銀行から見た経済合理性です。この方式を採用するより、法的整理(不動産の競売や会社更生、民事再生)を採用したほうが回収が大きくなるなら、銀行は首を縦には振らない可能性が高いです。

逆に、経済合理性(このスキームで再生したほうが銀行の回収額が大きくなること)が証明されたなら、相談に乗ってくれるかもしれません。なぜなら、この方式が採用できると、旧会社に債務を残して清算するため、銀行は無税償却することが可能となるからです。経済合理性と無税償却により、株主への説明もつきます。

もう一つ忘れてはならないのは、このスキームを活用した後の新会社の存続です。新会社が存続できないと銀行は回収ができないからです。そのためには、残した新会社のキャッシュフローが黒字であり、今後も継続的に黒字体質を続けていく必要があります。

最後にこのスキームのデメリットは、当然ながら企業側も痛みを伴うことです。資産の売却や経営責任を問われることもあるでしょう。

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