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銀行が融資提案書を出してきた。その理由と対処法

【この記事で分かること】

・ 融資提案書に記載されている項目

・ 銀行は、どういう意図があり融資提案をしてきているのか

・ 経営者は、融資提案をどう受け止めれば良いか

 

 

この記事のポイントは以下3点です。

☑ 銀行が融資提案をしてくる場合、決算書からあらかじめ融資可能額を計算して、提案してくる

☑ 短期借入金と長期借入金は、それぞれ返済財源が違っているため、銀行員は別々の指標を確認しながら、融資提案を行ってくる

☑ 経営者は、こうした銀行の考え方を把握したうえで、資金調達を実施することが大切である

 

銀行融資提案書とは

銀行が、あなたの会社に融資提案書を出してくることがあります。

融資提案書には、以下の様な項目が記載されています。

 

① 融資形態

短期融資か、長期融資か

② 融資金額

③ 融資返済期間

④ 融資金利

⑤ ③の返済期間、④の金利で返済した場合の毎月返済金シミュレーション

⑥ 融資実行予定時期

⑦ 融資条件

保証人、信用保証協会付かどうか(信用保証料はいくらか)、担保が必要か無担保か

⑧ 融資を受けることの効果やメリット

などが記載され、

最後に「融資審査があり、ご要望に沿えないことがあります」と注意書きがされています。

「そちらから融資提案してきて、何?」と思いますが、銀行の提案とはそういうものです。

正式に申し込みがあって、必要書類の提出を受けて、融資審査が始まるのです。

以下の記事に銀行の融資審査の仕組みを説明しています。併せて参考ください。☟

 

【参考記事】銀行融資審査の仕組みについて ~融資の返事が来ないのはなぜか?~

 

また、すでに融資を受けているメインバンクなどの融資金額をそっくり含めて、「当銀行ですべてご用意させていただきます」という融資提案を持ってくることもあります。

業界用語では「融資肩代わり」と言い、された側の銀行員が一番心を乱すことです。その辺の事情を以下の記事で説明しています。☟

 

【参考記事】融資肩代わりに関する銀行の考え方 ~なぜ銀行員は、他銀行の融資を奪いたいのか~

 

 

融資申し込みと銀行からの提案

銀行融資を受ける経緯は、2通りあります。

一つは、会社から銀行へ申し込む流れ。運転資金や設備資金など、資金が必要で自己資金で対応できない場合、融資を申し込みます。

もう一つは、銀行から会社への提案。これぐらい(○○千万、○○億円など)借りませんか?と銀行から融資額を提案してきます。

皆さんも経営者として経験があると思いますが、こちらから申し込むより、銀行から提案してきたほうが、融資審査は通りやすいことが多いのです。

融資申し込みで中々融資審査が通らず、四苦八苦した経験を持つ方も多いでしょう。

以下に、銀行が融資しずらい決算書を説明しています。ご参考ください。☟

 

【参考記事】銀行が嫌う決算書 ~追加融資が難しい低評価の決算書~

 

 

銀行からの提案が融資審査を通りやすいわけ

企業からの申し込みより、銀行からの提案の方が融資審査が通りやすい理由は、「返済可能額(返済財源)」にあります。

銀行からの融資提案の場合、銀行員は企業の決算書から「返済財源」を確認したうえで、提案してきています。

逆に、企業からの申し込みは、資金状態が厳しい場合があります。こうした場合、融資を受けた後の『返済財源』が見えてこないことが多いのです。

銀行融資には、短期借入金と長期借入金があります。

短期借入金は、1年以内に返済する融資です。当座貸越や手形貸付などです。

長期借入金は、1年以上かかって毎月分割で返済する融資です。証書貸付がほとんどです。

 

銀行は、短期借入金をどうみているか

短期借入金の返済財源は、日々の資金繰りによる余剰資金です。大きな売上の入金があれば、一旦返済して、また再度融資を起こしたりします。

この金額を銀行は、必要運転資金の算式で判断しています。必要運転資金の範囲内なら、銀行は短期融資を実行します。

必要運転資金の算式は、(売掛金+受取手形+在庫)-(買掛金+支払手形)です。

例えば、売掛金1500万円 受取手形300万円 在庫2000万円 買掛金1000万円 支払手形1500万円の場合は、必要運転資金は、(1500+300+2000)-(1000+1500)=3800-2500=1300万円です(ただし不良在庫や貸し倒れの売掛金などがあれば、その数値は差し引きします)。

企業が500万円の短期融資を受けているなら、800万円の枠空きがあるため、この場合、800万円の融資提案をしてきます。

 

銀行は、長期借入金をどうみているか

長期借入金の返済財源は、利益に減価償却費(減価償却費は、現金の流出を伴わない経費であるため)を加えたものです。

例えば、決算書の税引後利益が1000万円で減価償却費が500万円なら、1年間の返済財源は1500万円です。

現状、長期借入金の年間返済額が500万円なら、1000万円の返済財源が空いていることになります(1500-500=1000)。

枠が空いている1000万円の返済財源を見越して、長期融資5000万円を5年返済で提案してきます(5000÷5=1000万円)。

このように返済財源をみながら、長期融資を提案してくるのです。

 

残高が減ってくると長期融資の提案をしてくる

また、融資残高が減れば、長期融資を巻き替え提案してくる場合もあります。

当初5000万円借りていた長期借入金が、2500万円まで返済が進んだ場合などです。もう一度企業に5000万円の提案(2500万円は返済して月額支払を同額にする)を持ってきます。

企業側からすると、使えるお金が2500万円出来て、月々の返済額は今までと同じですから、乗りやすい提案と言えるでしょう。

 

融資を提案してくるのは決算書ができた後

銀行が融資提案をしてくる場合、判断材料は決算書が中心です。

そのため、融資提案をしてくるのは、最新の決算書を提出した直後です。

3月決算なら、5月末に税務署に提出ですから、6月に銀行へ決算書を提出します。融資提案を受けるのは6月になります。

 

銀行から融資提案を受けた時の経営者の気持ち

銀行から融資提案を受けることは、中小企業経営者にとって嬉しいことです。

銀行から事業内容を評価されている、ということだからです。

そのため経営者は、「言ってくれるうちが花」「折角だからお付き合いしておこうか」という気持ちになります。

 

業績下降局面で返済が資金繰りを圧迫

しかし結果、「不要なお金を借りること」になります。

予定していないお金が入ってくると、予定していない使い方をしてしまいます。

必要のない過剰な設備投資をしてしまったり、無駄な経費を支出したりします。

融資を受けたお金が知らないうちに減っていく一方、融資の支払いは残っています。

業績低下局面では、この返済が資金繰りを圧迫して、苦しい事業運営を余儀なくされるのです。

 

プランを持ったうえで、銀行提案に対応する

ではどうすれば良いのか、、、

経営者は、自社の投資プランや資金調達プランをあらかじめ計画し、計画に沿った事業運営をしていくことが大切です。

もちろん計画を立てても、環境変化のスピードが速い昨今、外部環境の変化により、臨機応変に計画を修正していくことはあるでしょう。

しかし、自社としてのプランを持ったうえで、銀行からの提案を受け止める必要があるのではないでしょうか。

 

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